おとボケまる子日記:その6「本当に効くの?薬との違いは?サプリメントに関する素朴なギモンや気になることを聞いてみた」

まる子:2021年11月現在、14歳。9.1キロだった体重が少し減り現在は8.7キロ。最近活発に動くようになったのでゴハンを増量♡ 同居の猫兄妹をいじめるのが生き甲斐。

愛犬が嫌がらずに食べられる形や味を選ぶのも大切!

犬が年を取れば体調を崩すことも増え医療費も高くなる。そんな中で認知症、関節などに良いとされるサプリメントの存在も気になるところ。

「サプリメントは医薬品ではなく食品という定義です。薬機法(旧薬事法)により効果効能を暗示することはできないので、どの程度効果があるのか、伝わりづらい部分はあるでしょう。
しかし、だからといって効果がないかというとそれは商品によって異なりますし、使っている症例の特異性がフィットするか否かという点で多様です」

獣医栄養学が専門で米国ホリスティック獣医協会の会長のスーザン・ウィン博士は、サプリメントは年配の犬にとって非常に役立つ可能性があると述べていて、米国の犬や猫の3分の1が、ビタミンやサプリメントを摂取しているとのこと。ちなみに犬用で人気があるのは「グルコサミン」(関節炎を予防)、「魚油」(心臓血管の健康と皮膚の状態を整える)、「プロバイオティクス」(健康的な消化を促進。最近の研究では“不安な気持ち”を和らげる場面でも使われている)、「マルチビタミン」(補足栄養)、「リジン」(感染を防ぐ)、「コエンザイムQ10」(免疫を高める)、「フェルラ酸」(高い抗酸化作用を持ち認知症予防効果が期待される)、「アンチノール」(関節、被毛、心血管、腎臓の健康機能を応援)、「DHA」(不飽和脂肪酸の中のオメガ3グループの中に分類され、脳や視力などの活性化が期待される)、などが挙げられる。

現在は2種類を飲んでいるまる子。おかげで絶好調♪

まる子が以前使っていたのは「ジルケーン」。激しく猫をいじめる時に食べさせていた。カプセルなのでそのままでは警戒して食べず、中身の粉を出してフードにかけたら食べた。しばらく放置していたが「薬と違いサプリメントはいつやめても問題ないですし、気づいた時にまた摂取を再開してもいいんですよ」との茂木先生の話を聞いてまた飲むことに。そして最近始めたのがオリゴ糖のケストースのタブレット。腸内環境を整える善玉菌のビフィズス菌だけを増やす効果が期待される「ケストース」を錠剤にしたもの。そのおかげか快食快便!

 

知り合いの柴犬や読者犬さんの話を聞くと、サプリメントを摂取し健康を維持している犬がたくさんいる。

「サプリメントは“愛犬と生涯楽しく過ごしたい、何かしてあげたい”と飼い主さんが思った時に、自分から進んで使うことができるものです。犬の飼い主さんに行った“隠れ痛みアンケート”では、2割の犬がサプリメントを摂取していました。愛犬を看取った方の話もたくさん伺いますが、積極的に愛犬の健康を維持することに自分が関われたということが、ペットロスを和らげることにつながっていると思います」

 

14歳まる子の暮らし、最近の主な変化(10~11月)

窓辺の特等席で眠る。

寝ぼけるうちに、ソファとカバーの間に入り込み鳴いていることも。

ぼんやりして体が揺れていることも多くなった。

夏と比べると活発になり庭を走り回るように♪

夜は散歩の後、19時と23時頃、排泄のため庭へ出る。

この時間にうんこをすることもあり、排泄リズムに変化が出てきた。

2ヶ月ごとに目に見える変化が。今回は主に旋回

玄関までの階段を一気にのぼったり、オモチャで遊ぶことも。しかし興奮して5分ほど走り続け肩で息をするのが心配。また、散歩中の立ち話時に飼い主の周りを旋回し、リードで人が巻かれる状態に。

そして排泄サイクルが変わった。起床後に庭でおしっこ→部屋でゴハン→散歩でうんこ→帰宅後に昼間庭に2~3回出てうんこ→昼寝→日暮れ前の散歩→ゴハン→19時と23時頃、庭で排泄。こまめな排泄でおもらしはなし。1回のうんこの量は少量。

 

サプリメントが目指すのは、免疫力を高める、体内に起きている余剰の炎症反応などを鎮める、神経を保護する、といった部分。若い頃なら本来自分の体内でできていたことも、老化により代謝が落ちて滞ってくることをサプリメントが補い、自然治癒力を高めることができるというわけだ。

では、賢い使い方について。総合栄養食のドッグフードを食べている健康体の犬は、サプリメントをあえて摂取する必要はない。例えばビタミン剤などを摂り過ぎると、カルシウムとミネラルのバランスが崩れて骨格に影響が出たり、尿石症の原因になることも。

副作用についてだが、体質や服用している薬との組み合わせによっては体に合わないこともあるので、必ず獣医師に相談しよう。食欲不振、元気がなくなるなどの症状が見られたら、すぐに摂取を止める。また、人間用のサプリメントは犬に合わない成分が入っていることがあるので、獣医師が推奨するペット用のものを使うのがよい。

また、サプリメントには犬の嗜好性を高めるために香料や保湿剤などを使っていることがあり、これら副原料によってアレルギー反応が起きることも。初めてのサプリメントを使う際は摂取後の犬の様子を観察すること。摂取後、状態が悪化=即中止、変化なし=獣医師と相談し摂取量を1〜2割増やす、良くなった=そのまま続ける、といったことを目安にしてみよう。

「飼い主さんの目的に対して応えてくれるサプリメントが今はたくさんあります。何をあげて良いのか迷う場合、どのような改善を望んでいるのか獣医師に相談しながら、年齢、活動量、症状など愛犬に合ったものを一緒に選びましょう。愛犬が食べられる量、形、味、与え方についてもアドバイスしてくれるはず。最近はサプリメント成分が入ったドッグフードもあります」

気になるサプリメントがあったら、まずは試してみてはいかが?

まとめ
選ぶ、使う、やめる時も信頼できる獣医師と相談を

監修:茂木千恵先生
東京大学大学院農学生命科学科獣医学博士課程卒。獣医師。専門は獣医行動学。ヤマザキ動物看護大学准教授。教育・研究活動のかたわら、東京都町田市内でペットの問題行動治療やパピークラスの開催も行う。「飼い主が幸せになれば犬も幸せになり、犬が幸せになれば飼い主も幸せになる」という考えをベースとし、飼い主の話をじっくり聞くことも大切にした指導は、多くの人や犬から好評を得ている。

Text:Mari Kusumoto
Photos:Minako Okuyama、Masayuki Satoh、Miharu Saitoh、Mari Kusumoto

Shi-Ba Vol.122『おとボケまる子日記』より抜粋

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