ポイントをおさえて旅名人!愛犬と学ぶ宿泊マナー

愛犬と一緒に旅行へ行きたいと思っても「宿泊のマナーがわからない」「特別な準備が必要じゃないの?」と不安なことも多い。そこで安心して愛犬と旅行するための、マナーやコツを解説しよう! 合わせて、マナーを守るためのアイテムもご紹介♪

Text:Yoshiyuki Ushijima Photos:Mariko Nakagawa
客室監修:鹿野正顕先生
撮影協力:ホテル四季の蔵

日頃の生活の中で旅行の準備をしておこう

愛犬と楽しく旅行をするためには、愛犬の「社会化」が大切。散歩で犬とすれ違ったり、ドッグランで遊ぶのが平気でも、屋内で他犬が集まるシーンが苦手な場合がある。

そんな環境に慣れさせるには、しつけ教室に通うのがおすすめ。特に複数で行うグループレッスンが最適だ。

また、意外とできていないのは「トイレのしつけ」。屋内はもちろん宿泊施設の外で過ごすこともあるので、いろいろな場所で排泄をしてしまうと迷惑に。日頃から排泄しては困る場所では、リードを短く持ってむやみに排泄させない状況を作る。ごほうびをあげてモチベーションを上げ、迷惑のかからない場所へ向かうとよい。着いた後にリードを緩めて、自由に排泄をさせてあげる。飼い主さん主導で、排泄スイッチの切り替えができるようにしておこう。

さらに、部屋ではクレートに入れておかなければならない宿泊施設もあるので「クレートトレーニング」は大切だ。トレーニングと聞くと特別なことをしなければいけないと考えがちだが、普段からクレートをハウスとして使っていれば、特別なトレーニングは不要。寝床を持ち出すだけで済む。

客室

マナー①
ベッドに上がるのがNGの場合も
人が寝るベッドに愛犬を上がらせてはいけない施設もある。抜け毛やよだれなどでベッドを汚してしまったり、破損させてしまう危険性もあるため、施設のルールは事前にチェックしておこう。

マナー②
スムーズな排泄のためにトイレを持参しよう

部屋にトイレトレーを備え付けている宿泊施設も多いが、必ずあるわけではないので事前に確認しておこう。また、知らない場所で排泄しない犬には、普段から使っているトイレトレーを持参することも考えておきたい。

お守りアイテム・トイレトレー

 

マナー③
使い慣れたベッドや毛布を持っていこう

旅行に出かけて宿泊施設に泊まるということは、犬にとって慣れない環境で過ごさなければならないということ。
緊張を強いられることになるので、普段から使っている毛布やベッドなどを持参して、安心して過ごせるスペースを作ってあげよう。

お守りアイテム・使い慣れたベッドや毛布

 

レストラン

マナー④
食堂では足元にいるのが基本

犬連れOKの食堂でも、基本的に人が座るための椅子に上がらせるのはマナー違反。足元でフセができる場合は足元に、足元でじっとしているのが苦手な場合はペットカートなどに乗せて、そこで食事をするようにしたい。

 

マナー⑤
テーブルに上がったり人用の食器は使わない

犬も一緒に食事できる食堂の場合は、犬をテーブルの上に乗せない、人用の食器であげないというのがマナー。
犬と食事ができる宿泊施設には、犬用のメニューもあることが多いので、それを食べさせるようにしたい。

リラックスできれば備え付けのケージでもOK!

