病院トラブルイザ!という時①愛犬の安全のために対処法と対策 │ 待合室でのトラブル回避 

動物病院で起こりがちなトラブルにもいろいろある。ウチの犬は大丈夫! と思っていても、他の人や犬もいるだけに何が起こるかはわからないもの。万が一のことも考えてその対処法や対策など、できることを知っておこう。

※本特集内では非攻撃的な「かむ(噛む)」行動と区別するため、攻撃的なかみつき行動を「咬む」という表記にしています。

トラブル回避のためには愛犬の管理をしっかり行う

愛犬のケガや病気の時に限らず、予防接種や健康診断などでもお世話になる動物病院。他の犬をはじめとする動物、その飼い主もいる場所だけに、何かしらトラブルが起こることも少なくない。そんなトラブルにはどんなものがあるだろうか。

まず、動物病院の周辺や待合室で考えられる主なトラブルは下に挙げている通り。
「これらのトラブルを引き起こさないために、まず何よりも大切なのは、飼い主さんが愛犬の管理をしっかり行うことです」と堀井先生。

例えば、自分の犬が吠えやすいとわかっていたら、滞在時間を少しでも短くする。予約が取れる動物病院なら予約を取る、クレートが落ち着ける場所になっているならクレートに入れて車の中で待機する、などの対処ができるというもの。

「動物病院は診察に行く所ですから、待合室は社交の場ではありません。よく知っている友達犬と会ったなら別ですが、基本的に他の動物との接触はしないことです。愛犬が大丈夫でも、相手の犬が他の犬を苦手なこともあります。その可能性を知っていれば、他の犬とのトラブルを引き起こすこともありません」

待合室

1.マーキングや排泄をしてしまう

日頃から散歩中でもマーキングをしがちだと動物病院でもする可能性は高い。また、不安や恐怖などで排泄をしてしまうこともあり得る。

◎汚したらすぐ対処できるグッズを散歩バッグに常備しておく

もし汚したらすぐに片付けること。動物病院のスタッフにも報告を忘れずに。マーキング対策にはマナーウェアを。

◎長めの散歩をしてから動物病院へ向かうのも効果あり

散歩で排泄を済ませておけば、病院でしてしまう可能性も低くなる。

2.待合室で他の犬とトラブルを起こす

動物病院の待合室には、診察に来た他の犬や動物も待機している。うっかりお互いの犬を近寄らせたことで、トラブルが起こる可能性もある。

×リードを伸ばしたまま持たないこと

伸ばした状態でいると、他の犬に近寄ってトラブルが起こりそうな場合にリードのコントロールができず危険!

◎リードはたたんで短く持つのが基本

動物病院内で移動する時には写真のようにリードは短く持つこと。待合室で他の犬に挨拶させるのは避けて。

◎他の犬と引き離す際は持っているリードを引く

今にも犬同士がケンカになりそうな場合、どちらかが咬みつく前に、速やかに持っているリードを引いて、引き離すこと。
※咬みついた状態になってしまったら、リードは引かずに。

×犬同士のケンカを止める際その間に体を入れるのはNG

どちらかでもウーッとなって、相手に襲いかかりかねない状態の時に、止めようと間に手などを出すと人が咬まれてケガをする可能性が。

安全な待機方法


足の間に入れてナスカン近くを持つ
座っている飼い主の足の間に犬を入れて、リードのナスカン付近を握っておく。決して引っ張らない。


首輪を掴まれても平気なら首輪を軽く握っていてもOK
この場合も力が入って引っ張ってしまうと犬は緊張状態になってしまうため、力は入れないこと。

3.行きたくないと拒否柴で首輪抜けの可能性あり

動物病院へ向かおうとすると、そっちには行きたくないと動かなくなってしまうことも。無理に引っ張ると首輪抜けの恐れが。

◎動かない犬は引っ張らずに飼い主側が動く

飼い主が動かなくなっている犬の方へと近づくようにして、伸びているリードを手繰り寄せていく。

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リードを短く持ち、犬がその場から歩きだしたら、一緒に進んだ後で目的の方向へと歩きながら誘導する。

×決して無理には引っ張らない

引っ張られると、犬はそれに抵抗して体を後ろに引く習性がある。首輪の装着が緩くなっていると首輪が抜けてしまい、脱走トラブルの原因に。

 

4.他の犬や音などの刺激に対して吠えてしまう

他の犬やその声、ドアの開閉音、呼び出しの声などさまざまな刺激に対して反応して吠えてしまう犬も少なくはない。

◎待合室から出て車の中や外などで待機

愛犬の吠えをきっかけに他の犬も連鎖して吠え出すなど迷惑をかけるようなら、受付に声をかけてから別の場所で待機を。ドアの開閉が原因なら、院内奥の席に移動してみて。

5.吠え声や排泄物などでご近所への迷惑に

動物病院の周辺で吠える、マーキングなどの排泄物を放置したままなど、ご近所に迷惑をかけていることは意外と多い。

◎周囲に対してもきちんとマナーを守る
吠え声に注意する、どうしても吠えるなら車の中など待機場所を考えて。マーキングした場所、排泄物は責任を持って処理すること。

 

こうしておくと便利!


ポケットなどすぐ出せる所にオヤツを準備
万が一、犬が逃げてしまった場合に呼び戻しがスムーズに行えるよう、犬が興味を持ちやすい好物のオヤツをポケットに入れておくと安心。

監修:堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。

Text:Hiromi Mizoguchi
Photos:Miharu Saitoh、Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri
Illustration:Mika Fujisawa

Shi-Ba Vol.131『愛犬の安全のために対処法と対策を身につけて 病院トラブルイザ!という時』より抜粋

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