まる子:2021年7月現在、14歳。誕生月だった6月はオヤツをあげすぎ、梅雨で運動量が落ちたら体重が300g増量。猫兄妹8歳に一方的なライバル心を燃やしている。
高齢になり腎臓機能が低下するとオシッコが薄くなり頻尿に
「いつもの場所で排泄しようと思ったけれど散歩まで我慢できず出てしまう。これ自体は認知症ではありません。高齢になり腎臓機能が低下すると、薄い尿がたくさん作られ排尿回数が増えます。また筋力も衰えるので膀胱に溜めておけなくなり頻尿になるのです。オシッコの量が多いと排出される水分が多いので喉が渇きます。老犬がよく水を飲むのはそのためです」
排便では回数や量の増減が見られたり、排便時に時間がかかったり、肛門から便がぶら下がることもある。
「腰に痛みがあったり、背中やお腹の筋肉が落ちてきているので排便のスタイルを長い時間保つことが難しく、便が細切れになって出る可能性があります。また、消化機能が弱ると、便の量が増えることもあります」
認知症の排泄の失敗の特徴は、トイレではない場所で排泄する、排泄したばかりなのにまた排泄しようとする、排泄の素振りや意思表示がなく飼い主の目の前でする、など。
「脳の認知機能が低下し、〝今ここでするべきではない〞という判断がつかないのです。このような場合は、2〜3時間おきに外に連れて行ったり、トイレシートに誘導してみましょう」
最近の排泄状況
庭でうんこもしています!
以前は庭で絶対に排泄をしなかったが、半年前からオシッコは毎日、うんこは気が向いた時にするようになった。雨の日は助かっている。排泄の間隔が短くなったことを実感。
寝ている間におもらしか?
ある日気づくと布団に黄色いシミが! それ以降、注意してまる子がよく寝る場所をチェックすると、おもらしの痕跡を発見。「洗えば済む」と考え、まる子の好きな場所で寝てもらっている。
留守中に予想外のオシッコ
最初におもらしを発見したのが5月中旬。近所へ買い物へ行き留守にした30分の間にカーペットの上にしていた。まる子の様子は特に変わらず。猫の方がソワソワしていた。
今後の対策
頂いたオムツをはいてみた
マニアライターKが「犬友からもらった」というオムツを分けてもらった。近い将来つけるだろうなと想定し試着。激しく嫌がるかと思ったら、履いたまま歩いていた。一安心。
トイレトレーニング開始
カーペット、布団、クッションなど、もらすのは必ずフカフカした物の上なので、オシッコのにおいをシートにつけ、座布団の上でのトイレトレーニングを開始。成功体験はゼロ。
猫ケージでもトイレ練習中
自ら猫ケージに入って15分くらい出てこないことがある。嫌いな場所ではないようなので、ここもトイレトレーニング場所として考え目下練習中。しかしいまだ成功ならず。
日本犬は〝トイレは外派〞という犬も多いので、室内トイレをこの機会に教えたい。サークルで囲った空間にオシッコのにおいがついたトイレシートを敷き詰め、散歩の前などに排泄するまで中にいてもらう。排泄したらほめてオヤツをあげると、喜んで飼い主の目の前でするように。トイレはリビングの中心など目立つ場所に設置。できるようになったら部屋の隅に移動する。
「記憶力が低下しているので子犬の頃のように練習してすぐに成功するというわけにはいきません。でも子犬と違い、サークルに入れた時に出たがって暴れることも少なく、その中で寝てしまうなどおとなしく滞在してくれるのでトレーニングがしやすいです。焦らずのんびり見守って、愛犬とお話ししたり。そんな時間すらも本当に愛おしいものです」
うまくいかなければ獣医師やしつけの専門家に相談しよう。さらにオムツやパンツを履く練習をするのも良い。
「実際に終日つけておくと蒸れたりする心配があるので、排泄が頻繁になる時間帯に使うようにしてみましょう。排泄の失敗の片付けが簡単になり飼い主さんに心の余裕が生まれます。犬も頻繁にトイレに誘われることがなく穏やかに過ごせるようになるでしょうトイレが近い、足腰が弱ってきた、水をよく飲む、オシッコの量が増えた、などが見られたら排泄の失敗が出そうなサインです。また認知症の兆候には昼夜逆転、活動性の変化、怒りっぽくなる、排泄の失敗などが挙げられます。排泄の失敗は初期に見られる症状で14歳頃から始まる犬が多いです」
認知症以外のおもらしには、チョロっと出るマーキングや、興奮した時のうれションがあるが、老犬は些細なことでも驚くことが増えるので、怖い思いをしてちびることもある。
また、飼い主が別の場所にいる時に失敗をするのは分離不安の可能性も。心配ならペットカメラを設置して確認したり、頻繁にするようなら病気を疑い、動物病院で詳しく診てもらうと良いだろう。
今回気になったこと(5~7月)
猫砂食べて激しい下痢(涙)
5月中旬に突然激しい下痢になり、便を持って動物病院へ。検便の結果「見たことのない化学的な物質が含まれている」とのこと。最近のまる子の挙動不審な動きを思い返す。猫がうんこしたはずなのにトイレにブツがないことが何度かあった。その話を先生にしたら、原因は猫砂を食べたことではないかということで、整腸剤をもらい帰宅。翌日には完全復活を遂げていた。
猫トイレを高い場所に設置すべく考えた苦肉の策。猫が乗り降りする際椅子の上のトイレが動かぬよう、ガムテープで座面と接着。これ以降、猫糞&砂食い行為は起きていない。
まとめ
排泄の回数、タイミング排泄場所に変化が見られたら、飼い主は心の準備を
監修:茂木千恵先生
東京大学大学院農学生命科学科獣医学博士課程卒。獣医師。専門は獣医行動学。ヤマザキ動物看護大学准教授。教育・研究活動のかたわら、東京都町田市内でペットの問題行動治療やパピークラスの開催も行う。「飼い主が幸せになれば犬も幸せになり、犬が幸せになれば飼い主も幸せになる」という考えをベースとし、飼い主の話をじっくり聞くことも大切にした指導は、多くの人や犬から好評を得ている。
Text&Photos:Mari Kusumoto
Shi-Ba Vol.120『おとボケまる子日記』より抜粋