最近よく咳をするようになった、体から聞き慣れない変な音が聞こえる……。そんな時は何かの病気のサインかもしれない。今回は、音でわかる病気についてご紹介。意外な場所からの音には、特にご用心!
咳
音でわかる病気として、まず挙がるのが咳。咳は大きく、乾いた咳と湿った咳に分けられる。
喉の中に潤いがなくなり乾燥した状態になると、乾いた咳が出やすくなる。咽頭炎や気管支炎、気管虚脱などは、乾いた咳が出やすい。
乾いた咳は、「カハッ」「ケッケッ」など、響いた音になるのが特徴的。
また、「グヘェ~」と吐くような咳は単にむせているだけかもしれないが、気管支炎の可能性も考えられる。
湿った咳の場合は、「ゴホゴホ」とこもったような咳が出るのが特徴だ。
肺炎や心臓病、喉で強く炎症が起こっている、ケネルコフなどの感染症にかかっている場合は湿った咳になりやすい。特に気管支肺炎を引き起こすと、強い咳が出るようになる。
咳が出る病気はさまざまなので、まず診断をつけてから治療に入る。乾いた咳は気管支拡張剤や咳止め、ステロイドなど、複数の方法で治療していくことが多い。
肺炎で湿性の咳をしている場合、原因によって抗生物質、消炎剤、気管支拡張剤などで治療する。
どんな治療を行うのか、その病態と原因によって変わってくる。咳が長引いたり、深い咳をしていれば、早めに動物病院に連れて行ったほうがいい。
咳が数週間も長引くと、気管の形が変形するなどして咳が慢性化し、一生治らないケースもある。たかが咳とあなどらずに、早めに動物病院で治療を行うようにしたい。
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口周りの音
ハァハアという呼吸音や、ペチャペチャとした舌の音、ギリギリいう歯ぎしりなど、口周りで音が出る原因について解説!
■パンティング
犬は運動後や喉が渇いている時など、日頃から「ハァハァ」「ゼィゼィ」といったパンティングを行うが、呼吸が深くて速い場合は要注意。
そういったパンティングをしているなら、肺炎やクッシング症候群のサインかもしれない。クッシング症候群にかかると呼吸筋がゆるくなるため、パンティングが起こってくる。
クッシング症候群の治療は原因によって内科的な治療であったり、場合によっては手術を行うこともある。
激しいパンティングはこれらの病気以外にも、すごく興奮をしていたり、熱が出ている場合にも見られる。熱中症の初期から中期にかけての状態の時も、速いパンティングを行うのが特徴。命に関わるのですぐに動物病院へ。
■喉
喉や気管の入口付近に異常があると、ゴハンを飲み込みにくくなる。飲み込みにくいと、ゴハンを食べる際に「コクン」「ポコン」といった音がすることがある。
この音が長引くようであれば、喉に炎症が起こっていたり、骨などが刺さっていたり、ポリープができていたり、喉や気管が変形していることも考えられる。
音が気になるようであれば、早めに動物病院へ連れて行き、獣医師に喉の状態をチェックしてもらおう。
■舌
舌をペチャペチャする音が頻繁に聞こえる場合、唾液の分泌量が多すぎるケースと、逆に唾液の分泌量が少なすぎて口の中がネトッとしているケースが考えられる。
歯石がたくさん付着していて気持ちが悪い時も、あちこち舐めてペチャペチャ音がすることがある。
■歯
歯石が溜まってきたり、顎関節炎にかかっているなど、歯やあごに異常がある場合、歯から「ギリギリ」「ギシギシ」と音がすることも。
あごの筋肉が落ちている場合もよく歯ぎしりをするようになる。
歯ぎしりをしていたら、口やあごの異変のサインかもしれない。
耳の音
正常な状態であれば、耳から音がすることはない。もしも耳を外側からマッサージした時に「クチュクチュ」と音が聞こえるようであれば、外耳炎や中耳炎を起こしているケースが考えられる。
その場合は動物病院に連れていって、耳鏡で耳の中をチェックしてもらおう。
外耳炎や中耳炎の治療は、基本的には洗浄液で耳を洗浄した後、原因に応じて点耳薬やのみ薬、注射などで治療していく。
鼻の音
