「愛犬は◯◯してばかりで困る!」と悩んでいる飼い主に朗報だ。
家族を困らせる行動こそ、愛犬に向いている遊び方を見つけるヒントになる。
「こうすれば遊ぶ」という小手先のテクニックで誤魔化されるほど日本犬は甘くないが、愛犬の気持ちがわかれば一緒に楽しい時間を過ごせる。遊びをコミュニケーションに役立てよう。
遊びに関する日本犬の飼い主の悩みは「素っ気ない」と「激しすぎる」の2パターンに分かれるのではないだろうか。日本犬に詳しい獣医師の山下國廣先生にタイプ別の理由を教えていただこう。
「素っ気ない場合の困りごとは、遊びに誘ってもすぐ飽きたりオモチャに興味がなかったりすることでしょう。子犬の頃はヤンチャに遊んでいたはずですが、飼い主さんに叱られて遊ばないほうがいいと学習した可能性が。成長するに従って、生活に必要ないからやらないという習慣が染み付いた結果かもしれません」
犬にとっては「今さら遊ぼうと言われても」という心境だろう。すぐ飽きる場合、単純な繰り返しで興味を失わせていることが多いが、最初から仕方なく付き合ってくれているのかもしれない。
「激しすぎる場合の悩みは、人の手足に噛みついたり飛びついたりすることでは? これらは本能的な興味によるアクティブな行動で、飼い主さんとの遊びを楽しんでいるからこそ出ます。むしろ歓迎してもいいくらいポジティブな動機です」
犬のじゃれ噛みを攻撃行動と勘違いする人もいるが、犬と対立する問題が起きていない限り、力加減ができていないだけだという。家族を困らせる行動は、愛犬が好きな遊びを見つけるチャンスだ。
お悩み
解決策
投げられたボールやオモチャを追いかけるのは本能的な狩猟行動だが、持って来て渡すのは教えなければできない。
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犬にリードをつけて自由にさせておき、不意に素早く引き寄せて間髪を入れずにごほうびを与える、というトレーニングを日常的に行う(リードで引き寄せられるとよいことがある! と教える)。
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長いオモチャを離れたところに投げ、犬がくわえたら「モッテキテ」と言ってリードで引き寄せる。
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持って来たオモチャとごほうびを交換。食べ物に興味のない犬はオモチャと交換。繰り返して「モッテキテ」を教える。
絶対NG!
犬を来させる時にリードをぐいぐいと力ずくで引っ張るのはNG。綱引きのようになると犬は反射的に抵抗し、引き寄せられることに嫌な印象を持ってしまう。
お悩み
解決策①
遊んでいる時に手を噛まれる理由はオモチャが小さすぎる可能性がある。単純だがオモチャを大きくするだけで解決するケースも少なくない。
解決策②
パペットタイプのオモチャを手にはめた時だけは噛んでもOKというルールにしよう。手は噛んで遊ぶものではない、ということを教えるため、手を噛んだら遊びを終了する。
お悩み
解決策
オモチャを犬が離さない場合は決して叱り声を上げず、オモチャごと犬を釣り上げて待つ。日本犬は長時間くわていられないので、放した瞬間にほめる。
お悩み
解決策
犬が飛びついたら遊びを中断し、落ち着いたらオモチャを低い位置に持って再開する。困っていないのであれば飛びつくことも遊びに取り入れて楽しもう。
監修:山下國廣先生
日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒、獣医師。犬のトレーニング、問題行動治療を行う「軽井沢ドッグビヘイビア」主宰。家庭犬のしつけ指導から作業犬の訓練まで、 幅広く活動している。災害救助犬としても活躍した甲斐犬のすぐり(オス)と、15年7 ヶ月を共に過ごした。
軽井沢ドッグビヘイビア
☎0267-25-6831
mail:karuizawa@mbm.nifty.com
https://www.karuizawa-dogbehavior.com
Text:Shio Kaneko Photos:Minako Okuyama Models:Dai、Fuku、Kotsubu、Sora マット提供:サンコー
Shi-Ba Vol.133『日本犬を知れば万事解決 困る!は楽しい遊びの第一歩』より抜粋