年中、お出かけへの意欲満点なコーギー飼い主さん。安心安全な犬連れ旅行を楽しむために、まずは犬の性格や行動を見直し、持ち物の準備や注意点をチェックしておこう。
必見!確認と準備
出かける前に、持ち物や移動中・旅先でのマナー、犬の状態なども確認。車中や観光地での振る舞いが、思いがけないトラブルに発展することがあるので、情報収集も忘れずに。
持ち物
□ リード、ハーネス(首輪)
伸縮式リードは係留できず、いざという時に犬をコントロールできないので、伸縮式でないものも用意。脱走予防のため、ハーネスや首輪のフィット感を確認しておこう。
□ 持病の薬など
持病があって、薬を処方されている場合は必ず持っていこう。薬は現地で入手することが難しいので忘れずに。
□ 酔い止め薬
乗る1時間前に飲ませると、ほぼ100%、1日吐かずにいられる酔い止め薬もある。獣医師に処方してもらおう。
□ 生理食塩水や包帯など
旅先では犬がけがをするリスクも高まる。万が一の場合に処置するためのグッズも用意。
□ カート
犬連れOKでも、下に降ろして歩くのは禁止な場所もある。行き先によってはカートの準備もしておこう。
□ 雨具
雨天の予報が出ている場合はもちろん、天候が変わりやすい場所に行くなら雨具も持って行くと安心。
□ ウエットティッシュ
犬用にはノンアルコールのものを。足拭き、ちょっとした体の汚れを拭く時などに便利。多めに用意する。
□ 食器
宿にもアメニティとして設置されていることもある。ない場合や使い慣れたものがいい場合は持参しても。
□ 遊び道具
フリスビーやボールなど飼い主が犬と一緒に遊びたいと思うものがあれば持っていこう。
□ 犬が落ち着くグッズ
知育玩具やぬいぐるみ、毛布など、普段から使っていて、あると犬が落ち着いていられるものがあると安心。
□ 迷子札など
万が一の逃走時に備えて、首輪に迷子札をつけておいたり、マイクロチップを装着したりしておくと安心。
□ 抜け毛掃除グッズ
出発前にブラッシングで抜け毛を取り除くことに加え、宿に抜け毛を残さないよう粘着ローラーなどを持参。
□ 食べ物
宿で提供される場合も普段の食事を持参すると安心。療法食を食べている場合は現地では手に入らないので必須。
□ オヤツ
犬としてはドライフードとオヤツの差は嗜好性だけ。普段の食事で足りるなら不要だが、必要なら持参する。
□ 水分
移動中は水を飲まない犬もいるので、飲料水と合わせてペースト状など水分含量が多く嗜好性が高めのオヤツもあると○。
□ うんち処理グッズ
外出先では特にうんちのにおいが問題となる。においが漏れにくい袋やダストボックスを持参すると安心。
□ トイレシート
実はおしっこの処理に水をかけることはあまり意味がない。外でもシートでさせるか、事後にシートで拭き取る。
□ 消臭スプレーなど
本来してはいけない場所でおしっこをしてしまったら、シートで拭き取った後に消臭スプレーをかけておく。
□ 鑑札、ワクチンの接種証明
鑑札と狂犬病予防注射の注射済票は犬に装着する法的義務がある。混合ワクチンの接種証明はドッグランやホテルに提出する場合もあるので複数枚コピーを。
健康チェック&情報収集
□ ワクチン接種
混合ワクチン接種は必須。山歩きや川遊びが好きな犬はレプトスピラワクチンも受けておくと安心。
□ 疾患があれば獣医師に相談
疾患があったり加療中の犬は、旅行の計画を立てる前に、必ずかかりつけ医に相談しておこう。
□ 行き先の公式情報をチェック
個人のSNSでは本来は違反である行為を知らずに行い、投稿している場合もあるので、必ず公式情報をチェック。
□ ノミダニ・フィラリア対策
自然の多い場所では特に虫刺されの機会が増える。宿に迷惑をかけないためにも必ず対策しておこう。
□ 現地の動物病院を調べる
旅先でのけがや体調不良が起きた時のことを考えて、現地の動物病院も調べておくと安心。
□ 立ち入り禁止エリアを確認
例えば自然公園や山、川などの場合、実は鳥獣保護区で犬は立ち入り禁止の場合もあるので注意。
□ 賠償保険に加入
犬同士や犬対人のトラブルで、損害賠償の問題に発展することも。万が一のために保険に入ると安心。
犬の体調をチェックし旅先でのマナーを確認
