犬びより

カリカリの食感と栄養バランスを追求! オリジナルドライフードを作ってみた

2020/02/13

ほとんどの犬が食べているであろう、ドライフード。どんな風に作られているかも気になるところだが、あの“カリカリ”した食感の食べ物を、手作り食のように自宅でも作れるのか……そんな素朴な疑問を解決してみた!
 

 

ドライフードは利点がたくさん

手作りのドッグフード

今回号でマニアする“ドライフード”は、犬用のペットフードで最も一般的です。保存性、利便性、コスト、消化性や嗜好性、形状や風味などの多様性においても利点があります。

ペットフードは、その使用目的により「総合栄養食」「間食」「その他の目的食」に分類されます。

現在市販されているドライフードはすべて「総合栄養食」です。このことはAAFCO(米国飼料検査官協会)が定める特定のライフステージに必要な栄養基準を満たすことを意味しています。

そのフードと水で健康状態を維持できるように栄養配合されているため毎日の「主食」に適しています。

 

ペットフードの製造方法

ライフードとセミモイストフードは、現在ではエクストルーダーという加熱・加圧押出機を使用した「エクストルージョン」という製造方法が一般的です。

下のような工程で、短時間に大量かつ安全な製造が可能です。

(1)各種原材料

ペットフード製造において栄養基準やラベル記載方法などは、一般的に世界的に最も権威のある団体AAFCOの基準にそって記載されています。使用原材料は多い順に記載され、栄養添加物や酸化防止剤など使用している原材料はすべて記載しなければなりません。

 
(2)粉砕と混合

 
(3)エクストルージョン

80~200度で、練る → 寝かす
→ 成型 → 膨張 → 切断

・成型について
切断部分には「ダイ」と呼ばれる抜型が装着できるようになっています。この種類を変えることで一度に様々な形状のドライフードの製造が可能です。

・焼く段階について
エクストルージョンがいわゆるオーブンなどの「ベーキング」と異なるのは、作業をしながら同時にオーブン作業を行える点です。またパワーがオーブンよりも強いため高温短時間作業が可能で、配合の多様性、微生物の完全殺菌、消化性の向上などに有利です。

 
(4)乾燥、冷却

 
(5)コーティング

 
(6)包装

 
■フードメーカーは飼い主の意向も十分に取り入れて商品開発

手作りのドッグフード

ペットフードの製造方法の中心は、上で紹介したエクストルージョンによるものです。かつては、ライフスタイルやライフステージに応じて製造されてきましたが、近年では、さらに多様な目的に応じた商品の開発が進んでいます。

この背景には、飼い主さんの健康志向が高まってきたことも影響し、現在の大きな波は「グレインフリー」「ヒューマングレイド」「機能性成分」に大別されます。

「グレイン」とは、米、麦、トウモロコシなどの穀類のことで、かつてはペットフードの主要炭水化物源でした。「グレインフリーフード」では、これらは不使用。先発商品は高たんぱく高脂肪で、後発商品ではグレインは使用していないもののサツマイモや豆類などの炭水化物を配合した商品へと移行しています。

「ヒューマングレイド」とは、原材料がヒトの食品と同等の品質であることを謳っています。飼い主さんは正体不明ではなく、何であるか明確な原材料を求める傾向にあります。

「機能性成分」では、関節をサポートするコンドロイチンやグルコサミンなどが以前からあり、現在はフリーラジカル細胞からの障害を防ぎ、健康で長生きに役立つカロチノイド類などの“抗酸化成分”が注目されています。

ペットフードの栄養基準はAAFCOにより更新はされているものの、基本的な栄養の配合バランスにはそれほど大きな変更はありません。つまり、ペットフードは飼い主さんの希望や人の健康トレンドから進化し、続々と新商品が開発されていると言えます。

 

ドライフードは自宅でも作れるのか?

手作りのドッグフード

「あのカリカリのドライフードは自宅でも作れるのか?」結論からいうと、エクストルーダーで製造するようなドライフードではできません。大きく異なる点としては次のようなことがあげられます。

(1)安定した栄養バランス

エクストルーダーによる製造方法では、キブル(粒)ごとに栄養素のバラつきが生じないように最初に粉の材料を粉砕し、そこへ液状の材料を加えます。さらに製造工程中に発生する栄養損失を、あらかじめ添加するなど総合栄養食としてAAFCOの栄養基準を数値的にクリアするように製造されています。

 
(2)硬さ、食感

ハイパワーの機械で高温短時間製造、乾燥工程まで一気に仕上げるため目的に応じた硬さの調整が可能です。

 
(3)安全性、保存性

ドライペットフードは、「保存」が前提で製造されています。保存において最も危険なのは、毒素を作り出すカビや微生物の発生です。エクストルーダーでは、高温短時間調整で微細物の殺菌を行い、フード中に水分量の調整、防腐剤や酸化防止剤の添加などにより安全に保存できるように製造することが可能です。

 

