犬びより

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テレか遠慮か、ビビりな性格か…。距離をとる柴犬こそ一歩進ませよう!

2018/07/10

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柴犬は微妙に距離が足りないことが多い。近くに来ない時は、呼ばれても手前で止まる、離れて様子をうかがう、手を伸ばすと避けるなど。届きそうで届かない距離が、心の距離を表しているようだ。目測を誤った時は、マーキングの目標がずれる、高いところから足を踏み外すこともある。どちらの話も「わかる。わかるよー」とうなずく飼い主も多いはず。 今回は日本犬が一歩足りない理由と、一歩進ませる工夫を紹介しよう。

 

一歩足りない理由はコレ!

「オレのことが嫌いだから離れてるんだろ!」といじける前に、一歩足りない理由を考えてみよう。

犬種としての性質
飼い主との関係が良くても、少し距離をとる傾向がある。大好きな人であっても、ひざの上ではなく背中をくっつけて寝るようなイメージ。自分が快適に過ごすためのパーソナル・スペースが広い犬種だからだろう。ゴールデンレトリバーは顔で、ラブラドールレトリバーは肩でおしくらまんじゅうできるくらい密着するので、パーソナルスペースが狭いと言える。お辞儀の日本人とハグの欧米人の距離感に似ている。

パーソナル・スペース
日本犬のルーツは猟犬。人から離れて仕事をする性質が受け継がれている。日本犬のルーツは猟犬です。人から離れて仕事をする性質が受け継がれていることも考えられる。パーソナル・スペースの広さも、ルーツが関係しているのかもしれない。

警戒心や怖がりの性格
柴犬はもともと警戒心が強めで、接触を避ける傾向がある。犬によってはより強く出て、怖がりの性格になることも。誰でもウェルカムな犬種ではないので他者に近づく時に慎重になるのだろう

トラブルを避けるため
犬にとって他者と向かい合う状況は対立を意味する。トラブルを避けるために、本能的に手前で止まる可能性も。飼い主とトラブルになると思っているわけではなく、本能的な行動が出る。

離れる癖が定着
最初はパーソナル・スペースなど他の理由で距離をとっていたけど、離れることが癖になったケースも考えられる。飼い主が「近くに来させる」ことを教えなかったことも理由。

嫌な経験から近づかない
呼ばれて近づいたら強引に捕まえられた、という嫌な経験をした犬は、飼い主の手が届かない距離で立ち止まる。警戒心が強い犬は、捕まえられた経験が2回続けば距離をとるようになるだろう。

飼い主との問題
飼い主の性格も、一歩足りない理由になる。教育ママのように厳しい人に対しては、離れて様子をうかがう。逆に召使いのように甘い人に対しては、わざと距離をとってオヤツを要求することを覚える。

距離感や目測を誤っている
はしゃいで足を踏み外す、ジャンプの踏み切り位置を間違えてぶつかるなど、目測を誤って距離が足りないこともある。

 

距離感のミスは自分の体を自覚していないから?

犬は自分の体の大きさや位置を自覚しない。先ほど紹介したように、一歩足りない理由は犬種や性格、生活環境が関係していることがわかった。でもひとつだけ特殊な理由が「距離感や目測を誤っている」。

距離感や目測の誤りは、犬が自分の体の大きさや作り、手足の位置を自覚していないことが原因。特に体の前半分に比べて、後ろ半分は意識していないことが多い。犬は前輪駆動、と考えればわかりやすいだろう。

さらに、体の自覚には大きさ、性格、年齢も関係する。まずは体格。大型犬より小型犬の方が体を自覚している。柴犬は中間の大きさだが、慎重な性質の犬種だから小型犬寄りと考えていいだろう。例えば、ラブラドール・レトリーバーは何回踏み外しても気にしないが、柴犬はきちんと四肢を地に着けようとする。

次に、性格が落ち着いている、セルフコントロールができる犬は、自覚している傾向がある。ハイテンションな犬は自覚が薄い。そして、子犬よりも成犬の方が自覚している。子犬は後ろ足があることさえわかっていないかも。成犬以降は性格や体格で差が出るが、年齢での変化は少ないと思われる。

愛犬のドジには、びっくりするくらい深い理由があったのだ。マーキングの目標がずれても、ドブに落ちても、バカにしちゃいけないね……でも見たらきっと笑うけど(ゴメン)。
 

一歩前に出ちゃうのは?


『ただ今の心の距離は0cmです♪』

柴犬は一歩足りない犬種だけれど、むしろ一歩前に進んでしまうケースもある。要求が強い犬は目標に近く、弱い犬は遠い傾向がある。オモチャを人の手に押しつけて「遊べ!」、鼻で突っついて「オヤツよこせ!」と訴えるタイプがいる。
 

一歩前に進むには?

距離を縮める方法
※愛犬が立ち止まってからではなく、近くにいるときに練習しよう。

1.100円玉などのコインを2枚用意。ご褒美として愛犬が好きなオヤツも用意しておこう。

2.犬に向かって手を伸ばさないように注意。脇にコインを挟んで脇を締めた姿勢をキープ。

3.手の中にオヤツがあることを犬に教えてから、オヤツが見えないように握る。

4.コインを脇に挟んだまま、両手を正面に構える。
※向かい合うことも嫌う犬もいる。ためらう様子が見られたら、斜めに構える。

5.オヤツを持って両手を構えると来るようになったら、オヤツを持たずに両手を構えて呼ぶ。

6.犬が来たら別の場所からオヤツを出してあげる。オヤツを持たずに呼ぶ練習をしよう。
※犬が手前で止まってしまうなら止まる前に人が下がりながら呼ぶ。動くものを追う本能を利用。

密着する練習

1.オヤツを持った手を犬の前へ。なめたり、噛んだりしながら、手に集中するはず。

2.左右の手から交代でオヤツをあげる。手と口がマグネットのように密着する状態に。

3.犬が人の手にくっついている状態に慣れたら、体に密着させる。立て膝の下を誘導してくぐらせよう。
※足の下、脇の下など、いろいろな場所をくぐらせて、密着することに慣らせる。

一歩どころかもっと前へ!
犬との距離がはてしなく遠い場合は、近づかない理由を考えて。犬を呼んで捕まえたなど嫌な経験をさせた可能性大。今後は絶対に避けよう。「オイデ」を教え直すためには、犬にリードをつけて、人の腕が届かない「圏外」の距離にならないようにします。その後、左の練習をはじめます。全く来ない場合は、しゃがんで待った方がいいかも。それでも来ないなら横を向いてしゃがんで待とう。

 

距離をとる柴犬こそ一歩進ませる練習が必要


「そこから一歩前へ進みたまえ!」そう言ってみても、犬には進みたくない理由や事情がある。柴犬だからいいのでは?と思うだろうが、それは違う。距離をとりがちな柴犬だからこそ、進ませることが大切。離れている犬には声も体も意思も届かず、関係性に悪影響が出る。今すぐ、一歩進ませる練習をしよう。「足りないのは一歩じゃなくて、コミュニケーションでした。テヘ☆」なんてことにならないように、家族と愛犬の関係も見直したい。

たかが一歩、されど一歩。愛犬との距離を少しずつ詰めていこう。

 
Shi‐Ba vol.61『踏み出せない理由。それは照れか、遠慮か、はたまたビビりな性格か そこから一歩前へ』より