持ち物についてはリストの通り。ウエットティッシュなら現地で調達したり、タオルを湿らせて代用も可能。この他、犬が普段使っているもので、現地で入手したり代用したりしにくいものは、必ず持って行くようにしよう。
慢性疾患のある犬や加療中の犬は必ずかかりつけ医師に相談し、連れて行けるかどうか確認を。行き先については、口コミ情報やSNSの投稿だけでなく、公式情報を入手しておくことも大切だ。
「また観光地や宿、遊び場などに関しても公式情報を確認した上でマナーを守りましょう。マナーをしっかり守ってこそ、社会的に犬連れ旅行者の印象がよくなり、よりドッグフレンドリーな環境が増えていくと思います」
また犬同士や犬対人のトラブルで、損害賠償の問題に発展することもある。トラブルを未然に避ける工夫はもちろん、万が一のために保険に入るのもおすすめ。自動車保険の個人賠償特約やペット保険のペット賠償責任特約で補償できる場合もあるのでチェックしておこう。
乗り物
□ 乗り物に慣らしておく
車、電車ともに乗り慣れていることは必須条件。動くものに興奮しやすいので、車の中や駐車場で安全に過ごせるよう対策をとる。
□ 交通ルールを確認
実は犬を車中で自由に動き回らせたり、窓から半身を出させるような行為は法律違反となるので注意!
□ 電車でのにおいや抜け毛対策
不特定多数が乗車し、犬が苦手な人やアレルギーのある人もいる電車では特に配慮が必要。
□ タクシー会社を調べておく
通常のタクシー会社では犬連れだと乗車拒否されるケースも。事前に乗せてくれる会社を調べておこう。
日頃から乗り物に慣らし安全対策もしっかりして
乗り物は車が基本となる。愛犬を乗り物に慣らしておくことはもちろん、交通マナーを知っておくことも大切。
「よく走る車から上半身を出している犬がいますが、車の中で犬を自由に行き来させるなど運転手の気が散る状況にあると、安全運転義務違反になります。抱っこしながら運転して、違法積載で取り締まられた事例もあります。犬はクレートに入れて、安定した場所に置くか、犬用シートベルトをつける、犬用ボックスシートに載せるようにしましょう」
電車移動はクレートやキャリーバッグに入れることが必須となる。吠えることが多い犬は、周囲の迷惑となり、犬自身のストレスにもなるので乗車は避けたほうがいいだろう。マーキング癖がある犬もやめておいたほうが無難。
そうでない犬も、万が一の粗相のためにトイレシートやにおい対策を。犬が苦手な人も乗っていることを考え、事前にシャンプーやブラッシングをし、できるだけ清潔な状態で乗車すること。
「タクシー移動を考えている場合、すぐにはつかまらないこともあり、つかまったとしても犬連れだと乗車拒否されることも想定されます。どうしても使いたいなら現地のタクシー会社に問い合わせておくと安心です」
準備をしっかりしてこそ楽しい旅が実現できる!
準備が万全にできてこそ、飼い主も犬も落ち着いて、楽しい旅が実現できる。愛犬の性格や行動、トレーニングの習熟度などに不安を感じた場合は、思い切って旅行に連れて行かないという選択肢も考えておこう。
そもそも犬連れ旅行に行きたいのはあくまで飼い主の気持ちで、犬自身が移動中や旅先でいつもよりも楽しく過ごせるとは限らない。特に興奮しやすいタイプの犬は、慣れない環境下で強い緊張を感じやすい。旅行に行かなくても犬と一緒に楽しめることはたくさんあるので、違った過ごし方を探ってみてもいいのでは。
また他人や他犬に対して攻撃的な犬の場合は、接触する機会のない山奥のキャンプ場を選ぶことでトラブルを避けられる。これらに該当しない犬の場合でも、旅先では飼い主が名所を眺めたり、撮影したりすることに夢中になり、注意がおろそかになるためにトラブルが起こることも。
観光名所で犬がカートに乗り静かにしていられるタイプならいいが、そうでないなら観光と犬連れの両立は難しい。あくまで犬連れにこだわるなら、犬との時間に集中できるような行き先を選ぶことも大切だ。
楽しい旅への道のりは一歩一歩、着実に!
監修:堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。
Text:Makiko Nonaka
Photos:Minako Okuyama
Models:Rion、Riru、Sora
コーギーstyle Vol.47『行きたい!と思った今日からコツコツ 旅、事始め』より抜粋