
夏の暑い日中は外に出られない分、室内での過ごし方も見直したい。工夫が必要なシーンがさまざまあるのだ。
夏のニガテ 屋内編

エアコン快適 極楽、極楽!
Q:エアコンの設定温度はどのくらいがベスト?
A:湿度や空気の流れ以外にエアコンの状態にもよる
愛犬が過ごす部屋の温度設定は、その部屋の広さに対してエアコンのサイズがどうなのか、新しいか古いかによっても違ってくる。効きが悪ければ、温度を低めにする必要がある。理想とする室温と湿度の目安は下の通りだ。

犬がいる場所を選べるようにすることも必要
エアコンの近くは冷えやすい。丸まって寝ていたり、日当たりがいい場所に移動したら犬は寒く感じているのかも。犬が自分で移動して、適温な場所を選べるような環境づくりも大切だ。
Q:エアコン以外の暑さ対策はどんなものがある?
A:クールマットを用意して少しでも快適に
犬が暑い時床におなかをつけて寝るのは、腹部が一番熱を逃してくれる場所だから。ジェルやアルミ素材が苦手な犬もいるので、クールマットの素材は好むものを選んであげよう。
おすすめグッズ

蒸れないふんわりクールマット・枕付き
接触冷感生地と通気性の高いハニカムメッシュを使用。ジェルやアルミの感触が苦手な犬も幅広く利用できる。柴犬にはLサイズがおすすめ。
●全3サイズ(Lサイズ:W100×D80×H0.5×枕高さ6.5cm)/全2色/税込3,795円~(Lサイズ:税込5,940円)
問ペピイ
☎0120-121-979
https://www.peppynet.com

散歩に行けない分一緒に遊んでね
Q:外に出られないと運動不足になるのが心配
A:室内でできることを組み合わせて運動不足解消
暑い日中は外に出られないとなると、どうしても運動不足になりがちだ。ボール遊びや、オスワリ・フセテを何度か繰り返しさせるなどして体を動かしてあげよう。また、嗅覚を使ってオヤツを探させる遊びもエネルギー消費につながる。

屋内施設を利用するのもひとつ
外を歩かせて行くのは難しいが、車で移動ができるのであれば、エアコンが効いた屋内ドッグランに連れて行ったり、犬の幼稚園や保育園など室内で動き回らせてくれる施設を利用するのも◎。

効果的に冷やしてね
Q:ハアハア息が荒くて暑そうな時の対処法は?
A:後ろ足の内股部分を冷やしてみる
まずは室温を確認し、そのうえで次の対応を。内股部分には大きな動脈が走っているので、タオルで巻いた保冷剤などを内股に当ててあげると、効果的に体を冷やすことができる。やや冷たい水も飲ませてみて、それでも息遣いが荒いままなら、熱中症の恐れもあるのですぐに動物病院へ。

おすすめグッズ

アイスバッテリー(R)フレッシュ
35℃の暑さの中でも15℃を2時間以上も保てる、クールダウンに役立つハイテク保冷剤。
●10.5×15.5×2.8cm / 180g /税込2,750円
問ペピイ
☎0120-121-979
https://www.peppynet.com

Q:欲しがるだけ水を飲ませても問題ない?
A:適量以上を飲みたがる場合は動物病院で診てもらうこと
体重1kgに対して60~70㎖が1日の飲水量の目安となる。暑い時期は若干それより増えることもある。だが、例えば体重10kgの犬が1.5ℓ飲むなど量が多い場合は、多飲多尿の症状が見られる何かしらの病気を疑ってみることも必要だ。気になるなら動物病院で早めに診てもらおう。
NG キンキンに冷やした水はおなかを壊す恐れあり! 氷を入れるなら1個程度に。

雷の音が怖いよぉ〜
Q:花火や雷の音が苦手なので家でできる対策を知りたい
A:クレートが安心できる場所と犬に教えておきたい
クレートトレーニングができていれば、何かあっても逃げ込める。またクレートの置き場所を窓から離して外からの音が響きにくいようにしたり、周りを発砲スチロールや布など吸音性のある素材で囲むことで音の影響を和らげてあげよう。失禁脱糞など過剰に反応する場合は専門家に相談すること。

その他

Q:他に日本犬に多い夏の苦手なことって?
A:犬によっては水遊びなどが苦手な場合も
暑いとプールや海に入りたい、水遊び最高!と思う人は多い。きっと犬も同じだろうと、よかれと思って水をかけたり、プールに入れてあげようとしたり。だが、日本犬は水が苦手な犬が多い。もしかしたら、犬にとってありがた迷惑になっている可能性もあるのだ。

Q:他の毛色より黒柴のほうが暑く感じているの?
A:黒色だとどうしても暑くなりやすい
一般的に黒い色は太陽の光を吸収しやすく、熱をもちやすいといわれている。洋服でも黒い服は白や明るい色の服と比べて表面温度が上がるために暑く感じやすい。それと同じで、黒い被毛の黒柴は赤柴や白柴に比べると日が当たることの影響を受けやすいのである。

夏の過ごし方で気をつけておきたいことは、紹介してきた以外にまだある。
散歩から帰ってから愛犬にゴハンを食べさせているお宅は少なくないだろう。順番としては問題ないが、暑い時期は帰宅してすぐに食べさせるのは避けたい。
暑い中、散歩するだけで体に熱が溜まる。おまけに散歩で運動した体は平時よりも体温が上がるもの。それは筋肉を動かすのにエネルギーが必要となり、エネルギー代謝が活発になるからだ。そこにすぐゴハンを食べるという行為が加わることで、さらに体に熱が溜まることに。熱を発生することが重なることで、熱中症を発症する可能性があるのだ。
日が出ているうちは散歩に行かないのが基本だが、帰宅後ハアハアと暑そうにしていたら、まずはクールダウンを。水を飲ませたり、内股部分を冷やして様子を見よう。ゴハンを与えるのは、ハアハアしていた呼吸が落ち着いてからである。
また、体重管理も注意したい。どうしても暑い時期は散歩に出る機会が減るので運動不足になりやすい。運動不足を解消してあげる室内遊びの他、食事内容を見直すのもひとつ。体重管理の対策については勝手に判断するのではなく、動物病院に相談してみよう。
堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。
Text:Hiromi Mizoguchi
Photos: Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri、Yuki Tamagawa
Shi-Ba Vol.136『ニガテな夏を乗り越えろ!犬暮らしの最適解』より抜粋




