子犬時代に出やすい柴犬の問題行動。尽きない悩み、育犬ノイローゼを防ぐには?

飼い主が思う子犬のトラブルは、人間社会での生活に慣れないための失敗だったり、犬が生きていくうえで大切な行動だったりする。行動の原因や対処法を知って、うまくつきあっていこう!
 

 

生後3ヶ月のトラブル

育犬ノイローゼ

■甘がみ
生後3ヶ月~8ヶ月くらいの時期に必ずといっていいほど出てくる甘がみ。日本犬は特に甘がみが出やすい犬種といえる。甘がみはそもそも野生の生活で獲物をとらえてかんで食べることや、ものをかんで覚えることの練習であり、この先生きていくのに大切なこと。

甘がみをよくする=生きていく力が強いということだともいえる。

したがって、単にかむことを禁止するのでは犬のストレスに。かむ欲求をうまく発散する方法を学ばせながら、手などかまれて困るものはかませないよう、早いうちからしっかり禁じて。欲求を発散させてNGも教える

 
【対処】
かむ姿がかわいいので手をかませる人もいるが、続けると成長してから本気がみにつながる。

天然素材で、犬が前足で押さえてかめる大きさで、かんで満足できる固さのガムなどを与えて欲求はきちんと満たしてあげつつ、人の手などかんではいけないものをきちんと教えよう。

もしも手をかまれたら声を出さず、すぐ動きを止めて犬が離すのを待とう(手を引いてはダメ)。マズルをつかんでのしつけは犬の恐怖心をあおるので絶対に避けよう。
 
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生後5ヶ月のトラブル

育犬ノイローゼ

■イタズラ
家に来て数日経ってから始まるイタズラが、ピークとなるのが生後5ヶ月頃。

急に問題が出たように感じるかもしれないが、犬にとってはやっと家の環境に慣れて安心し、好奇心が炸裂したということなので、本来は成長の証として受け入れるべきこと。

1歳半までは好奇心旺盛な時期が続き、おちつくのは2歳以降なので、子犬のうちから対処を。そうでないと、大人になっても見境なくイタズラをするようになってしまう。

できれば8ヶ月頃までに破壊していいものと悪いものを教えておこう。

 
【対処】
イタズラに対して黄色い声をあげていると、犬は余計に興奮してやるようになるので、クールにふるまうこと。

イタズラしそうな時、オモチャやオヤツで気をそらし、やらなかったらほめたり、やったら隔離するなどして、イタズラをやらないといいことがあると認識させよう。

隔離の方法には、犬がイタズラしたらそのまま飼い主が部屋の外に出て扉を閉める、逆に犬を部屋から出して扉を閉める、などがある。

 

生後6ヶ月のトラブル

育犬ノイローゼ

■食の変化
パピー用フードは成長期の栄養を補うため、油っぽくてカロリーが高くなっている。

犬も成長するにつれて比較的あっさりとした食事を好むようになるので、生後6ヶ月くらいになると、パピー用フードを食べなくなることが多い。

あわててトッピングなどしてしまうと、偏食になる場合があるので避け、成犬用フードに少しずつ切り替えること。

食フンは犬にとって普通の行動。フードの匂いがするし、ほかほかしているので食べたがって当然なのだ。未消化の食物が多く含まれていると、余計に食べたがる。

 
【対処】
パピーフードを食べなくなったら、成犬用フードに少しずつ切り替えていこう。

食べないからといってあれこれトッピングしたり、オヤツで補おうとすると、偏食するようになってしまうので避ける。

食フン対策として、排便した後はこまめにとることのみ!

犬が自分の便に異常に固執する場合は、食べたものが未消化ゆえに便がいい匂いでより魅力的に感じているせいかもしれない。検便時に消化の状態を調べてもらうといい。
 
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■トイレ
家に来たばかりの頃は、ペットショップなどそれまで犬がいた環境での排泄状況が影響するが、室内で飼う場合は、家に迎えてからは飼い主がトイレを教えなくてはならない。

外で排泄をさせるのでもいいが、雨や台風の日のことを考えると、室内トイレでもできたほうが安心だし、飼い主も楽になるはず。トイレのしつけを犬が習得するまでには半年くらいかかると覚悟し、すぐに結果を求めるのではなく、1歳くらいまで根気よく教えていくこと。

また、せっかくトイレを覚えても、生後5~8ヶ月くらいから急に失敗するようになることも多い。

 
【対処】
トイレを教えるには、サークル内に十分な大きさのトイレを設置した上で、犬が排泄しそうなタイミングで誘導してサークルの扉を閉じ、排泄するまで待って、できたらオヤツなどをあげてほめる。毎日根気よくしつけることが肝心だ。できなくても焦らず、数ヶ月かけて教えよう

