いざという時のための半強制・強制給餌。ゴハンが食べられない犬への与え方

健康と長生きの源である、ゴハン。犬がその大切なゴハンを食べない原因は、病気や加齢によって自主的に食べられない場合もある。楽しくおいしく食べられるように与え方を工夫しよう。
 

 

犬が自主的に食べられない!

犬の強制給餌

▼自主的に食べられないチェックリスト

チェックがついたら動物病院に半強制、強制給餌を相談してみては?

□ごはんを食器から食べられない

□与え方の工夫をしても食べられない

□体重が減ってきた

□動物病院に相談しても自主的に食べられる方法がない

□犬の口の中に指を入れられる

病気や加齢によって、自主的に食べられなくなることもある。ゴハンはどのように与えればよいのだろうか。

食事を楽しくおいしく、と考えると、犬が自主的に食べられるものを探してあげることは大切

しかし、すぐに見つからない場合、エネルギーを摂取できないので体重が減り、体力も落ちてしまう。体調を崩した犬や食欲がない犬の体重を戻すのは本当に大変で、戻らないこともある。

食べられるものが数日から1週間ほど探して見つからなければ、動物病院に相談して、半強制や強制給餌に切り替えることも必要

食べさせられることを嫌がる犬もいる。また、強制的に与えることに抵抗を感じる飼い主もいるだろう。病気で気持ちが悪かったり吐き気がしたりすれば、ゴハンを嫌がって当たり前。飼い主さんの気持ちが萎えてしまわないように、『犬が嫌がることをしている。でもそれが犬のため』という覚悟で臨むことが重要。

ゴハンを食べられれば寿命が延びる可能性もある。後悔しないように心の準備をしておきたい。

 

半強制給餌

犬の強制給餌

ゴハンを口に入れれば食べる状態であれば、半強制給餌がよい。やわらかいペーストにしたゴハンを指につけ、口の中に入れて食べさせる。口内の粘膜にペーストはつきにくいので歯にこすりつける。指ではなくスプーンでもよいが、異物が歯に当たる感触を好まない犬もいる。飼い主の手の方が抵抗感は少ない。犬に合った方法を動物病院に相談しよう。

 
口内の上部につける
口を開けられる場合。指にペーストをつけて口内の上部にこすりつけるように与える。この部分はでこぼこしているのでつけやすい。

 
奥歯につける
口を開けられる場合。指にペーストをつけて上下どちらかの奥歯にこすりつけるようにして与える。

 
口内の奥へ押し込む
口を大きく開けられる場合。ペーストを団子状にして指にのせ、口内の奥へ軽く押し込むようにして食べさせる。

 
歯の外側につける
口を開けない場合。指にペーストをつけて歯とほおの隙間に入れ、歯の外側にこすりつけるように与える。

 

強制給餌

半強制給餌で食べなければ強制給餌に切り替える。流動食を飲み込ませるためには、量を調節できるシリンジがあった方がよい。まずは動物病院に相談して必要な器具や正しい方法を教えてもらおう。

 
先端の曲がったシリンジは入れやすい
先端が曲がったシリンジは太さの調節ができないものの、奥歯の隙間に入れやすいので比較的スムーズに与えられる。

 
まっすぐなシリンジはカットし先端の太さを調整
奥歯の隙間にシリンジの先端を差し込んで流動食などを飲み込ませる。先端がまっすぐしたタイプはカットの位置で太さを調節可能。

 

強制給餌が難しい場合

犬の強制給餌

口から食べさせることが難しい場合、カテーテルを使う方法もある。

 
胃ろう
内視鏡手術で胃にカテーテルを取りつける。ゴハン(栄養)を外から胃へ直接入れられる。設置には全身麻酔が必要になる。

 
鼻カテーテル
鼻から胃までカテーテルを設置。胃ろうよりチューブが細いので、入れられるゴハンの量は少ない。常にエリザベスカラーが必須。

 

犬の食餌療法 まとめ

犬の強制給餌
 
ゴハンの完食が当たり前の犬であっても、食べない、食べられない時が来るかもしれない。

元気な犬でも8歳を過ぎた頃からさまざまな不調が現れる。

食事の管理が必要な病気を発症した場合、療法食を食べられる犬は、病気の進行を抑えられ、良い状態で長く生きられる。薬を飲まなくても済むかもしれない。

トッピングがなければ食べられない犬は、食餌療法を諦めて薬のみに頼ることになってしまう可能性もある。

また、多くの薬は食後の服用が推奨されているので、ゴハンを食べなければ薬を飲ませることもできなくなる。

食餌療法は飼い主さんががんばるしかないので、若い頃から総合栄養食のドッグフードだけを食べる習慣をつけておくなど、後悔しないために備えよう。

最後に、将来に備えてゴハンの他に取り入れておきたい習慣について。

おいしい食べ物をあげるだけが愛情表現ではない。一緒に遊んだりスキンシップをしたり、食べ物に頼らない関係を築いていこう。ゴハンとは別にオヤツをごほうびとして与えるのはよい。

また、半強制や強制給餌が必要になる可能性を考えて、口もとを触ったり口を開けたりする練習もしておこう

まずは「ゴハンを食べる」という当たり前のことを見直すこと。犬が嫌なことを受け入れ、抵抗しない関係を築くことも大切だ。健康と長生きの源であるゴハンを今日もおいしく食べよう!

 
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Shi‐Ba vol.84『年齢・体調・性格に合わせて考える 「ゴハンを食べない!食べられない!」その理由と与え方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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