シニア犬になると、足腰が衰えたり、病気にかかりやすくなってくる。まだ元気だからと過信せず、病気の早期発見のためにも、日頃から健康チェックを行おう!
シニア犬になるとかかりやすい病気
シニア犬がかかりやすい病気をご紹介。なにか病気のサインがないか、日頃から愛犬の様子を念入りに観察しておこう!
皮膚病
皮膚病には感染症をはじめさまざまな原因があるが、シニアになって全身性の皮膚感染症が出てきた場合は、必ずバックグランドを考えなくてはいけない。がんが原因となって発症している可能性もある。
心臓病
日頃から咳をしていたり、運動をしたがらない場合は心臓病の可能性も。まずは聴診で心音に雑音がないかチェックし、異変があればレントゲン、超音波、心電図などで検査を。
悪性腫瘍
組織を破壊し、他の場所に転移しやすい悪性腫瘍。悪性腫瘍の中でもダックスはリンパ腫と血管肉腫が多い。肝臓がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、乳がんにもかかりやすい。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質ホルモンの過剰分泌が原因の病気。症状はごはんをたくさん食べる、水を多く飲む、お腹が膨らんでくるなど、様々。甲状腺機能低下症や糖尿病を併発することも多い。
歯周病
歯石が溜まると歯周病を発症する。ダックスは歯周病にかかりやすい犬種であるが、日頃の食事の内容にも関係する。歯周病を防ぐためには、毎日歯磨きをすることが大切。
甲状腺機能低下症
首にはホルモンを出す甲状腺がある。その甲状腺の機能が落ちてしまう病気。ごはんを食べないのに体重が増えてくる、動きが鈍くなる、皮膚病が起こるなどいろんな症状が出る。
背骨の病気
椎間板ヘルニアを含め、ダックスは首から腰にかけての神経や脊椎の病気にかかりやすい。年を取るにつれ発症しやすくなり、脊椎症が原因で足が麻痺して歩けなくなることも。
触診
体のあらゆる部分を触診。日頃から愛犬の体を触って、チェックしておこう。
はじめに
まずは体温を測り、熱がないか確認する。犬は38度台が正常値。
ダックスは必須かも
背骨をチェックし、椎間板ヘルニアや馬尾症候群の兆候がないか確認。
ポイントは地肌
毛を逆立てるようにして地肌を見ていき、皮膚炎やしこりなどの異常がないかをチェックする。
リンパの腫れをチェック
頸部のリンパや浅頸リンパなど全身のリンパを触って、腫れがないかチェック。
頚椎の異常はないか
足を返して、頸椎の異常がないかチェック。関節の可動域や、痛みがないか、しこりがないかも触診で確認。
お腹は大丈夫かな?
お腹を触って、しこりがないか、お腹の中に腫れがないかを確認していく。
股関節や膝もきちんと
後ろの股関節や膝に異常がないか、十字靭帯を痛めていないかチェック。
病気のサインは意外な所に……
お尻周りに皮膚炎などの異常がないかチェック。
見えない部分もしっかりとチェック
爪や肉球、指の間などに、皮膚炎やしこりなどの異常がないかチェック。
メスの場合は
乳腺を触って、左右両側の異常がないかチェック。
陰部の周りの窪んでいるところに、皮膚炎ができていないか確認。
オスの場合は
睾丸を触って、腫瘍ができていないか、異変がないかをチェック。
目の検査
シニア犬になると核硬化症、白内障、緑内障にかかりやすくなる。目の病気がないか、定期的に調べておこう。
まずは触診
目の輝きや結膜の色に異常がないか確認。白目の状態で貧血や黄疸がないかもわかる。
↓さらに詳しく検査したい時は?↓
動物病院によっては、オプションでスリットランプや眼底検査、涙の量や眼圧を測ることができる場合も。かかりつけの獣医師に相談してみよう。
スリットランプ
スリットランプで瞳を照らして、白内障があるかどうかをチェックする。
正常な場合、眩しい光を当てると瞳孔が小さくなる。
眼圧の検査
眼圧計を使って眼圧を計測。10~22が正常値。眼圧が高いと緑内障、低いとブドウ膜炎のおそれがある
眼底検査
眼底カメラで眼底を見て、先天性の網膜萎縮症があるかどうか確認。ダックスの場合、網膜萎縮を起こしてから白内障にかかるケースが多い。
シルマーティアテスト
試験紙を下まぶたに挟んで、涙量を計測。涙の量が少ないとドライアイの可能性が高い。
1分間測り、目盛りが16以上であるなら正常値。
フルオルセイン染色
オレンジの染料を瞳に垂らし、角膜に傷があるかどうか、涙管に詰まりがないかなどを検査。
しばらくすると、瞳が緑色に。角膜に傷がついている場合は、傷が緑色に浮かび上がる。
染色後、2~3分くらい放置し、染料が鼻に抜けるかどうかをチェック。鼻に流れてこない場合は、涙管が細いか詰まっている証拠。
耳の検査
耳の中が汚れていたり、外耳炎にかかっていないかを検査。詳しく調べたいときは、耳鏡検査をしてもらうと○。
汚れや音を確認
耳の中を視診&触診。汚れがないか、くちゅくちゅ音がしないか、チェックする。
耳鏡検査
耳鏡を使って耳の奥を調べる。耳の中にしこりや外耳炎がないか、鼓膜がちゃんとあるかチェックする。
肥満度チェックもしっかりと
肥満は椎間板ヘルニアの原因となることも。シニアになっても理想体型をキープしたい。
背骨は触れる?
