飼い主がくさくないとは思っていても、他の人はきついにおいだと感じることがある。そのため病気が原因のにおいに、飼い主が気づかない場合もある。愛犬の異変に気づくため、今回は体のパーツ別ににおいと病気の関係について解説したい。
体のにおい
・体幹部
ダックスに多い皮膚病のにおい。背中には膿皮症ができやすく、肥満の犬だと脂漏症にかかることも。寝たきりの犬は床ずれによる潰傷になりやすい。症状によって膿くさかったり、においは様々。
■皮膚に、においや炎症など異常があったら動物病院へ
体幹部のにおいの原因として多いのは主に皮膚病。
特に暑い夏は、犬が皮膚病にかかりやすい。
犬も暑さでストレスがかかってくることもあるため、皮膚病や胃腸病が起こりやすくなる。
花粉など季節性があるアレルギーであれば、アレルゲンが発生する時期にかゆくなったり、においが発生する。
食物やハウスダストなど季節性を持たないアレルギーは、アレルゲンを遠ざけない限り一年中におうこともある。
また、アレルギーは犬の体質や発生場所によってにおいが全く変わってくる。
皮膚に発疹が出てくさいこともあるし、腸にアレルギーが出て下痢ばかりしているなら便がくさくなることもある。
体ににおいや炎症など異常を感じたら、早めに治療を行うようにしよう。
・シッポ
シッポの付け根には尾腺という分泌腺があるため、あごの下と同様ににおいやすい。
・乳腺
メスの場合、乳腺炎にかかって激しい炎症が起こると、おっぱいがくさくなる可能性がある。
・わきの下
わきの下には皮膚が密閉されやすく、皮膚がすれやすいので、蒸れたり炎症が起こりやすい場所。皮膚炎が起こるとすえたようなすっぱいにおいがしたり、汗くさかったり、感染が起こると膿くさいにおいがする。
・肉球
汗が出る肉球は汗くさいにおいがする。肉球や指の間には皮膚炎が起こりやすく、そこに起こった現象によって膿くさかったり、蒸れたりすえたにおいがすることも。ウンチを踏んだり、爪の中が汚れていてにおう場合もある。
・肛門回り
お尻の回りはウンチが付きやすく、肛門腺もあるためににおいやすい。肛門嚢が溜まって肛門嚢炎を起こしていたり、肛門周囲腺腫を発症していると生ぐさいにおいが出やすくなる。
■肛門嚢が溜まっていたり体を舐めてもにおいやすい
においが気になる部分として、肛門周りも挙げられる。ウンチが付着しやすいだけでなく、肛門嚢が溜まっていてもにおいやすい。
肛門嚢は中の菌の種類によってにおいが変わってくるため、犬によってにおいに固体差がある。肛門嚢炎を起こすとにおいが出やすい。
また、体をよく舐める癖がある犬は、体に唾液のにおいがつくことがある。
歯周病の犬が体をよく舐めていたら、体からも口臭と同じようなにおいがする場合がある。
からだのにおいを取るために効果的なのが、シャンプーをすること。ただし、皮膚病の犬は、シャンプー選びを間違えると、悪化してしまう恐れがある。
皮膚炎の治療では基本的に薬用シャンプーを使う。薬用シャンプーには脂取り用のシャンプー、殺菌効果の高いシャンプー、抗真菌効果の強いシャンプー、保湿力の高いシャンプーなどいろいろな種類がある。
体が脂っぽいのか、感染を起こしているのか、皮膚の状態に合わせ、適応したシャンプーを使い分けよう。
皮膚病がある場合、シャンプー選びは必ず獣医師の指示を仰ぐこと。
排泄物のにおい
オシッコやウンチなど、くさ~い排泄物。におって当然ではあるけれど、あまりにおいが強すぎるのは病気のサイン!?
