第5回 はらだし
酒好きで頭の大きな女の妖怪。古寺に泊まると夜中に数人で現れ、酒を勧めると喜んで飲んで滑稽な踊りをする。その踊りを見るといいことが起こる。
悲しみに打ちひしがれている人には腹踊りを見せて元気づけ、希望を持たせてやるという。
宴会芸といえば腹踊りだった時代があった。おじさんたちが何であんなに楽しそうに踊れるのか不思議だったが、もしかしたらあれは男版「はらだし」だったのでは?
「はらだし」、ピエロ、はだか芸人……。いつの時代も自らの体を使って人を笑わせようとする優しい存在がある。
【参考】
「絵で見る 江戸の妖怪図巻」善養寺ススム/江戸人文研究会 (廣済堂出版)
絵と文/影山直美