自家製ドライフードを作るにあたり、前述の違いの幅を狭めるために次のような工夫をしてみました。

 
■最初から粉砕されている原材料を使用

質や水分含有量の異なる原材料を均一に粉砕することは難しいため、最初から微細に粉砕され、基本的な栄養バランスの整った成犬用粉ミルクを使用。これだけでは硬く焼くことができないため、入手しやすい強力粉、薄力粉、米粉、コーンスターチを併用しました。

 
■ベーキング温度と時間を調整

オーブンで、硬さを出す焼き方として、比較的高温で短時間で仕上げる方法と、低い温度で時間をかけて焼く2種類の焼き方で作りました。

 
■保存方法
仕上がったクッキー上のドライフードは、粗熱が取れた後、シリカゲルと一緒にジップロックで密封。冷凍庫で保存することにしました。

 

実験

手作りのドッグフード

[ 目的 ]

自家製のドライフードを作り、食感を比較する。

 
[ 材料 ]

成犬用粉ミルク

粉(強力粉、薄力粉、米粉、コーンスターチ)

 
[ 推測 ]

粉に含まれる「たんぱく質量」が多い方が、硬い食感に仕上がるのではないだろうか?

 
[ 配合 ]

粉ミルク40g+粉40g+全卵1/2個(25g)

 
[ 実験方法 ]

粉製品の部分を比較するため、配合をすべて同じにして生地を作った。また、生地のつなぎとして「卵」を使用。

 
[ 作り方 ]

(1)ボールに粉ミルク40g+粉類40gを加え、よく混ぜ合わせる。

 
手作りのドッグフード

(2)(1)に全卵の溶き卵を加え、ゴムべらで全体に混ぜたら手で一塊にする。
※粉によっては水を少しずつ加える。

強力粉
卵だけで十分にまとまり、クッキーの種のような状態に。

薄力粉
材料や作り方は強力粉の時と同様。

米粉
作り方(2)で、水(小さじ2と1/2程度)を少しずつ加える。

コーンスターチ
作り方(2)で、水(小さじ1/2程度)を少しずつ加える。

 
手作りのドッグフード

(3)(2)をラップで包み、手のひらでを10㎝x8㎝程度に広げ冷蔵庫で20分以上生地を寝かせる。

 
手作りのドッグフード

手作りのドッグフード

(4)冷蔵庫から出したそれぞれの生地を各1/2に切り分け、半分は冷蔵庫へ戻す。まな板にそれぞれの粉で打ち粉をし、8cm×11cmに麺棒で伸ばし、1cm角に切り分ける。

 
手作りのドッグフード

(5)オーブントレイにキチンペーパーを敷き(4)を並べ、予熱したオーブンで焼き色がつくまで焼く。(150度で30分、180度で10分)

 
[ 焼き上がり ]

オーブンから取り出し、クッキングシートごとトレイからはずして5分放置。

150度30分

手作りのドッグフード

焼き色(濃い順)
米粉>強力粉>薄力粉>コーンスターチ

 
180度10分

手作りのドッグフード

硬さ(硬い順)
薄力粉>コーンスターチ>強力粉>米粉

 
[ 市販のドライフードにより近づけるために ]

手作りのドッグフード

ペットフード製造では、乾燥後に「ダイジェスト」と呼ばれる犬の好む風味(主に脂肪やアミノ酸を発酵させたもの)をコーティングします。

今回の自家製ドライフードでは、愛犬の好むたんぱく質源の食品を使用してコーティングをすることで嗜好性がアップし、たんぱく質の必要量を調整することが可能です。

乾燥させたフードの表面にまんべんなく付着するようにするには、水分や粘度のある食品を使用するといいですね。

≪例1≫
カテージチーズ+水
カテージチーズに同量の水を加え伸ばして自家製フード全体にコーティング。

 
≪例2≫
カテージチーズ+鶏肉+水
茹でた鶏肉をみじん切りにしたものとチーズを水と混ぜて自家製フード全体にコーティング。

 
≪例3≫
納豆+水
納豆をフォークでつぶし、適量の水を加えて混ぜたものを自家製フードにコーティング。

 
[ 結論と考察 ]

小麦のたんぱく質であるグルテンが粘りと弾力に関係するため、これを低温で焼いた時に最も硬くなるかと考えていたが、実際は粘りと弾力が弱い薄力粉の方が仕上がりは硬かった。

一方で、米粉はモチモチとした食感に関与するアミロペクチンを含むからか薄力粉より硬くはならず、コーンスターチは表面は硬いが中は崩れやすく硬さには欠けた。

硬さは、180度10分でも、150度30分でもさほど大きな違いはなかった。仕上がりの焼き色は両温度とも強力粉が最も強く着いたが、米粉に関しては180度10分よりも、150度30分で色が濃く仕上がった。

これらの結果は、それぞれの使用した粉類の性質の違いが関与しているため、求める硬さや焼き色に仕上げるためには複合的に原材料を使用する必要性があることが考えられた。

硬さ、膨らみ具合や焼き色だけでも多くの知識や技術が必要であることを垣間見たような実験であり、エクストルーダーによるドッグフードの製造技術の素晴らしさを感じた。

 
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Shi‐Ba vol.103『カリカリの食感と栄養バランスを追求! 編集部オリジナルドライフードを作ってみた』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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