ニガテは減らせる!ステップアップ de おうちケア②ケア作業に慣らす

愛犬のお手入れ嫌いは、「性格のせい」と思われていることが少なくない。でも、「苦手」には、必ず理由がある!

「お手入れはちょっとね……」と思う犬の気持ちを深掘りし、改善策を探ってみたい。

ケア作業に慣らす

愛犬の様子
・ケア用品を見せると逃げる
・特定のお手入れを嫌がる
・ケア用品にじゃれつく

「人に触られるのはOKだけれど、お手入れは苦手」という場合は、飼い主さんのテクニックを見直そう。

× N G

 


お手入れグッズで遊ばせる
お手入れグッズで遊ばせるとオモチャと認識してしまい、じっとできない原因に。グッズにじゃれついてきたら手を止め、落ち着いてから再開を。


見慣れないものをグイグイ近づける
「これは毛をとかすもの」などと理解することができない犬にとって、お手入れグッズはすべて「怪しいもの」。いきなり体に近づけたりするのは避ける。

 

身につけたい「ブラッシング」

抜け毛が多い日本犬にとって、毎日のブラッシングは欠かせないお手入れ。適切な方法で行えば、愛犬もブラッシングの時間を楽しみにするようになるはずだ。

①ブラシに慣らす

犬が近づいてくるのを待つ。

すでに苦手意識のある犬は、人がブラシを持っていることからスタート。ブラシを見せ、自分から近づいてきたらオヤツを与える。

 

②ブラシを当てる

犬の体にブラシを軽く当て、すぐにオヤツを与える。ブラシの感触をごほうびと関連づけることで警戒心を和らげ、ブラシがオモチャではないことも理解させる。

 

③静電気防止ケアも

毛の流れに沿って撫で、嫌がらなければ逆撫でして毛の根元にも。

ブラッシング用のスプレーは、人の手にシュッ。両手になじませてから犬の体につけていく。

 

④背中からスタート

犬の横に座るなどして、背中からブラッシングを開始。力を入れず、毛の流れに沿ってとかしていく。痛みを与えないため、肌への刺激が少ないラバー製のブラシがおすすめ。

 

オススメアイテム

ペットのブラシ グルッテ ソフト
肌に当たる感触が優しく、マッサージ効果も期待できるラバー製のブラシ。背面のスポンジで、布製品についた抜け毛のお掃除も◎。水洗いOKなので、清潔に使える。●幅73×奥行148×高30mm /税込1,650円
問:HARIO PET
☎0120-179-511
https://pet.hariocorp.co.jp/

 

身につけたい「歯磨き」

全身の健康に影響がある歯周病予防に有効なのが、ブラッシングで歯垢を取り除くこと。愛犬の歯を守るため、ストレスなく歯磨きができるようにしておきたい。

①歯ブラシに慣らす

歯ブラシを見せ、すぐにオヤツを与える。「歯ブラシを持っている人の近くにいるといいことがある」と思わせよう。

 

②歯ブラシを当てる

片方の手を下から回して犬のアゴを軽く押さえる。アゴを持った手の指先で唇をめくって歯ブラシを当て、すぐにほめる。少しずつ当てる位置を変え、歯ブラシを動かせるようにしていく。

 

できたらよりよい「爪切り」

自宅で切る場合は、絶対に深爪をしないこと。爪を薄く削るようにほんの少しずつ切り、「もう少し切りたい」くらいのところでやめるのが安全。

①爪切りに慣らす

爪切りを見せ、すぐにオヤツを与える。爪切りを持っている人のところに、犬が自分から近づいてくるようになるまで、根気よく繰り返す。

 

②後ろ足→前足の順に行う

犬が落ち着いていられる体勢で、爪切りを当ててオヤツを与える。嫌がらなければ少しずつ爪を切っていく。

 

できたらよりよい「シャンプー&ドライ」

シャンプーは1ヶ月に1回は行いたいもの。苦手な場合や自宅で洗ったことがない場合は、濡れる感覚やドライヤーに慣らすことから始めよう。

①濡れる感触に慣れさせる

犬用のウェットシートを用意し、犬がリラックスしている時に、毛の流れに沿って体をサッと撫でるように拭く。繰り返して慣れてきたら、逆撫でして毛の根元のほうまで拭いてみる。

 

②拭いたらすぐにごほうび

①のように体を拭いたら、すぐにオヤツ。ウェットシートで拭かれることに慣れたら、スプレーやシャワーで少しお湯をかけるなどしてシャンプーに近づけていく。

 

③遠くでドライヤーをオン

ドライヤーの音→風の順に慣らしていく。温度や風量調節ができるドライヤーを選び、弱風から当てていく。実際に自宅でシャンプーするのは、犬がドライヤーに完全に慣れてからにする。

 

④近くで音を聞かせる

風の吹き出し口は人の方へ向ける。

 

⑤足元に風を当てる

床に風を当て、犬の足元に風を流す。

 

⑥体に風を当てる

生乾きはNG。乾きにくい首やシッポの付け根までしっかり乾かそう。

オススメアイテム

ハホニコ うちのこのためのタオル
吸収力抜群で、ドライヤーの時間を短縮できるマイクロファイバー製。爪や被毛に引っかかりにくいパイルカット加工済み。

●100×50cm /税込1,540円
問ハホニコ ハッピーライフ事業部
☎0120-8025-11
https://www.hahonico-happylife.com/


CA SKIN-CARE THEORY
エッセンシャルバス

犬の皮膚を傷つけず、優しく入浴できる天然成分由来の保湿入浴剤。シャンプー後に使用することで潤いをキープし、肌のコンディションを整える。

●300ml /税込3,850円
問美馬エージェンシー
☎03-5779-9166
https://ca-skincare.square.site/

お手入れ上手になるには

犬に「お手入れって気持ちいいな」と思ってもらうためには、何よりも仕込みが肝心。どんなケアでも、犬が「コレを使って、こんなことをするのだな」と理解するための助走期間が必要なのだ。そして、“飼い主さんにとっての完璧”を求めないことも重要。

ブラッシングの途中で犬が嫌がったらいったん終了するのが大切だ。「あとちょっとだから1分だけ我慢して!」なんてお願いが、犬のお手入れ嫌いにつながる可能性があることを覚えておこう。

 

堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。

Text:Kumiko Noguchi Photos:Minako Okuyama
Models : Orihime、Happy

Shi-Ba Vol.135『ニガテは減らせる!ステップアップ de おうちケア』より抜粋

-お手入れ, しつけ