【走り屋トラブル防止術】足は丈夫な日本犬だけど……異変にすぐ気付ける飼い主になる!

さぁ、夏までの短いひととき、思いっきり走って遊ぶぞぉ~!とやる気満々な飼い主さん、ちょっと待ったぁ!犬を走らせる時に気をつけたいこと、今のうちに予習しておきませんか?
 

 

走ったことで骨折する日本犬の例は案外少ない。それより注意すべきは

走ったりジャンプした後に負ってしまうケガといえば、捻挫や骨折、肉球の切り傷などがまず頭に思い浮かぶ。しかし、チワワやトイ・プードルなどの愛玩動物と違い、柴犬の関節は比較的強いほう。骨折は交通事故や高い所から飛び降りたという事例を除いては、ほとんど見られない。

だが、そう聞いて安心するのはまだ早い。それでも散歩後やドッグランから帰宅後、犬が足を引きずるので診察を受けに来る人はいるそう。もともと病気はあったものの、見える形で症状が出ていなかっただけの話で、たまたまそれが走ったことで強い痛みとなり現れることはよくある。

 

ケガやトラブルの種類や治療についてのQ&A

Q 走ることが好きな犬がケガしやすい体の箇所は?
A 足首、膝、股間、肩、肘などの関節部は要注意
一般的には肩関節や大腿骨より下の部分。歩く時に曲がったり伸びる関節(足首、膝、股間、肩、肘)にトラブルが起きやすい。シニアになると関節も老化し負荷がかかるので、ウォーミングアップやクールダウンが大事になる。若い頃から愛犬が元気に走っている姿をよく観察しておき、その走り方と違う様子が見られたら、何かの異変があると思って動物病院を受診するようにしよう。

 
Q ケガをしやすい季節や遊び場などはありますか?
A 人が集まる砂浜はガラスの破片などが落ちていて危険
基本的には犬を走らせる前に、その場所に石やガラスの破片などが落ちていないか、地面によその犬が掘った穴が開いていないかなどを確認するのが良いだろう。人が集まる砂浜は飲み終わった瓶が捨ててあったりして、その破片で肉球をケガすることがある。また不特定多数の犬が来るドッグランもトラブルが起きる可能性が高い。夏の早朝の芝生の上も朝露で滑りやすくなることがあるので気をつけよう。

 
Q 人と同じように、犬にも 筋肉痛はあるのでしょうか?
A 足が張ることはあるので 筋肉疲労はあるでしょう
犬は話さないので本当のところはわからないが、理論的にはあるかもしれないし、筋肉疲労はあるだろう。実際に後肢が麻痺しているコは動く時に前肢に負荷がかかるので、触ると前肢の筋肉がパンパンに張っている。筋肉の凝りをほぐすためにも、後ほど紹介するマッサージをやってみると良い。気になる場合は動物病院に行った際に、先生に犬の体を触ってもらい筋肉の状態を診てもらおう。

 
Q ケガやトラブルが起きやすいのはどんな犬?
A シニアや基礎疾患を持つ犬興奮しやすい犬は要注意
ドッグランなど他の犬も来るような場所で多いトラブルが犬同士のケンカ。興奮しやすい犬、神経質な犬は噛みつきによってケガをする場合も。愛犬の性質をよく見極め「うちの犬は他の犬が苦手かも」と思ったら、そのような場所に行かない選択をするのも賢明だ。またシニア犬は関節炎などの疾患を既に抱えている可能性もあり、走ったことにより症状が悪化することも考えられる。激しい運動は控えるようにしよう。

 
Q すぐに動物病院へ行ったほうが良い症状は?
A 鳴く、出血しているなど普段と違う様子なら病院へ
走っていたその場で、鳴く、うずくまる、血が出ている、足を引きずるといった症状があるならすぐに動物病院へ。人が見て「痛そう」と感じる時は、犬にとって相当辛い状態であることが考えられる。全身はもちろん、爪先まで丁寧に観察し、爪などが折れたりはがれていないかも確認しよう。また、犬連れ旅行時も宿に戻った際に、足を気にして舐めたり元気がないようなら、散歩や遊びは控え、早めに動物病院へ連れて行こう。

 

走る前のマッサージ

体育の授業の前、マラソンの前など「これから体を動かすぞ!」って時、人間はウォーミングアップするもの。犬だって同じ。家でできるオススメマッサージを紹介。

愛犬の体に触れる、抱っこできるなどをまずはクリア
まずは犬の体に触る、抱っこできる、触っても犬が怒らない、ことをクリアしてからマッサージの段階に進もう。日本犬はデリケートなので負ったオーラを出すと「今日は怪しい、なんかイヤ」と警戒する可能性が。散歩やゴハンの後など、犬がリラックスして自ら飼い主のそばに寄り添ってきた時がチャンス。犬の目を見ず、いつも何気なく撫でる時と同じようにさりげなく触ろう。

 

肩甲骨をほぐす
犬には鎖骨がなく(鎖骨のおかげで人や猿は腕を回すことができる)犬の肩甲骨は首の付け根の筋肉だけで支えられている。柴は散歩の時に前に引っ張って前肢に負荷がかかりやすいので、この筋肉をほぐして柔らかくしておくと良い。写真のように前後(左右は本来の可動範囲ではないので動かさない)にゆっくり回す。

 

膝蓋骨近辺の筋肉をほぐす
右上の写真は膝蓋骨の位置を示したもの。膝蓋骨部分に後ろから手を回し、外側(写真を参考にこの位置を触るとくぼみがある)は親指、内側は残りの指で挟み、揉むように筋肉や関節をほぐす。急激に走ることで、基礎疾患として持っていた膝蓋骨脱臼が悪化する可能性もあるので、よく揉んで筋肉をほぐしておこう。

