暮らしの見直し!ポイントおさえて今日からスタート 愛犬の生活環境大改造①

愛犬にできるだけストレスなく快適な生活を送ってもらいたい。そのためには自宅のどんなところに気をつけてあげたらいいのか知っておこう。

 

ポイント01 安心

安全で、安心して過ごせる場所があることは欠かせない

快適な生活環境として、最初に挙げられるのはやはり「安心できる」ということ。人間だって、くつろげて、ほっと安心できる場所というのは快適ではないだろうか。安全というのも欠かせない要素である。それらは犬だって同じことがいえる。

犬の場合は、気持ちよく寝ることができる場所がある、落ち着いてゴハンが食べられる、飲みたい時に水が飲める、などというのが、安心していられる環境である。

寝床とするクレートなどの中には愛犬が好む敷物を入れてあげることも忘れずに。薄手のものが好きなのか、フカフカしたものが好きなのかは犬によって好みは違う。中で安心して落ち着いて寝ていられる環境を作ってあげることは大切だ。

ポイント02 刺激

なさすぎてもありすぎても不快を感じてしまうことに

生活していくうえで適度な刺激も必要だ。刺激に乏しいと物足りなさを感じてしまわないだろうか。

エアコンで温度・湿度も調整されて寝心地のよい寝具はあるし、食事も毎回ちゃんと食べられる。特段不快なことはないけれどやることはない。きっと暇だし、人間で例えれば本やメディアなど、何かしらの刺激が欲しいと思う時間も出てくるだろう。

刺激に乏しい環境のことを、動物行動学では「簡素な環境」と呼ぶそう。オモチャなどで退屈しない工夫をしてあげたい。生活環境における刺激というのには下に挙げているようにさまざまある。これらの刺激が強すぎてしまえば、当然だが犬は不快を感じるというもの。くれぐれも気をつけてあげたい。

温度・湿度は年間を通して維持を
一般家庭で愛犬と共に暮らす室内として、温度は22~25度、湿度は50%前後が理想といえるだろう。できれば年間を通して一定の幅で保てることがベスト。

犬が驚くような大きな音は防ぐ
生活音以外の工事や花火、雷の音など、音に敏感な犬は気をつけてあげよう。音を気にしているならクレートの上から毛布をかけるなどして防音対策を。

日当たりは犬が選択できる工夫を
犬が日向ぼっこをしたい時は日が当たる場所へ、暑くなったら直射日光が当たらない場所へ。と、犬が自分で日当たりを選べる工夫をしてあげよう。

柔軟剤や芳香剤などのにおいに注意
排泄物臭が充満している環境は、実は犬も不快! 室内トイレは清潔に保とう。柔軟剤や芳香剤も人がキツイと感じる時は犬も不快かもしれないと思って。

ポイント03 構造

愛犬が快適に過ごせる環境は構造面も大事な要素となる

安心できるかどうか。強すぎず、かといって物足りないほど退屈にならない程度に適度な刺激があるかどうか。と、二つの見直しポイントを挙げてきたが、もうひとつ欠かせないのが、生活環境における構造面についてである。主なものとしては下に紹介している五項目が挙げられるが、自宅が現状どうなっているのかを確認してみよう。

愛犬が今の生活環境で快適に過ごせているかどうか。これらは日常の中で愛犬の様子を見ていればわかることである。例えば、床が滑りやすくなっているかどうかは、動き回った際に明らかに足が滑っているのであればすぐにわかる。だが、それ以外にも何らかのサインなどで示していることもあるのだ。

十分な広さが確保できている
犬が自由に動き回れるだけの十分なスペースがなければ、快適とは言えないもの。

床面が滑らないようになっている
犬が動き回った際に、足元が滑らないというのは大事。床面が滑ると怪我などの原因に。

寝る場所がきちんとある
犬が気持ちよく落ち着いて寝ていられる場所をちゃんと設定できていることは大切。

退屈しにくく遊べる環境か
犬が退屈にならず、ひとりで遊ぼうと思った際にはひとり遊び用のオモチャを置いてあるか。

外が見られる状態かどうか
犬にもよるが、窓から外が見られることが犬にとって適度な刺激となってくれる場合もある。

人との感じ方のチガイ
冬場の温めすぎは、犬にしたら暑いかも?
夏場の暑さ対策をする分には、それほど人と犬での感じ方に違いはないだろう。だが、冬場は保温してあげなければという意識が高すぎる飼い主も少なくない。柴犬は換毛によって季節に対応できる被毛の状態に変わるようになっており、寒さに弱い犬種ではない。なのに、「寒いでしょ」とエアコンの暖房以外に毛布やペットヒーターなども多用して過剰に温めすぎることで、犬が「暑い」と感じていることも。また、換毛が起こらないなど支障が出ることもあるので注意。

犬が自分で選択できる環境づくりを心がけよう

人と一緒に暮らすうえで、犬にとって快適な生活環境かどうかのポイントとしては、安心して過ごせるというのが大前提となる。そのうえで、ほどよい刺激があったり、十分に動ける広さの確保であったり、構造の工夫が必要となってくる。

飼い主がよかれと思って設定していることが、愛犬にしてみると「なんだか落ち着かない」ということも意外と多くあるようだ。犬の様子をよく見ておくためにも、家族の目が行き届いた場所がいいだろうと、リビングの真ん中にケージやサークルを置いてしまう。ここは家族みんなが集まる場所だから、寂しくないだろうという気持ちからやっていることである。

だが、みんなの視線を浴びる中で寝たり、食べたりするのは、人間だって落ち着かないもの。犬もそう感じているはずだ。真ん中ではなく部屋の端に置くなど、どこなら犬が落ち着けるのかをよく考えてあげたい。

犬だって、飼い主の近くで一緒に楽しく過ごしたい時があれば、一匹でゆっくり過ごしたい時もある。日当たりがいい窓際で日向ぼっこをして気持ちよく横になる、しばらくして身体が熱くなってきたから涼しい場所に移動する。そんな風に、犬が環境の選択をできるようにしておいてあげるのも大切だ。

堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。

 
Text:Hiromi Mizoguchi
Photos:Ayaka Shida、Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri
Illustration:Yuko Yamada

Shi-Ba Vol.134『暮らしの見直し!ポイントおさえて今日からスタート 生活環境大改造』より抜粋

-暮らし, 柴犬