柴犬の感情は耳で分かる? 動きで分かる犬の気持ちと病気を解説!

犬の耳

凛々しさの象徴である、ピンと立った柴犬の耳。じっくり観察すると、倒れたり開いたり反ったり、驚くほどよく動く。耳は単なる象徴ではなく、感情表現と情報収集のための重要な器官であり、病気の前兆も現れるという。本特集では耳の動きについて解説!

 

耳の動きと感情の一覧

日本犬は耳の動きと表情、感情が一致しないことがある。

耳を反らして口を開けると笑顔に見えるが、単に暑いだけ、もしくは恐怖でパニックを起こしている場合も考えられる。

犬の感情を正確に判断するためには、ボディランゲージ(全身の動き)を読み取ることが大切。下の項目を手がかりに、犬の主張を正しく理解しよう。

平常:耳に緊張がないノーマルな状態。
喜び:耳の間を広げて目を細める。
歓喜:耳を横に倒して口を開ける。
緊張:耳を前方に向ける。プラスとマイナスのどちらの場合も同じ。
攻撃:耳を前に倒して口元に力を入れる。ひげも前方に向ける。
恐怖:耳を後ろに倒して唇を引く。

 
■プラスの感情は分かりやすい

プラスの感情の「喜び」と「歓喜」は耳の動きだけでもわかりやすい。ポイントは真横に倒すこと。柴犬は「歓喜」の動きを飼い主にしないことが多いが、嫌いなわけではなく、新鮮味がないというドライな理由だそう。警戒しているように見える「緊張」は注目の表れ。プラスに傾く時は、何かに期待して目を輝かせ、シッポをゆっくり振って立っていることが多いそう。

 
■マイナスの感情は注意

マイナスの感情を表す動きをしている時は要注意。「攻撃」は散歩中に出ることが多いようだ。表情が見えなくても全身に力が入っているためわかりやすいそう。「恐怖」は耳や唇だけでなく、体も後ろに引く。耳を倒す=うれしい、という勘違いは禁物だ。「緊張」は注目から警戒、攻撃へとマイナスの感情に転じるかもしれない。ボディランゲージから判断しよう。

 

耳で病気の早期発見!

犬の耳

耳が痛い時や気になる時に片耳だけ横に倒すことがあるが、病気が原因で後ろに倒すことはない

重度の場合は頭も傾ける場合もあるが、意外と平気にしている犬もいる。

また、耳の動きだけでなく、ニオイや汚れをチェックした方がわかりやすい

耳の周辺をかく時も病気を疑った方がいい。ただし犬が気にする部分が病気とは限らない。

耳の奥に原因があっても、耳の中に足を入れてかく犬もいれば、外側の根元をかく犬もいる。

耳は脳にもつながるデリケートな器官。自己流で洗ったり綿棒を入れたりしてはいけない。

愛犬の様子がおかしいと思った時は、動物病院で診断してもらおう。

 

耳の病気一覧

犬の耳

・外耳炎
耳(耳道、耳かい)が、細菌、マラセチア、耳ダニ、アレルギー、耳垢、異物などが原因で腫れてしまう病気。腫れと共に痛みと悪臭を伴うことが多い。主な原因の例として、マラセチア、耳垢については以下で解説。
 
・マラセチア
カビの仲間である酵母菌で細菌と共に外耳道炎の主な原因となる。大半の犬に潜んでいるが、皮膚の正常なバリア機能が働いていれば発症はしない。脂を好むため、脂っぽい犬や脂漏性皮膚炎の犬の耳で増殖しやすい。
 
・耳垢がたまる
生理的な耳垢も外耳道炎の耳垢も色が似ているため、外耳炎と間違えて診断されてしまうことが多い。
 
・中耳炎/内耳炎
外耳炎などを放置すると鼓膜が破れて中耳炎を発症する。悪化すると難聴などの危険が生じる。さらに奥まで進行すると内耳炎になり、けいれんを起こす、平衡感覚がなくなるなど、重度の症状が現れる。
 
