飼い主のうっかり!?犬のやっちまった……に学べ!日本犬的しくじり先生

愛犬をかわいさのあまりに甘やかしすぎたり、良いコに育ってほしいという強い思いから厳しくしすぎてしまったり。とかく犬育ては反省の連続ではあるけれど、その“しくじり”を笑いや次のステップにつなげていこう。
 

 

愛犬が3~4歳になってから気がつくことも

犬のしくじり

愛犬と暮らし始めて何年か経てば、「こんなことしておけばよかった~」「これは、やらなければよかった……」など、ふとした機会に思うこともあるもの。

日本犬との暮らしやしつけで多い“しくじり”は数年前までは“噛む”“うなる”ことが多かった。そういった場合、1歳くらいまではなんとかなったけれど、2歳頃から『あれ? ちょっとこの行動、気になるな?』と感じ始め、飼い主さんが本気で困った部分を直そうと行動を起こし始める時には、犬がすでに3~4歳になっていることがよくある。

3~4歳になると犬の気質や生活習慣もほぼ固定してくるので、そうなると直すのに労力と時間もかかるようになる。特に“噛む”“うなる”行動を助長させてしまうのが、力づくで犬の体の自由を奪って言うことを聞かせようとしたり、大きな声で怒って犬に恐怖感を持たせてしまうこと。

このしくじり、意外にも子犬の頃から犬のしつけを頑張りすぎた熱心すぎるお父さんたちに多いらしい。なんでこんなに一生懸命やっているのに、俺の言うことを聞かないんだ!」と愛犬を思うあまり、強い気持ちが働いてしまうのかもしれない。頑張りすぎて、からまわりしてしまうお父さんのしくじり……。なんだか、人間の親子間でもありそうな話ではないか。

特に日本犬の飼い主さんには、“オヤツ=ワイロ”という意識を持つ方もいて、『ワイロはあげないほうがいい。オヤツではお互いの良い関係は築けないんだ』と考える人が他の犬種の飼い主さんに比べると多いかもしれない。

実際にトレーニングではあまりオヤツを使いたがらない人もいるのだそう。日本犬には忠犬エピソードも多いだけに、その気持ちもわからないではない。ただ、オヤツを上手に使うことは、日本犬にとても多い“食器や食べ物を守る”ケースや、子犬の頃はできたのに、いつの間にかできなくなってしまった“室内トイレの継続”などにも、かなり有効に活用できるそうなのだ。それらの方法ものちほど後述で詳しく紹介したい。

 

しつけのしくじり例

ここでは具体的な“しくじり”修復例を紹介!

▼食にまつわるしくじり

犬のしくじり

ガムを守るとか、床に落ちた食べ物を拾おうとするとうなるなど、食に関するしくじり。

与えられる機会が少なく、取り上げられる機会が多いほど、守ることが多くなってしまう。食べ物を守る場合、オヤツを使ったトレーニングをするだけで、守る意識が希薄になる。

小さく切ったオヤツをどんどんあげることで『またくれるかもしれない』と期待を高めることに。

その際に注意するのは、“オヤツをあげる時にケチケチしないこと”“オヤツは小さく切っておくこと”。先にも書いたが、オヤツをワイロと捉えがちな日本犬の飼い主は、どこかで「オヤツをやめなきゃ」と思っているそう。

使わなくなろう、と気にするのではなく、気がつけば“最近オヤツを使ってない”と感じるくらいでオヤツを使うといい。

そしてこれもよく聞くのが「ドライフードを食べなくなった」というしくじり。食べなかった時に飼い主がもっとおいしいものをあげたのが原因。ゴハンはなるべく決まった時間にあげ、食べないなら片付ける習慣をつけたり、トッピングをするならドライフードとよく混ぜるなどの工夫を。

 
▼社会性にまつわるしくじり

他の洋犬種にはあまり見られないが、日本犬は1歳過ぎると、それまで平気だったよその犬が急に苦手になるケースがある。

よその犬と会った時に吠えられるなどの嫌な経験をしたか、飼い主が散歩の際に必要以上によその犬との接触を避けようとしているか、理由は様々考えられる。

散歩の時には飼い主も“フラットな気持ち”で歩いたり、苦手な犬に会ったらオヤツをあげてみるなど、いろいろ試してみてはいかがだろう。
 
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▼厳しすぎるしつけにまつわるしくじり

犬のしくじり

犬のからだを強く拘束して恐怖を与えたり、大きな声で叱ったり。厳しすぎるしつけを行って“しくじった”場合、どのような修復方法があるのか。

基本的にはオヤツを使って、オスワリやフセ、マテ、オイデなど、飼い主と犬との間の共通言語をどんどん増やすトレーニングをしていく。

しつけに“しくじった”場合、犬が「この人、何を言いたいのか、わからない」と感じていたり、「また怖い思いをさせるのか?」と警戒していることが多い。一度犬に猜疑心が芽生えると、それはなかなか抜けない。また、行動がパターン化することもあるそう。

