犬びより

犬という生き物、はたして利己的なのか?利他的なのか?本性を探る!

2019/11/20

犬が利己的か利他的か、徹底追究する本企画。利己的に決まっているでしょ、というそこのあなた。この特集を読めば、実は想像以上に利他的な性格も持っていることを理解するはずだ。是非読んでほしい!
 

 

犬は利己的だと思っていたけれど……

犬という動物は利己的か利他的か?難しいテーマなので、まず家庭犬にとっての利益を考えてみる。多分、オヤツが欲しい、飼い主を独占したい、もっと散歩に行きたい、もっと寝たいなど、単純なものだろう。

それを踏まえた上で、まず個人的な意見を言うと、ズバリ利己的! だって、犬を見ていると欲望に忠実だから。オヤツをどーぞどーぞと譲ったり、飼い主の役に立ちたくて掃除をしたり、誰かに気をつかいまくる犬なんて想像できない。それに、ある程度自分勝手に生きているからこそ、犬は魅力的なのでは? とも思う。

動物行動学の視点ではどうなのだろう。生物学的な「利益」とは、一般に、できるだけ長く「生存」し、できるだけ多く「繁殖」すること。そうすることで自分の遺伝子を多く残せる。以上から、利己的とは「自分の生存や繁殖を最優先する行動」のことをいう。

一方、生物学的な利他的行動とは、自分の生存や繁殖に損失をもたらしてでも、他個体の生存や繁殖に利益をもたらす行動のこと。生物は利己的な行動をすれば、進化的な競争に勝ちやすい。そのため、生物は利己的行動をとりやすい。

しかし、ある条件下では、利他的にふるまうのは確かだともいわれている。

果たして、犬は利己的、利他的、どっちなのか検証してゆこう。

 

利他的なのは実は条件付き?

動物は、利他的な行動もとる。その条件の一つ、それは血縁関係があるかどうかだ。血縁者を守ると自分の遺伝子が増えてゆき、集団として進化的な利益を得られるからだ。

生物の代表的な利他的行動は子育て。親は時間と労力をかけて子供の世話をする。犬の先祖のオオカミは繁殖相手のオスとメスとその子供からなる家族で生活しており、母親だけでなく父親も育児に協力する。

さらに興味深いのは、前年に生まれた子供が、次の年に生まれた子供の世話をすること。現在の飼育下の犬は人間によって繁殖が管理されているので、集団でどのように子育てをするのかはよくわかっていないが、オオカミの行動から考えると利他的にふるまう能力はあるだろう。

血縁ではない間柄でも、利他的行動が生じるかどうかについては見解が分かれている。ということは愛犬は、血縁関係にない、飼い主には利他的行動をとらないのだろうか。

 

犬と飼い主の関係は利他を呼ぶ

だが、安心してほしい。犬と人間の場合、別の種なので血縁はあるはずがないのだが、互いに利他的に行動することがある。

実際、イギリス・ポーツマス大学の研究チームが、犬が利他的な行動をとることを実験的に示した。簡単にまとめるとこうだ。

まず実験部屋で飼い主がメモ帳を使っているそぶりを犬に見せたあと、他の部屋に行く。違う人間が実験部屋に入り、犬の前で3つの中の見えない容器にホッチキス、メモ帳を隠し、戻ってきた飼い主がメモ帳を探すふりをする。

すると、犬はメモ帳を隠している容器を最も長く見た。つまり飼い主が探しているメモ帳がその容器に入っていることを教えようとしたという結果が出たのだ。しかもオヤツやオモチャではなく、犬が興味のないメモ帳のありかを教えたので、「無私の心で飼い主の役に立とうとした」ということになる(Piotti & Kaminski, 2016)。

原則、別の種が同じ場所に暮らせば、資源をめぐる競争が起こる。一方、犬と人間の関係は、異なる種が共生する稀なケース。しかも、その共生関係は進化の長い歴史を経て作られてきた。現代の犬にとっては、人間もいわば身内のようなもの。

家庭犬にとって人間は生まれた時から、ゴハンをくれたり、世話をしてくれる存在。この関係は、同種の親子関係と似ている。多くの生物は産みの親より育ての親に愛着を感じる

人と犬の間に、血縁のつながりに匹敵するような強い絆が生まれ、その結果、利他的な行動をとるということだ。

 

犬にはさまざまな性格が同居

相手に見返りを求めない利他的行動は、これまで人間固有の特質と考えられてきたが、近年は犬も持っていると言われ始めている。

その中の一つの研究は興味深い。1年以上一緒に住んでいる仲良しの犬には、自らが得られるはずのフードを分け与える行動が見られたというのだ。知らない犬に対しては、その行動は少なかった。つまり、犬は親しい犬と見知らぬ犬を区別した上で利他行為を行うということでもある(Dale et al., 2016)。

犬の利他行動は未解明な部分が多いが、この研究結果が示すのは、犬は血縁者でなくても仲が良い相手であれば協力する可能性があること。少なくとも、犬は自分との関係性が深い相手と、そうでない相手を弁別する能力があり、相手に応じて行動を変えるようだ。

進化上の利益を考えれば、生物は基本的に利己的な存在と言える。そんな利己的な個体が集まっているのが、生物の社会。そこで自分勝手な行動ばかりすれば、その個体は集団で攻撃されたり仲間外れにされたり、逆に損をするだろう。

社会の中で個体が生き抜くには、他の個体との良好な関係が不可欠。結局、相手との関係を考慮しながら、自分の欲求を抑えたり相手に協力したりする方が得になることもある。

ちなみに、利己的な性格は環境や育て方で悪化も改善もすることがあると考えられる。自分勝手にふるまって良いことが起これば、その行動は強化されるからだ。

つまり、基本的に生きるために利己的だが、その割合は増えも減りもするということだ。犬にもさまざまな性質が同居しているのだから、どこを伸ばすかは飼い主次第ってとこ。

そもそも、利己的って悪いことなのだろうか? 利他的すぎると周りを気にしまくって、個性がなくなることもある。

利己的さも、利他的さも愛してあげられるようにしたいものだ。

 
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Shi‐Ba vol.104『犬という生き物、はたして利己的なのか?利他的なのか?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。
 

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