・異物が入る
草むらを歩いている時に実などの異物が入ってしまう事故。秋に多く見られる。入ったものによっては犬が非常に痛がって悲鳴をあげ、取るために全身麻酔することもある。立ち耳の日本犬は要注意。
 
・腫瘍・ガン
扁平上皮ガンは耳のふちにできやすい。紫外線などの外的刺激が原因で発症する。白い毛色の犬に多いので、秋田犬や紀州犬は注意したい。日本犬に発症例は少ないが、耳垢腺腫瘍も危険な耳の病気だ。
 
・耳血腫
耳かいに薄い血液が溜まり、耳が膨れる病気。壁に耳をぶつけるなど物理的な刺激、免疫が関係して発症、という2つの原因がある。
 

柴犬は耳の病気が多い犬

立ち耳の犬種は耳の病気にかかりにくいが、柴犬は例外

アトピー性皮膚炎などが原因で外耳炎になる犬が多い。

湿度が高い梅雨や夏は皮膚炎が悪化する季節。耳の病気も増えるので注意。

柴犬以外の日本犬は耳の病気は少ない。絶対数も関係しているが、甲斐犬と北海道犬が外耳炎、異物で来院するくらい。

とはいっても油断は禁物。健康診断の折りに診てもらうといい。

 

耳の不思議に迫る

犬の耳

Q.左右の耳を別々に動かす時、音を聞き分けている?

A.大量の音から大切な情報を選ぶことはできるはず
聞き分けているのかもしれないし、そうでないかもしれない。大量の音を拾ってはいるが、すべての情報には対処できないはず。特に重要な音を選んでいると思われる。どんな時もオヤツの袋を開ける「カサッ」を聞き逃さないわけだ。

 
Q.名前を呼んでも顔も耳も向けずに無視する理由は?

A.興味を持たれていないので名前を教える
練習を名前を教える練習がおすすめ。名前を呼んだ直後にごほうび(オヤツやオモチャ)を与えて、名前=いいことがあると教える。室内で繰り返したら屋外へ。ここまでできたら、散歩中に呼べば飼い主さんの顔を見るなど、反応してくれるはず。8~9割程度反応するようになったらごほうびをランダムにして、与えない時も笑顔を向けたり、ほめ言葉をかけたりしよう。

 
Q.呼んでも耳しか向けない。顔を向けてもらう方法は?

A.飼い主よりも外の情報が気になっている状態
外は犬にとって情報も誘惑も多いので、飼い主の声よりも他のものが気になるのだろう。アイコンタクトを復習しよう。名前を呼んだらオヤツやオモチャのごほうびを与えていれば、耳だけでなく顔も振り向くようになる。

 
Q.人に背中を向けるくせに聞き耳を立てるのは何故?

A.無関心、もしくは無関係でありたいという気持ちの表れ
見るほどではない、もしくは関わりたくないと思っている。前者は、大したことではないけど一応聞いておこう、という気持ちのようだ。後者は、無関係でいたいという心境。散歩中に立ち話をしていてふと気づいたら愛犬が背を向けていた、という経験をした方もいるだろう。確信犯的に背中を向けて『早く行こう』とアピールする犬もいる。

 
Q.耳を真横に倒す「歓喜」を来客や知人にする理由は?

A.タイミングや緊張感などからの解放などの相乗効果かも?
来客や散歩中に会った知人に対して倒す理由はいくつか考えられる。特に多いのは、思わぬタイミングで会えた喜びや、緊張感から解放された安心感が重なって、相乗効果でよりうれしい気持ちになっているのだろう。愛犬に耳を倒して喜んでもらうためには新鮮味も大切だそう。
 
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Shi‐Ba vol.53『動きで分かる日本犬の気持ちと病気 しゃべる耳』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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