家庭犬の医学-コーギー版②│体のつくり編

愛犬の健康を守るために、飼い主さんの日頃の観察やお手入れはとても大切ですよね。しかし、コーギーという犬種を知らなければできることも限られてしまいます。

コーギーの体のつくり-骨格編-

骨格は体の形を作り、内臓を守るために重要な役目を担っている。また、支柱となってやわらかい体の組織が崩れないように支えている。骨が全身を貫き筋肉と接続することで、運動が可能になる。これは人間も犬も同様だ。

体の中心を脊椎(背骨)が通っていて、この脊椎は椎骨と呼ばれる骨が連結して構成されている。椎骨は頸椎・胸椎・腰椎・仙椎・尾椎に分かれる。頚椎7個、胸椎13個、腰椎7個、仙椎3個という数はどの犬種でも共通で、胴長のコーギーでも変わらない。尾椎の数はシッポの長さで異なる。

胸椎からは、内臓を囲むように肋骨が左右に拡がっている。どの犬種でも、肋骨の数は胸椎同様13対となる。

人間との大きな違いは鎖骨。犬は体の骨と前足をつなぐ鎖骨が退化しているか、あっても機能していない。つまり、体と前足をつなぐ関節が存在しないのだ。だから人間のように、前足を横に広げるような動きはできない。その分、前後に動かしやすく、早く走ることに長けている。また、短足のコーギーは、他の犬種と比べると足の骨(橈骨・尺骨)が短くなっている。

コーギーの骨格は太くしっかりしていて、明るく元気な生命力とパワーを感じさせるつくりだ。

元気
いっぱいだよ

 

コーギーの体のつくり-内臓編-

一般的に内臓には消化器・呼吸器・泌尿器・生殖器・内分泌器がある。その他、内臓には区分しないが、心臓や脳も体の内部にある器官だ。

消化器には、口から取り入れた食べ物を消化し、栄養素を取り込み、残りを排泄するという役割がある。口腔・食道・胃・小腸・大腸というつながった管状の消化管と、消化液を分泌する唾液腺・肝臓・膵臓が含まれる。

呼吸器の役目は、採り入れた酸素を肺に運ぶと同時に、体内で作られた二酸化炭素を放出することだ。鼻腔・咽頭・気管・肺が該当する。

泌尿器は体内の老廃物を排泄する器官で、血液の組成を一定に保つ働きもある。腎臓・尿管・膀胱が該当する。

オスの生殖器は精巣・精管・前立腺・陰茎が生殖器となる。メスは卵巣・卵管・子宮・膣といった器官になる。

内分泌器は、上位(脳内)の視床下部と下垂体、下位の甲状腺・副甲状腺・副腎などで構成されている。

脳と脊髄は中枢神経と呼ばれるもので、体の隅々まで行き渡っている末梢神経とともに感覚の情報を伝達・処理したり、体の様々な動きを調整する。

心臓は、血液を全身に送るポンプの役割をしている。血管、リンパ管と合わせて循環器と呼ばれている。

メスの内臓

オスの内臓

咬み合わせの話

の歯は本来、上顎の歯が下顎の歯に少しかぶるように咬み合わせるのが正常な状態であり、これと違った咬み合わせになることを不正咬合という。

不正咬合は、顎の長さや幅のバランスが崩れることで生じる骨格性不正咬合と、歯の位置の異常によって生じる歯性不正咬合とに分けられる。

犬によくみられる不正咬合は、下顎の犬歯が正常な位置より内側に出るものと、前歯の1本または数本の歯が咬み合う歯より内側や外側に出るものとがある。

不正咬合であっても犬が気にしていなければ問題ないが、状態によっては食事がしにくくなったり、歯の先端が口蓋や他の歯に当たって傷が生じ、痛みや不快感をともなったりする場合もあるので、気がついたら動物病院で診察を受けること。

なお、子犬のうちは咬み合わせが悪くても、成長するにしたがって顎の骨や筋肉が発達したり、歯が生え変わることによって改善するケースもある。

骨格性不正咬合の場合は治療することはできないが、歯性不正咬合の場合は、咬合の状態や時期によって治療できることもある。

正常な咬み合わせ

上の前歯の裏面に、下の前歯の表面が軽く接触する咬み合わせ。シザーバイト(鋏状咬合)と呼ばれ、コーギーの正しい咬み合わせになる。

 

下顎突出咬合

口を閉じた時に、下の前歯が上の前歯の前に出ている咬み合わせ。上顎が短いか、下顎が長い場合に起こる。アンダーショットと呼ばれる。

切端咬合

上下の前歯の端がきっちり咬み合う形。レベルバイト(水平咬合)とも呼ばれる。コーギーでは許容範囲とされることが多い。

上顎前出咬合

咬み合わせた時、上下の前歯の間に隙間ができるもの。上顎が短いか、下顎が長い場合に起こる。オーバーショットと呼ばれる。

コーギーstyle Vol.47『家庭犬の医学 出張版』より抜粋

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