ZOO動物プロの北村まゆみ氏はこれまで多くの映画やドラマで、動物のキャスティングやトレーナーを手掛けている犬のスペシャリストだ。
前回は役者犬にむいている特徴(https://inubiyori.jp/shibainu/15947/)について教えていただいた。
今回は、北村氏も作品に携わった「柴公園」の撮影秘話について語っていただこう。
まず、「柴公園」のオファーが来たときの感想について
「柴犬は犬同士の相性がすごく難しいんです。だから、3匹と伺ったときにどうだろうと。え!3匹!それも柴犬?というのは正直、最初ありました。」
と、困惑したことを話す。
北村氏はキャスティングにも葛藤があったことを明かしてくれた。
「黒柴のじっちゃんは若いし、今回の作品がタレント犬として初めての現場だったので特に悩みました。ただ、この子を選んだ理由が人当たり、犬当たりがすごく優しい子だったということもあって、やはり連れて行こうと抜擢したんです(笑)。」
北村氏は、実際の現場で、じっちゃんの思わぬ成長の早さに驚いたようだ。
「じっちゃんのビビり具合がすさまじかったので、最初は不安のほうが大きかったんですけど、実は慣れていくのも早くて。大きく変化を遂げていったのもじっちゃんでした。」
また、じっちゃんパパ役の大西さんが、途中からじっちゃんを抱っこする場面が多かったことについては、
「強く引っ張られると余計にイヤだと突っ張ってしまうので、もう抱っこするキャラにしましょうと。そういう愛情表現をもっているじっちゃんパパという設定が自然と出来ていった感じでした。」
と説明した。
さちこのことについても伺った。石本さんが、もともと犬が大好きだったこともあり、その気持ちがさちこにも伝わったのだと北村氏は語る。
「さちこパパ役の石本さんがすごくお上手なんです。誘導するのもいさめるのもすごくお上手。相思相愛なこのペアは全然心配がありませんでした。」
渋川・あたるペアも順調だったようで、
「あたるパパを演じる渋川さんとあたるも結果的にすごく合っていました。そんなにベタベタはしていない。でも、根っこの部分では信頼しあっているという感じがありました。」
と述懐した。
撮影の合間の犬とのコミュニケーションのことも北村氏は話してくれた。
「最初にお声がけはしていましたが、みなさん、空き時間にも自ら進んでコミュニケーションを取りにきてくださりました。」
柴犬は一途な犬種なので、トレーナーの方に寄って来てしまう。キャストの方が、柴犬を自分の子としてど扱うかというのを、それぞれに模索していた様子が北村氏の話から見受けられた。
次に、ドラマ以外の質問もいくつか伺ったのだが、犬を飼うことの楽しさと大変さについて北村氏は以下のように語ってくれた。
「犬とつき合っていておもしろいのは、こちらのグチをほかに言わないことですかね。秘密を絶対に外に漏らさない。喜怒哀楽はちゃんと分かってくれますし。そこがいいですよね。
ただ、犬を飼う時は絶対に楽をしようと思わないでください。手間と時間と愛情を注いでください。」
動物によって人とコミュニケーションを取れるようになったり、自分を変えられると、北村氏は語る。
「私たちの生活でも、動物に自分が歩み寄ったときに、自分の変化に気づくと思うので、自分の生活レベルを崩さないでペットを飼おうと思っている方がいるなら、今のリズムは絶対に崩れますよと言いたいですし、そこが楽しいんですと言い切れます。」
また、愛犬のしつけに悩む飼い主さんに対しては、「犬に対して遠慮しないように」とアドバイスをくれた。
「犬は獣。その本能と生活を共にするためには、人間の意図していることを分からせる必要があります。最初のコミュニケーションの取り方、リーダーシップを出すところが大事なんです。」
最後に北村氏は「柴公園」について、
「本当に犬あるあるが満載ですし、そういうところは自分の犬と重ね合わせて見られたら面白いと思いますよ。犬を飼っている人への啓もうにも、これから飼う方へのバイブルにもなっていると思います。」
と作品をアピールした。
映画「柴公園」は6月14日(金)に全国のイオンシネマ、シネマート新宿ほかで全国公開される。
公式サイト:https://shiba-park.com/
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(C)2019「柴公園」製作委員会