しかし、こじらせたしくじりも、時間と愛情をかければ修復可能なのだ。
 
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▼お手入れにまつわるしくじり

日本犬は他の犬種に比べると、警戒心が強かったり、大げさなタイプも多い。なので、小さい頃から足の先や耳など、体の様々な部分を触っても平気なように慣らしておこう。

日本犬には本当にいろいろなパターンがある。抱っこはできるけど、足先は絶対に触らせないとか、家では大丈夫なのに動物病院などよそではダメとか。抱っこすると『ひゃぁぁぁ~』とすごい声で叫ぶコも。

そんなデリケートな方々なので、ハミガキや爪切りなどのお手入れは、少しずつ慣らしたほうが良い

例えば爪切りなら、今日は爪切りをそばに置くだけ。それに慣れたら、爪切りのにおいなどを嗅がせたり、次の段階では足に当てて嫌がらなかったらオヤツをあげる……といった具合だ。実際に切る時も最初のうちは、今日は1本、明日はその隣の1本、という超スローペースで行うのが良いだろう。

一度嫌な思いをすると、犬は忘れないから、飼い主さん的には要注意ですぞ。

 
▼トイレにまつわるしくじり

犬のしくじり

散歩に行くようになると、排泄を外でしかしなくなる日本犬が多い。

室内トイレのメリットは、天気が悪い時や留守番が長くなった時でも、犬に排泄を我慢させなくていいし、シニアになった際にも犬の体に負担をかけないですむこと。最近はマナー面でも室内での排泄を求められることが多い。

さて、気になる室内トイレを継続させる具体的な方法は意外とシンプル。

外での排泄を覚え始めた5~10ヶ月齢の頃に、室内でトイレが上手にできたらあえて一時的にごほうびを増やす。ごほうびはオヤツでもほめることでもOK。

最初の頃は室内トイレが成功する度にほめていた飼い主も、時が経つとほめることを忘れがち。すると、犬は“家の中でやってもほめられないし、外でしたほうが気持ちがいい”と思うように。

現在、室内トイレができているお宅はぜひ実行を!

 

しくじりを“こじらせ”ないこと

犬のしくじり

子犬の頃からいろいろな人や犬を見せたり、会わせたり。また様々な動く物を見せたり、においを嗅がせたり。また、これから訪れるであろう様々な場所に慣らせる、など最近の犬のしつけでは、“社会化”は必須科目とも言える。

それに加え、体を触ることをはじめ、ハミガキや爪切り、ブラッシング、耳掃除などのお手入れ全般に慣らしたり、トイレ、ハウス、その他、オスワリ、マテ、フセ、オイデのトレーニングなど、犬を迎えてから教えることは実に多岐に渡るし、種類も多い。

“日本犬は食器や食べ物を守ったり、体を触られるのが苦手な犬が多いと聞いたので、それだけは大丈夫なようにしつけたし、クレートトレーニングも上手にできるようになった。本犬もクレートが大好きになったので良かったと思っていたら、クレートが好きすぎて気がつけばクレートのそばを誰かが通るだけでうなるようになってしまった……”

こんなトホホな話も日本犬にはよくあるケースだ。  

このような場合、実はどこかで“守る”気配を見せていたはず。例えば、人が近くにいるとクレートを気にしたり、クレートから離れた場所にいたのに慌てて戻って来るなどだ。
 
犬のしくじり
 
守ることへの“芽生え”が感じられた時に、クレートの場所を転々と移動させて一ヶ所に固定させない、といった対策をするなど、クレートをどかしてその場所を一度まっさらな状態にして、場所へのこだわりを薄めるのもオススメ。

どんな日本犬でもクレートを守るようになるというわけではないから、『クレートを守るようになったらどうしよう』と心配しながら、飼い主がいろいろなことに気を配って生活するのも、それはそれでストレスになりかねない。

気がつけば「こうしておけばよかった……」と思うことが出てきたり、予想外のことが起きるのも犬暮らしと考えておくと、何かあった時にフレキシブルに対応しやすいのかもしれない。

しくじったその時は、もしかすると噛まれそうになったり、威嚇されたり、飼い主さんとしては不安になることもあるかもしれない。

でも、大切なのはしくじった後のフォローや対処法をどうするか、ということだと思う。その犬の健康や命、人への危害などに関わることなら、やはりしつけの専門家の指導のもと、犬に負担のかからない形でじっくりと改善していく必要があるだろう。

しくじりが最もこじれるのは、やはり飼い主さんが躍起となって無理強いしてしまう時。“しくじり”はある意味、犬との暮らしにはつきものだ。しかし、くれぐれも“こじらせ先生”にはならないよう、気をつけたい。

 
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Shi‐Ba vol.85『日本犬的しくじり先生~飼い主のうっかり!?犬のやっちまった……に学べ~』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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