犬びより

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寒さや高齢の他にも理由がある?犬の震えから考えられる病気や中毒

2018/12/18

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多くの原因が隠されている犬の震え。病気によるものだけではなく、中毒、外傷、心のバランスの崩れによって引き起こされることもある。一筋縄ではいかない震えだが、その原因を整理し、震えの知識を備えておこう。
 

ここが悪いと犬は震える

どうして震えるのか、というところを理解すれば、多少は不安を解消できるし、素早く対応することもできる。そのための知識として頭に入れておきたい。

■中枢神経(脳・脊髄)
脳と脊髄を中枢神経といい、身体のほぼ全てを支配している。ここに何か疾患や異常が現れると、それらの病気によって様々な症状が現れてくるのだが、その症状のひとつに震えが挙げられる。振戦(震え)だけでなく、けいれんも脳の異常によるものが多い。

 
■筋肉
神経を伝わってある部分に震えが現れる。それだけではなく、筋肉そのものが原因で震えることもある。いわゆる筋肉疲労や筋肉痛である。運動量が異常に多い使役犬などでは、震えが現れやすいと考えられる。筋肉の病気による震えもある。

 
■体内環境(血液など)
血液内のバランスが崩れても震えの原因となる。低血糖症が代表的な例であるが、それ以外にもカルシウムやナトリウムが高すぎても低すぎても震えが現れる。これらは、考えている以上に重篤な症状と言えるので、早急な治療が必要となる。

 
■抹消神経(中枢神経と筋肉をつなぐ神経)
中枢神経を幹とすれば、そこから枝状に体の隅々にまで行き渡っているのが末梢神経。したがって指先などの体の末端が震えることが多い。原因はまだよくわかっていないが、なんらかの理由で交感神経が刺激されて引き起こされていると考えられる

 

犬の震えを引き起こす病気

愛犬が震えることで飼い主が一番気になるのは、それが病気による震えなのかということ。気にしなくてもいい震えと、病気が原因での震えを、ほとんどの飼い主は見分けられないと思うので、なお厄介なのである。

■突発性全身性振戦症候群
犬の震える病気で最も多いのがこの病気である。別名、ホワイトシェイカードッグ症候群と言われている通り、白い犬に発症例が多い。その原因は解明されていないが、遺伝的要素があるのではと考えられている。脳脊髄に炎症が及び、ステロイドや免疫抑制剤を投与することで改善される。免疫関係の異常と考えられており、日本犬の症例はほとんどない。

 
■小脳低形成症
小脳が成長せず、萎縮してしまった状態で生まれてくる先天性疾患。体の震えの他、歩く時にふらつきが見られたり、眼振を起こしたりすることもある。

 
■脳の腫瘍
脳にできた腫瘍が震えの原因になることも多い。微細な震えだけでなく、てんかん発作の原因でもある。治療がなかなか難しい病気のひとつである。

 
■突発性頭部振戦
ヘッドボビングとも呼ばれ、頭が震える症状が出る。原因はよくわかっておらず、遺伝が関係しているのではと疑われる。洋犬の中型犬に発症することが多い。何か動作を始めると、震えは止まる。悪化はしないので治療も必要ない。

 
■甲状腺機能の異常
細胞の代謝を促進するが甲状腺ホルモン。これが老化など何らかの理由で機能が低下することで、震えが現れる。甲状腺機能に異常が現れると、震え以外にも様々な症状が現れる。

 
■筋肉疲労
過剰な運動などで筋肉が疲労し、その働きがアンバランスになった時筋炎を引き起こし、熱を帯びたり力が入らなかったりする他、震えが現れることもある。

 

震えを引き起こす中毒物質

■マカダミアナッツ
成分中、何が震えを引き起こしているかは今のところ明らかになっていない。これを摂取することで、筋肉が脱力することがある。

 
■ボツリヌス菌
食中毒の原因菌のひとつ。腐った肉の他、海や川や土などにも分布している。震えというより、全身脱力を引き起こし、最悪の場合は死に至ることも。

 
■キシリトール
多くの食品に含まれている糖アルコールの一種。犬がこれを摂取すると、低カルシウムや低血糖を引き起こし、震えが引き起こされることがある。

 
■ニコチン
タバコに含まれる有毒物質で、依存性が強力であることが知られている。常用した場合、ニコチンが切れると震え出す、ということが犬にも稀にある。

 
■イベルメクチン
腸管糞線虫症の駆虫薬のひとつで、フィラリアの薬に使用されている。これが震えを引き起こすこともあるのだが、日本犬での症例はあまりない。
 

 
■マリファナ
日本では所持も栽培も禁止されている麻加工の薬物。犬が服用すると深刻な症状が出る。アメリカでは犬の誤飲が問題化されているとも。

 
■有機リン
農薬として使用される殺虫剤として身近な存在。かなりの毒物であることは容易に想像でき、末梢神経や筋肉に刺激を与え、震えを引き起こす。

 
■エチリングコール
保冷剤として身近に存在している。脳や神経系の障害を引き起こし、震えを誘発する他、腎臓にも悪影響を与える。多量摂取は死に繋がる。

 
■メタルアルデヒド
ナメクジ駆除剤として使用されている他、キャンプ用の固形燃料としても利用されている。これを口にすると、脳に影響を及ぼし、震えなどの異常が現れる。

 
■カフェイン
アルカロイドの一種で、薬としても使用されている。犬にとっては劇薬に近く、中毒症状を引き起こしやすい。コーヒーだけでなく、チョコレートも。

 

犬が中毒を起こす物質は生活の端々に存在する

上の中毒物質を見ていただけばわかるように、一部例外を除くと犬が中毒を起こす物質は身近なものが多い

好奇心や興味本位でつつく、かじるといったことは犬にとってはごく普通のこと。しかし、それは大事故に直結する危険な行為であり、そのようなことが起こってもおかしくない状況が家の中には溢れているのである。このような製品の管理は、やはりきちんとしておきたいもの。

飼い主の知らないところでそれらを口にした愛犬が震えながら現れても、飼い主にはなかなかその震えの理由を察することはできないだろう。そして、それらが引き起こす中毒症状は、死に至る可能性も高いということを知っておくべきである。

 

心因性による震え

心因性の震え、というのは恐怖心であることがほとんど。これは犬が自身の体験に基づいて、再びそのような恐怖に置かれることを想像することで体が震えるということである。心因性による震えは、飼い主にとっても比較的想像がつきやすい。愛犬が怖かったこと、嫌だったことに思いを巡らせれば、何となく震えの理由がわかるだろう。

まれに、嬉しくて震えることもある

これら心因性によるものは、基本的には身体を危険な状態に陥れるものではない。

 

外傷の痛みによる震え

傷の痛みに関しては、飼い主としては取り除いてあげたいものである。痛くて震えているという姿は、犬にとっても飼い主にとっても辛いものだ。

愛犬が震えている時、飼い主としては体をさすったり抱きしめてあげたくなるのは当然。

しかし、それが逆に危険な場合もある。交感神経には闘争心を掻き立てる要素があり、そこが原因で震えている場合は攻撃的になりやすい状態にある。

特に痛みによって震えているときは、攻撃性が高くなっているので注意した方がよい

 
 
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Shi‐Ba vol.88『寒さや高齢の他にも理由がある!?震える犬』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。