第5回 獏
もともとは中国に伝わる妖獣で、動物のバクとは別のもの。邪気を払うとされており、疫病が流行したら獏を呼び寄せて病魔を食べてもらうという。
日本では悪夢を食べると言われている。
熊のような体型をし、虎のような足と牛のような尾を持つ。またその顔もいろいろな動物の要素を持っており、鼻は象のように長く、目はサイのようだという。
獏よ、ヒッヒッとうなされている愛犬の夢を食べてやっておくれ。
獏に悪夢を食べてもらうには、その姿を描いた紙を枕の下に入れて寝る。また地方によっては「今夜の夢は獏に食わせます」と3回唱えて寝るとのこと。唱えるのは、自分自身に暗示をかける意味もあるのかも。
寝る前に唱えるといえば、私が子供の頃に聞いた話。遠足や試験などで翌朝どうしても早く起きねばならない時は「熊のくまごろうさん熊のくまごろうさん、明日○時に起こしてください」と3回唱えてから寝ると良い。くまごろうさん、起こしてくれましたよ。
【参考】
「決定版 日本妖怪大全」水木しげる 講談社文庫
絵と文/影山直美