 

最長筋をほぐす
背骨の両脇にあるのが最長筋(体の中で一番長い筋肉)。肉の部位に例えると(失礼!)ロースの部分だ。ここは体の芯となる部分。背最長筋を運動する前に十分にほぐしておくと、腰痛を防止することができるそう。背骨に沿って、筋肉の上から下まで写真のような指使いでつまんだり、揉んだりしてほぐしてあげよう。

 

肉球を揉む
肉球を揉むと血行が良くなる。人間が運動する前に手足首をほぐすのと同じイメージで肉球を揉んであげよう。犬の肉球には中央の大きな掌球、それを囲む小さな4つの指球がある。それぞれを揉んでも良いし、写真のように手のひらに包む感じで揉んでもOK。運動する前の肉球チェックとしてもオススメだ。

 

走った後のマッサージ

ウォーミングアップはするけれどクールダウンは案外忘れられがち。クールダウンを兼ねたマッサージをすることで、疲労回復の効果が得られる。5分だけでも実践を。

走った後の体のチェックも兼ねて、ぜひ習慣づけよう
つい忘れられがちなクールダウンだが、実はメリットがたくさんある。運動によって上がった体温や心拍数を戻したり、興奮している筋肉や神経を鎮めたり。そして疲労の回復を促し、次回の運動への体を作る(ケガをしにくい状態に戻しておく)、というもの。言葉を話さない犬だけに、どんな小さな体の異変も飼い主が見つけてあげたいもの。走った後は健康チェックも兼ねて、マッサージすることを習慣づけたい。

肩関節付近のツボを揉む
引っ張る力が強い日本犬は後肢よりも前肢に負荷がかかる。前肢にたまった疲れを取る効果があるのが、写真の赤い印の胸寄りにある肩井(けんせい)、背中側にある搶風(そうふう)というツボ。この2箇所を写真のように親指と人差し指でつまむように揉む。犬の顔が「満更でもないな」という表情なら疲れが取れている証拠かも。

 

後肢の肉球の後ろを揉む
後肢にある肉球の一番大きい部分(掌球)の後ろ側には「湧泉」という大事なツボがある。体の怠さや疲れを取るツボとしてお馴染み。人間だと足裏マッサージをされると大変気持ちが良い部分だ。ここを写真のように握りながら足先に向かって押すように揉む。前肢には湧泉はないが、肉球の異変がないか触りながら確認しておこう。

 

前肢の肘付近のツボを押す
上と同じく、前肢の疲れを取るのに効果があるのが曲池(きょくち)というツボ。前肢を曲げた際にできる足のシワの一番外側の骨のくぼみ部分にある(赤い印部分)。ここを親指で「1、2、3」と数えながら3秒押したら、「3、2、1」と3秒かけて力を抜いていく。ケガの予防にも効果的なのでウォーミングアップにも。

 

アキレス腱のところにあるツボを挟んで引っ張る
アキレス腱にかかった負担を軽減すると同時に、腰のメンテナンスも兼ねてくれるツボが、崑崙(こんろん※赤い印の部分)と解谿(かいけい※赤い印の裏側の部分)。アキレス腱の後ろ側の左右から、写真のように親指と人差し指でツボをつまみ、外側に引っ張るような感じで何回かマッサージしてあげよう。

 

最長筋を刮痧(かっさ)してデトックス
刮痧は中国で発明された体調を整える方法の一つ。本来は水牛の角から作られた“かっさ板”を用いるが、靴べらでも代用可能だ。背骨、及び最長筋を上から下にかけて靴べらでこすってあげよう。こうすることで毛細血管の流れが良くなり、全身の疲れが取れる。犬が気持ちよさそうにしているなら、しばらくこすってあげよう。

 

腹部ひだをつまんで引っ張る
写真の親指が当たっている場所が大胯(だいこ)というツボ。股関節や腰にかかる負担を軽くする効果がある。腹部ひだを写真のようにつまんで軽く引っ張り手を放す、これを数回繰り返し行う。腹部ひだはつまんだり引っ張っても痛くない。ちなみに痩せた犬ほど腹部ひだがあってつまみやすく、太った犬ほど腹部ひだがなくてつまみにくい。

 

まとめ

1年に1回は健康診断の時に筋肉や骨、関節のチェックを!

いつまでも心身ともに健やかに運動をさせてあげたいと願うなら、まずは肥満に注意して関節に負担がかからないようにしよう。7歳過ぎたら年に1回は健康診断を受けると安心。

また、10歳以降は思いっきり走らせるのは控えよう。時間や運動の内容を見直し、飼い主さんがある程度制御することも必要。

日本犬は体に触られるのを(特に足)嫌がる犬が多い。万が一の時に飼い主がすぐに状態を確認でき、動物病院でも診察がスムーズにできるよう、体に触ることに慣れる練習をしておきたいもの。

自転車引きでタイヤに足を挟んだり、ロングリードで走っていて勢い余り首輪やハーネスが抜けたケースもある。また、足を引きずるので捻挫かと思って診察してみると、重度の皮膚疾患が原因だった例もある。足先を舐め壊して靴ずれのようになり、歩くのが不自由になっていたのだ。

足の異変=爪や肉球、関節のトラブル、及び、捻挫、と思い込まないことも大切。犬の安全と健康をしっかり守れる飼い主として、やれる限りのことは実践していこう。
 
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監修:石野 孝先生、相澤まな先生

Shi‐Ba vol.112『足は丈夫な日本犬だけど……異変にすぐ気付ける飼い主になる! 走り屋トラブル防止術』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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