犬びより

日本犬のしつけ法。マウンティングや無視……順位争いに見える行動の理由

2019/08/02

飼い主たるもの、犬より上位に立たなければ!上下関係や主従関係に基づくしつけでは、このように考えがち。順位を争うよりも、良好な関係を気づいて楽しく暮らしたい。
 

 

順位争いに見える行動の理由

【うなる】
柴犬のしつけ
→不平や不満の表現、あるいは警告が目的
犬の不平や不満が声になることもある。嫌なことをさせない、あるいは慣らす。また、争いを避けるための警告の場合も。噛む前に警告することは長所だが、淡々と受け流し、原因に応じたトレーニングを。

 
【無視】
柴犬のしつけ
→他のことに集中、または無視が得と学習している
飼い主よりも他のことへの関心が強い。日本犬は自立心が強いため、自分の好奇心を満足させる方を優先する。あるいは、飼い主の呼びかけに応えても良いことがなかったため、無視の方が得と学習した。

 
【引っ張る】
柴犬のしつけ
→引っ張らないと進めないと学習している
犬の自然な歩調は人よりも速い。犬が行きたい方へ行くと、結果的にリードを持っている人を引っ張ることになる。やがて「人と歩く時は引っ張らないと進めない」と学習する。やめさせたい場合は、引っ張っても進めないことを教える。

 
【噛む】 
柴犬のしつけ

→プラスとマイナスの2つの感情がある
噛む行動は2つの感情に分けられる。甘えや遊びの噛みは相手に対するプラスの感情なので、噛む力が強くても叱らず無視で対処。身を守るためや独占欲による噛みはマイナスの感情。警告の「うなる」と同様に、原因を考えて対処。

 
【マウンティング】
柴犬のしつけ
→相手に対する親愛などプラスの感情の表れ
甘え、親愛の表現、じゃれ遊び、人の気を引く要求行動、性的な行動が考えられる。相手に対してプラスの感情を持っている行動。

関連記事:犬は馬鹿にしている?それとも発情?マウンティングの理由を探る!
 

自立心に基づく行動は順位と無関係

日本犬は自立心が強いため、意に染まない指示を無視したり、自分がやりたいことを優先したりする。

このような時に、「飼い主を下位に見ている」と解釈して、「飼い主が上位と認めさせれば解決」という考えに至る。上下関係で従わせようとする「順位付け」や「支配-服従」という考え方である。

飼い主と犬がどのような関係をつくるか、それはご家庭の自由。

しかし、家族として迎えた愛犬と毎日順位を争って暮らしたいだろうか? お互いに楽しく暮らせる関係を目指すべきだ。

また、順位をつけて従わせる場合、人が犬を力づくで抑える必要がある。ご家族全員が徹底できるならいいが、おとなしい人や子供には難しいと思われる。そのような人の指示に犬は従わなくなり、時には攻撃することもある。

『力の強い者が上位』と教えられているわけだから、当然の結果。犬を抑えられない人がいる家庭では、順位を争う関係は絶対にやめよう

 

年齢別・関係づくりの工夫

柴犬のしつけ

【子犬期】出生~4ヶ月
好奇心旺盛なこの時期に、いろいろなものに慣れる社会化を進める。日本犬は社会化適期が短い傾向があるので早めに。様子を見ながら家族以外の人、犬や猫などの動物、さまざまな刺激に慣らす。身体を触る練習も必須。

 
【思春期】4ヶ月~10ヶ月
多くの日本犬は心理的に自立し始める。子犬期の頃と同じように従わないからといって叱ったり強制したりすると、飼い主を疎ましく感じるようになり、今後の関係に支障が出る。特にオスはこの時期に行動が大きく変化する。

 
【若犬期】10ヶ月~3歳
体は一人前だがまだ大人の落ち着きはない。エネルギーを発散するために予想外のことをする場合も。この時期までの困ったことは、それができる環境に置いた飼い主の責任。ルールを教えながら基本的な関係を確立する。

 
【壮年期】3歳~8歳
気力・体力が充実している働き盛りの時期。個性に合ったライフワーク(大好きな遊び、アウトドア、トレーニングなど、やりがいのあること)を見つけてあげよう。大人同士としてそれなりの敬意を持って関係をつくる。

 
【熟年期】9~11歳
攻撃的な問題は減るが、頑固さは増してくる。今まで怖がらなかった音やものに急に恐怖感を抱くようになることもある。この時期になったら基本的な性質に根ざす問題は生活の工夫で対応し、関係を深めるように努めたい。

 
【初老期】12歳~14歳
体力が低下するので、先回りしてフォローする気づかいを。熟年期より恐怖を感じるものが増えたり、刺激や環境の好き嫌いも強くなったりするが、環境の整備で対処すること。体力に合わせて楽しめることを見つける。

 
【老年期】15歳~
体力の低下に加えて五感のすべてが衰えてくるので、それぞれの状態に応じたフォローができるようにしておくこと。認知症を発症しなければ学習はできる。共に暮らしてきた愛犬へ敬老の心を持って接したい。

 

自発的な良い行動を褒めて

柴犬のしつけ

日本犬に対すると誤解を解くことが、互いに楽しく暮らすための関係づくりの第一歩。

そして、犬の気持ちになって考えることも必要だ。誤ったしつけや思い込みの習慣によって、犬も飼い主を誤解していることがある。順位を争う関係にもとづくトレーニングは、犬を服従、我慢させること。人の都合を押しつけるばかりでは、犬に良いことがない。犬は『人の指示に従うと損』と学習してしまう。

このような誤解をさせないように、一方的ではなく相互のコミュニケーションを考えることが大切

そのためには、人が指示を出すばかりではなく、犬の自発的な行動や態度に注目すること。家庭犬と作業犬を比較するとわかりやすい。

まず、家庭犬に必要な能力は、命令に従うことよりも適切な生活態度。飼い主がオスワリなどをさせることもあるが、そのような指示の時間はごくわずか。犬は大半の時間を自発的なことをして過ごしている。この指示を出していない時の良い行動をしっかりほめることで、マナーやルールを身につける。

作業犬は命令に従う能力が重要で、日常の生活態度は二のだが、家庭で暮らす日本犬は、作業犬ではなく家庭犬。日常生活に本当に必要なことを見直して、良好な関係を築きこう。

 
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Shi‐Ba vol.78『日本犬ならではのしつけ法、はじめました。vol.2 順位を争う関係にしない』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。
 

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