クシャミや鼻水、いびきなど、鼻からの音は体の異変のサイン。これらの症状が長引く場合は、動物病院に連れて行って原因究明を。
■いびき
もしも寝ている時に高いいびきをかいている場合は、肥満や軟口蓋下垂が原因の可能性がある。
喉の奥に鼻から通じる穴があり、そこを軟口蓋と呼ぶが、軟口蓋がゆるゆるになって震えるといびきのような音が出る。
また、口の中に異物が引っかかっていたり、喉や鼻にトラブルを抱えている場合もいびきをかくことがある。
もしも愛犬のいびきの音が気になる場合は、一度動物病院で検査してもらうとよい。
■鼻水
正常時に鼻から音が出ることはない。鼻をズルズルとすすり上げる音が聞こえているなら、病気の可能性がある。
すすり上げる音がするということは、鼻水が多いせいなので、そこに何か感染が起こっているケースも考えられる。
鼻水が出る場合は、動物病院で鼻水を検査して、ウィルスや細菌性の鼻炎なのか、草など異物を吸い込んだせいなのか、原因を調べてもらおう。
■クシャミ
クシャミが一回だけであれば、何か異物を吸い込んで、鼻に引っかかっていることが多い。
クシャミが頻発する時は、歯周病にかかっている、鼻に腫瘍がある、鼻に異物が詰まっているケースが考えられる。
鼻腔腺がんの場合は、最初はクシャミから始まって、やがて鼻血が出てくる。クシャミの際に鼻血が出ているケースは要注意。クシャミが続く場合は、動物病院へ。
爪の音
犬が家の中を歩いている時にカチャカチャ音がするようになったら、爪が伸びているサイン。
よく外に散歩に出ている犬は爪が伸びにくいが、あまり外に出ない犬は爪が地面で擦れないために伸びやすくなる傾向にある。
爪が伸びすぎるとカーペットに引っかかったり、ケガをする恐れがあるので注意。
歩く時にカチャカチャ音がしたら、爪をチェックし、伸びていたら切るようにしよう。
体をかく音
「カリカリカリ……」と一日中体をかく音が聞こえたり、体をかく足が床に当たって「コンコン」とずっと音がする場合、体がかゆくて仕方ないサイン。
しきりに耳をかいていたら耳ダニの可能性があるし、体をかく場合は疥癬であるケースも考えられる。
強いかゆみが出ている状態は犬にとっても辛いので、なるべく早い段階で動物病院に連れて行き、原因を調べて、適切な治療を行うようにしよう。
関節の音
普通に歩いていて、「パキパキ」と関節が鳴る場合は、靭帯が弾けて音が出ているだけなので、あまり心配はいらない。
でも、いきなり「バキッ」「ブチッ」「ベキッ」というような大きな音がしたら、アキレス腱や膝の十字靭帯を切ったり、骨折をした可能性がある。
このような音が聞こえなくても、急に「キャインッ!」というような、悲鳴をあげるケースもある。
特に高い所から落ちた、階段を踏み外した、ジャンプして着地に失敗した時などは要注意。
一時的に足を痛めても、しばらくすると元に戻ることがあるので、このようなケースの時は基本的に一時間ほど様子を見てみよう。やがて足を痛がる素振りがなくなり、スタスタと元気よく歩くようになれば、動物病院に行かなくても大丈夫だろう。
だが、一時間経っても歩く時に足を上げていたり、ブルブル震えている状態が続いているのであれば、骨や靭帯に異常があるかもしれないので、動物病院へ連れていこう。
靭帯の断裂や足の骨折は命に関わる緊急性はないものの、なるべくその日のうちに動物病院に行くのが望ましい。靭帯が切れたり、骨折した時の治療は、基本的に外科手術を行う。
また、膝から「パキパキ」「コリコリ」というようなクリック音がする時は、半月板の損傷を起こしている可能性がある。その場合は動物病院で膝のテストを行い、損傷している場合は外科手術で治療を行う。
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監修:野矢雅彦先生
ダックススタイル vol.29『犬の体から出る音なんて、こんなもの……と思っていると手遅れになるかも!? 音で病気がわかるってホント?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。