マナー⑥
クレートも持参すれば犬も飼い主も安全

部屋にケージなどが備え付けられていても、入りたがらない場合があるため、使い慣れたキャリーやクレートの持参が安心だ。
犬が立った時に頭より高さがあり、鼻先からシッポの付け根までの奥行きがあるのが、理想のクレートのサイズ感。

お守りアイテム・クレートやキャリー

共用部分

マナー⑦
共用部分では遊ばせないように

ロビーや廊下などでは、犬同士で挨拶させたり、遊ばせたりするのはマナー違反。
社交の一環として挨拶させる程度はいいが、そこから取っ組み合いに発展しては問題だ。共用部分では、いつでも愛犬を制御できる準備をしておこう。

マナー⑧
状況に応じてクレートを活用する

オスワリ、マテができる犬でも、何かの拍子に脱走するかもしれない。
普段とは異なる環境に刺激されすぎないよう、リードを短く持つ、安心できる空間であるクレートやキャリーの活用など、物理的なリスクマネージメントを行おう。

お守りアイテム・クレートやキャリー

 

マナー⑨
歩く時は通常のリードを使用

通路などの共用部分を歩く時、ノーリードはもちろん、ロングリードやフレキシブルリードを伸ばして使うことはNG。他犬との接触や、目を離した隙にマーキングをしていることもあるので、必ず通常のリードを使い、場合によっては短く持ってコントロールしよう。

お守りアイテム・通常の首輪

 

ドッグラン

マナー⑩
ドッグランではすぐにリードを外さない

ドッグランでは犬のテンションが上がっているため、入場すると他犬に囲まれることも。そこですぐにリードを外すとトラブルが起きやすい。ある程度愛犬が環境に慣れてからがベスト。また、他犬の入場時は一旦リードにつなぐ習慣をつけるとトラブルが起きにくい。

お守りアイテム・通常の首輪

 

マナー⑪
屋内に戻る際はなるべく清潔に

遊んだ後、部屋に戻る際は足洗い場で汚れを落としておくなどもマナーのひとつ。
宿泊施設ごとにルールが違うので、事前にホームページを確認したり、わからないことがあればチェックイン時に聞いておくとよい。

コラム

愛犬は1〜2歳の幼児と同じ
飼い主は愛犬に、小中学生の子供ぐらいのイメージで接していることが多いが、実際は幼児と同じくらい。1~2歳の子供に「待っててね」と言っても待てないし、歩く時に手をつながないのは危険。それと同じで、愛犬を公共の場に1匹で待たせたり、ノーリードで散歩するのは危険な行為なのだ。
その時のルールを知らなければ良いことと悪いことの区別は付かず、興味の矛先をコントロールできないということを把握しておこう。

安心できる道具を準備しておくのも大切

愛犬のしつけができていても「上手に連れて行けるかな」と、初めての旅行では飼い主側にも不安が多い。そこで、しつけの準備ばかりではなく、安心して旅行できる道具の準備もしておこう。

まずフレキシブルリードは引っ張られると危険なのでN G。たすき掛けできるリードを使えば、急に引っ張られても力が入るし、両手が空くので観光地を巡る時も便利だ。

また普通のハーネスを使っていると犬が引っ張りやすくなるので、引っ張り防止用のハーネスも合わせて準備しておくのがベスト。胸部分にリードを付けるので、引っ張ろうとしても体が横を向いてしまい引っ張ることができない。普段から首輪を使っている人は、抜ける可能性があるので、なるべくハーネスに替えるようにしよう。ただ、新しい道具に替える際はいきなり替えるのではなく、徐々に慣らしていくのが◎。

旅先ではキャリーに愛犬が入ってくれれば安心できるシーンが多い。観光地の人混みを歩く場合でも踏まれる心配はないし、宿泊施設の共用部分でも万が一の脱走に備えられる。

また、とっておきのごほうびを入れたトリーツポーチを腰からぶら下げておくのもおすすめ。いい子にしていられた時のごほうびとしてだけでなく、愛犬の緊張緩和にも役立つ。トレーニングの観点からも、すぐに与えられるようにしておくことが効果的。普段から持ち歩く習慣を付けておくといいだろう。

このように、しつけや道具の準備を万全にしておけば、初めての旅行も安心だ。ただし、しつけなどが完璧にできていなければ、旅行へ行けないわけではない。飼い主も愛犬も、旅行をしつけと学びの場と考えて、肩肘張らずに楽しんで、ステップアップしていくのが理想だ。

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