福と幸せをよぶ【妖怪さんと柴犬さん】第4回 送り提灯火

第4回 送り提灯火

灯りを持たずに夜道を歩いていると、提灯の光で足元を照らしてくれる。姿はなく灯りだけの、控えめで親切な妖怪。

似た名前で「送り提灯」があるが、こちらは夜道を歩く人の先に見えたり消えたりしながら気を引こうとする提灯。うっかりついて行ってはいけない。

 

 

日が短くなる冬時期、夕方の犬の散歩に現れてほしい送り提灯火。特に黒い犬にはありがたい存在だ。うっかり懐中電灯を持つのを忘れてしまうこともあるから、せめて例のモノを拾う時だけでも手元を照らしてくれたら御の字というものだ。

 

 

送り提灯火ほどではないが、柴犬のお尻もぼんやりとした灯りになる。私はかつて先代犬テツとこまを連れ立って歩く時には、こまを先に歩かせた。そしてそのお尻の白っぽい灯りを目印に歩けとテツに言ったのです。

 

【参考】
「絵で見る 江戸の妖怪図巻」善養寺ススム/江戸人文研究会 廣済堂出版
「決定版 日本妖怪大全」水木しげる 講談社文庫

絵と文/影山直美

-柴犬