動物病院で起こりがちなトラブルにもいろいろある。今回は診察室で起こりがちな主なトラブルとその対処法を見ていきましょう。
▶︎病院トラブルイザ!という時① │ 待合室でのトラブル回避
※本特集内では非攻撃的な「かむ(噛む)」行動と区別するため、攻撃的なかみつき行動を「咬む」という表記にしています。
診察室
6.いつもと違う状況では脱走の可能性もあることを忘れずに
診察室に入ってついホッとして犬を放したら脱走してしまった、なんてことも。それは待合室でも同じ。脱走は首輪など装着物の扱いにミスがあることが多い。
◎万が一の首輪抜け予防のために首輪やナスカンのチェックを欠かさずに
バックルタイプはいつの間にかスライド部分が緩んでいることも。出かける前に首輪のサイズの確認をしておこう。
7.体を触られるのを嫌がって咬みついてしまうことも
日頃から体に触られることに慣れていないと、診察で体を触られることを嫌がって最終的に咬みつきの行動に出てしまうこともあり得る。
◎体に触られることに慣らし口輪にも慣らしておく
触られることに慣れていても不安や恐怖から咬んでしまうことも。口輪にも慣らしておくと安心。
万が一、咬んだ時はきちんと話をしておく
万が一、診察中に獣医師やスタッフを咬んでしまった場合は、その場できちんと話をして、飼い主側はどのような対応をしたらいいかを確認しておくことが大事。
8.その場から逃げ出したくて診察台から飛び降りてしまうことも
「診察台に乗せた途端、飛び降りてしまった」というトラブルも診察室では起こりがち。愛犬をよく見ていてあげよう。
◎リードを短くしてしっかり持っておく
診察が始まったら、診察台での保定などは動物看護師が行うことが多いので、それまでは飛び降りてしまわないよう、写真のようにリードを短く持っておくこと。
9.不安や恐怖で落ち着きがなくなる
以前嫌な思いをしたなどの経験から、診察室に入ると落ち着かなくなる場合がある。日本犬は危機察知能力に優れているのでそんな犬も多い。
◎速やかに診察や処置が終わるよう指示に従う
少しでも早く処置が終わるようにしてあげよう。そのためには飼い主さんが獣医師の指示に従うこと。
速やかに診察が終わるように協力するのも大切なこと
診察室で起こりがちな主なトラブルは上記に挙げている通り。
「診察台に乗せると、まだ何もされていないのに大げさに鳴き叫んでしまう犬もいたりしますよね。日本犬は特に危機察知能力に優れている犬が多いので、例えば注射をされる前に、嫌なことが起きるのだと予測して反応するわけです」
専門的に改善を試みない限りは、それを防ぐことはどうしても難しいとのこと。それならば、診察台にいる時間が最短で済むようにすることだと堀井先生は言う。
そのためには、獣医師やスタッフの指示に従い、スムーズに診察ができるよう協力することが大切だ。
「もし診察中に咬みつく可能性があるとなれば、口輪やエリザベスカラーを装着することになるかもしれません。その時にショックを受ける飼い主さんもいますが、獣医師側の安全だけでなく、犬自身が十分な診察を受けるために必要なことだと思ってほしいのです」
また、日頃からトレーニングをしていろいろなことに慣れさせておくことで、動物病院でのトラブル回避に役立つことも。紹介しているものを参考に行っておこう。
監修:堀井隆行先生
ヤマザキ動物看護大学動物看護学部動物人間関係学科講師。愛玩動物看護師。動物のストレス管理や行動修正を研究し、講演活動や動物病院での行動カウンセリングも行う。共著に『知りたい! 考えてみたい! どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。
Text:Hiromi Mizoguchi
Photos:Miharu Saitoh、Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri
Illustration:Mika Fujisawa
Shi-Ba Vol.131『愛犬の安全のために対処法と対策を身につけて 病院トラブルイザ!という時』より抜粋