柴犬はキレイ好きなので、シーツはこまめに取り替えること。トイレを覚えた犬が急にできなくなっても自然なことなのでおおらかに構えて。

 

生後8ヶ月のトラブル

育犬ノイローゼ

■夜鳴き
夜鳴きは環境の激変によるもので、当然の行動。人の気配のあるところで眠らせ、慣れるまでは飼い主も我慢!柴犬は、何かに警戒したりして吠えることが多い。

飼い主が原因を探って吠えないように環境を整えて。例えば朝の時間に決まって吠えるなら、飼い主の外出が寂しくて吠えるのかもしれないし、外に向かって吠えている時は宅配便の車が近づいた時と決まっているかも。

ただ叱っていると、犬はより吠えるようになり、飼い主にも余計にストレスになる。まずは犬の立場に立って考えて。

 
【対処】
吠えを助長しないように原因を探り、吠えないようにしむけよう

犬が吠えている時間や室内外の状況、家族の行動などをチェックしておき、吠えそうなタイミングになったらオヤツをあげて気をそらしたり、いつも吠えるシチュエーションを崩そう。

 

育犬ノイローゼとは?

 
■犬ノイローゼを防ぐためのポイント

1.「どうしてできないの?」という考えを切り替える。原因を調べたり誰かに相談して踏み出す。

2.犬の目の前の問題にばかり目を向けてイライラしない。成長の過程で通り過ぎる問題も。

3.よその犬と比べない。犬も生き物なので、一匹一匹個体差があり、性格や覚える早さは違う。

4.完璧な育犬にこだわらない。雑誌で見る通りにしなくても、必要なしつけさえすれば困らない。

5.相談できる人を見つける。家族や友達、獣医さんなど。信頼できる情報をネットで見つけても。

6.犬の生理や習性を勉強する。人間とは違う生き物だと理解すれば、できなくて当然と思える。

7.自分や犬に合ったしつけ方法を見つける。改善の兆しが見えなければやり方を変えてみても。

8.理想的に育っている犬のしつけ方法を参考にしてみる。パピークラスに通うのもおすすめ。

 
どうにもできないことを、ただ思い悩んでいても意味がない。どうしてできないの? と思考停止するのではなく、まずは動いてみること。しつけがうまくいかないなら、本などで犬の視点、習性、理解の仕方などを調べてみるとか、犬の様子を冷静に観察してみることで、解決に向かうヒントが出てくるはず。

しかし、しつけにおいては、雑誌や本の通りには必ずしもいかないと心得て。ダイエットなら、本の通りやせるとは限らないとわかっても、犬のしつけとなると、理想を目指してストイックになりすぎる人もいる。できなくても当然という視点でいれば、犬をほめる機会も多くなってくるので、犬のやる気もアップするはず。

解決策が見いだせなかったり、どうしても気持ちを切り替えられないなら、身近な人に相談してみよう。家族や友達、獣医さん、近所の犬友達に愚痴を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になるし、解決の糸口が見えることも。また、ネットで信頼できる人の発言を読むのもいい。楽しく遊ぶパピースクールもおすすめ。楽しんでいる人や犬を見れば、同じ気分になれるかも

 

イライラせず満喫しよう

育犬ノイローゼ

子犬らしいヤンチャな時代は、長くてもせいぜい1歳半頃まで。特に日本犬は大人になるのが早いので「振り返ってみると子犬時代はほんの一瞬だった」という飼い主の声も多い。

だから問題はさまざまあっても、日本犬の習性を知り、おおらかに構えて、この時期だけのかわいい子犬との生活を満喫しよう。

一方、社会化期はいろいろな事柄への大切な体験期でもある。けじめをつけつつ、犬が楽しめる方法で体験をさせよう。子犬時代に学習したことは、プラスであれマイナスのことであれ、性格としてこの先根付くことになり、かむ、うなる、おびえるなどの経験を積み重ねた犬は、攻撃行動に出やすくなる。

特にかむことを覚えた犬に対して、かむ行動をゼロにさせることは不可能に近い。逆に言えば、もともとかみやすい素因を持っている犬もいるが、かむ行動を覚えさせなければ、いざという時にかむ犬には育たずにすむ。

またすでに成犬になっている場合で、しつけがうまくいかずにいても、根気よく練習すればやり直しはきく。犬は飼い主の鏡。もしも犬をこうさせたい、という願いがあるならば、まずは飼い主がアクションを起こし、犬を導いていくことが肝心なのだ。

犬は一度飼い主と絆を結んだら、ピュアな信頼と愛情をずっと与え続けてくれる存在。一生ものの関係を結びたいなら、愛情をかけ、時間をかけ、手をかけ、目をかけ、気をかけながら、じっくりつきあっていこう!
 
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Shi‐Ba vol.67『尽きない悩みや育児ノイローゼ……その子育て、応援します!天使のようで悪魔な子犬?』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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