骨盤と肋骨の間の背骨を指の腹で左右に触り、背骨が触れれば肥満ではない。
肋骨は当たる?
肋骨を前後に触って洗濯板のようにゴツゴツしていたら、痩せすぎ。標準は軽く肋骨が当たる程度。
異常を見つけるためにさらに詳しく検査を!
視診、触診、聴診だけではわからない病気もある。レントゲンや超音波での画像判断、血液検査などの数値を見て、総合的に検査しておくと安心。
血液検査
血液を採取して検査。血液化学検査や、赤血球や白血球の分類を調べる血球計算検査を行う。
針生検査
皮膚にしこりが見つかったら、針を刺して針生検を行い、顕微鏡で生体を調べる。
レントゲン検査
レントゲン検査で内臓や骨に異常がないかチェック。心臓の大きさや、内臓のしこりの有無なども確認。
超音波検査
お腹が腫れていたり、お腹の中にしこりがあるなど、異常があった場合は超音波でさらに詳しく検査を行う。
シニア犬の健康を守るQ&Aコーナー
シニア犬の飼い主が抱きやすい不安や疑問に、獣医師がズバッとお答え。正しい知識を持って、快適なシニアライフに挑もう!
Q.ワクチンや狂犬病の注射を打つと具合が悪くならないか心配です。
ワクチンのアレルギーや免疫介在性疾患があるならやめておいたほうがよいが、そういった病気がないのであれば、老犬でも打っておくべき。老犬のジステンパー性脳炎もみられるので、混合ワクチンを打っておいたほうが安心。狂犬病の予防注射も飼い主の義務として打つのが望ましい。
Q.全身麻酔をかけて歯石除去をするのが不安です。
歯石から起こる歯周病は命に関わる病気になることも。徹底した歯石除去をするには、全身麻酔をかけるしかない。まずは術前の検査をしっかり行って、麻酔がかけられる状況であるかどうか確認することが大切。術前検査をしっかり行う病院は麻酔技術もしっかりしているはず。
Q.シニア犬でも白内障の手術はできますか?
白内障を治すには、手術をするしか方法がない。麻酔がかけられる犬であれば、シニアでも白内障の手術を受けることは可能。ただし、術後に毎日の点眼が必要となってくる。飼い主がきちんと管理ができるかどうかが重要。予算の問題もあるため、手術をするかどうかは、獣医師とじっくり相談を。
Q.老犬になって散歩に行きたがらなくなりました。毎日、散歩は必要ですか?
心臓病を持っていて、かかりつけの獣医師に運動を控えるように言われているなら散歩はやめたほうがいい。また、歩くと足が痛いと、散歩を嫌がることがある。健康診断をして心臓も足も問題なければ、毎日散歩に行くのが理想的。散歩をたくさんしている犬ほど長生きする傾向にある。
Q.最近、硬いフードを食べにくそうにしているのですが?
歯周病にかかっていたり、顎の力が弱まっていると、硬いフードが食べにくくなる。また、クッシング症候群にかかっていると筋肉の力が落ちるので、噛む力が落ちて、硬いものを食べるのを嫌がる傾向に。ただし、一番多い理由は、美味しいおやつを与えていて、硬いフードが欲しくなくなってしまう。食の好き嫌いが生じているケースも十分考えられる。
Q.いつも同じ場所でずっと寝ています。ただ寝ているだけなのか、具合が悪いのか判断する方法は?
年を取ると難聴になって、反応が鈍くなってくることがある。意識ははっきりしているけど、ずっと寝ていたくて動かないこともある。寝ている時間が長くても、食事をいつも通りきちんと摂れるなら心配は少ないが、日頃から健康診断で異常がないかチェックしておくことが大切。
Q.飼い主が日頃からできる健康チェック法を教えて!
日頃から、愛犬をよく触ることが大切。顔周り、お腹、足先、耳の裏までくまなく触って。また、お腹を指の腹でジワーッと触って、お腹の中にしこりがないかどうかを確認。皮膚の毛づやや、毛を逆なでて皮膚の状態もチェックしておこう。何か少しでも異変があれば、獣医師に一度相談を。
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ダックススタイル vol.27『スタッフ犬ルビーが実際に健康診断を受けたらいろいろ判明……。シニアさんの 聞くべき やるべき 健康チェック』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。