第11回 人面樹
山あいの谷に生えている木。その花は人の首のようで、物は言わずただしきりに笑う。笑いすぎると花は落ちる。辛いことがあった日は、人面樹に会えば気が晴れるだろうか。
人面犬に人面魚……。❝人面ナントカ❞はこれまでも人々の話題になってきた。我が家の近所の川にも頭に人の顔を持つ鯉がいて、犬の散歩の途中で気にして見ている。しかしそれを絵に描いたらバチがあたるような気がする。というのも私はその鯉を「神のお弟子さん」としているから。そして「そういうこと」にしておくと毎日の散歩がまた楽しくなるのだった。
【参考】
「画図百鬼夜行全画集」鳥山石燕 角川ソフィア文庫
絵と文/影山直美