■オシッコのにおい
部屋にツーンとしたアンモニア臭で「あっ、オシッコしたな」と気づく飼い主もいるだろう。
オシッコのにおいは普段食べているものや環境、犬の体質などによって多少においが変わってくる。
概して言えることは、普段よりオシッコのにおいが強くなったと感じた時は、膀胱炎を起こしていたり、結石があったり、膀胱癌にかかっていたり、前立腺や子宮に異常があるなど、何か病気が原因で尿臭が強くなっている可能性がある。
また、水をあまり飲まずに脱水症状になっていると、尿のにおいが強くなることがある。
逆にオシッコのにおいがしなくなった場合も、病気の可能性がある。
オシッコのにおいがしないときは、腎臓障害を起こしていたり、糖尿病などの病気が疑われる。
水をたくさん飲んだことで、においがしなくなったことも考えられる。
オシッコのにおいは飲む水の量によっても変わったり、体に起こっている炎症や感染の状態によっても変わる。
オシッコの匂いには固体差があるので、普段から愛犬のオシッコのにおいを知っておくことが大切。
また、においだけでなく、オシッコの色も薄い黄色なのか、濃い黄色なのか、正常時の色を知っておくことで、異常に気づくことができる。
そのため、オシッコの色がわかる白色のトイレシーツを普段から利用すると◎。
散歩中しかオシッコをせず、普段の状態がわからない人は、散歩時にティッシュを持参して、オシッコをした時にティッシュで吸い取ってにおいや色をチェックするのがオススメ。
■ウンチのにおい
排泄物の中でも特に強烈なのがウンチのにおい。
ウンチのにおいは食べているもの、犬の体臭、肛門嚢のにおいなどが混ざっている。
いろいろなものを食べている犬であれば、その都度、ウンチのにおいが変わってくる可能性がある。
例えばジャーキーなど、においの強い食べ物を食べれば、ウンチがいつもよりくさくなるケースも。
ウンチのにおいは食事の内容でされるために、においだけでなく、色や硬さ、形状など総合的に判断したほうがいい。
見た目が健康的なウンチで、悪臭が気になる場合は、まずは食事を変えてみよう。
細菌はウンチのにおいを抑えたり、ウンチの量が少なくなるドッグフードが販売されているので、そういったものを試してみるのもひとつの方法。
フード選びに迷ったら獣医師に相談してみるとよいだろう。
下痢をしていたり、血便が出ているなど、明らかにウンチの状態がおかしいときは、さまざまな病気が考えられる。
血便の場合はウンチに血生ぐさいにおいが混じっている。下痢が続いたり、血便が出ている時は、動物病院を受診してほしい。
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■嘔吐物のにおい
愛犬がいきなり吐くと、飼い主はびっくりしてしまうが、嘔吐物のにおいによっては緊急事態である可能性が!
食事後すぐ吐いたのなら、嘔吐物からフードのにおいしかしない。犬が食後に吐いて、嘔吐物をまた食べてケロリとしていたら、問題ないことが多い。
しかし、食後しばらくして吐いた時、食べさせた覚えのない、変なにおいが混じっていたら、毒物や異物を食べてしまった可能性がある。
犬が何度も嘔吐を繰り返していたり、明らかに異常な場合は、すぐ動物病院へ連れて行こう。
また、胃液だけを吐く場合は、胃酸の酸っぱいにおいがする。
胃液を吐く原因の多くは胃酸過多、空腹時に胃液が過剰に分泌されて、胃袋を胃酸で溶かすため、胃がムカムカして吐いてしまう。放っておくと、腫瘍ができて血を吐くことがある。
胃酸過多の予防としては、ゴハンの回数を増やすこと。胃の中に食べ物が入っていれば、異常な胃酸の分泌を防ぐことができる。
■オナラのにおい
オナラのにおいもウンチと同様に、食べ物の種類によって影響される。
毎日おなじ種類のドッグフードを食べている犬は、オナラがあまりにおわないことが多いが、いろいろな食べ物を食べている犬はオナラがくさくなりがち。
食べ物に発酵臭やメタンガスのにおいが混じって、オナラのニオイが生まれる。
ただし、あまりオナラがくさいからといって、病気である可能性は低い。
においで悩んでいたら、食事を見直してみては。
体臭に関するQ&A
Q.体臭を改善させるためにどんな生活を心がけたらよい?
部屋のホコリなど家のにおいが体臭に混じることもあるため、家の中を常に清潔にしておくことで、体臭を抑えることができる。
また、日ごろからこまめにブラッシングをかけ、定期的にシャンプーをしておくことも、体臭を抑えるために効果的。
Q.オスとメスはどちらが体臭が強い?
オスとメスで体臭の差はそこまでないが、どちらかというとオスの方が男性ホルモンの影響で体臭が強い傾向にある。
そのため去勢をすると体臭があまり気にならなくなるケースも。
メスの場合は避妊をしてもしなくても、体臭に大きな違いはない。
Q.年齢によって体臭は変わる?
子犬は口の中や体から独特のにおいがする。また、犬に加齢臭はないが、年をとるにつれ歯石がついて口臭が強くなったり、皮膚病などの病気のにおいが体臭に混ざってくる。
Q.毛質によって体臭に違いはある?
毛が絡んでいたり、分泌腺の量の関係で、ロングよりワイヤーのほうが体臭が強めだと感じやすい。
スムースは体臭が強いと感じるのは、毛が短いからにおいやすいのかもしれない。
ロングも毛をかき分けたら、スムースと同じくらいのにおいがする可能性がある。
犬の体臭 まとめ
犬の体臭がくさいと感じるか、心地よいにおいと感じるかあ、その人の感性、好みによって違ってくる。
愛犬のにおいを嗅ぐだけで「なんだか安心する」と口にする飼い主は結構多い。肉球の汗くさいにおいや、散歩後の泥の混じったにおいが好きという人もいる。実際、愛犬のにおいに愛着を持っている人がほとんどだろう。
しかし、愛犬の体からいつもと違うにおいがした時は、どこがにおっているのかを突き止めてほしい。
体や排泄物がにおう原因には、さまざまな理由があるので、まずはにおう場所を特定し、原因を究明することが第一。
原因によっては、シャンプーや歯磨き、フードを変えるなどで改善できることもある。
病気の可能性が高い時は速やかに動物病院に連れて行くことが重要。
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ダックススタイル vol.28『うちの犬、なんか最近くさくない? もしかしてそのにおいは病気のサインかも?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。