第9回 出世猫(しゅっせねこ)
化け猫の1つで、駿河国(今の静岡県)駿府城内の庭に潜んでいたとされる妖怪。老いた黒猫の姿をしており、目撃すると立身出世の望みが叶って幸せになるという。
化け猫というと人に取り憑くとか人を食い殺すといった恐ろしい伝承が多いが、このように幸運をもたらすものもいる。駿府城に出入りする武士たちにとって、出世猫は四葉のクローバー的な存在だったのかも。
身近な存在だけに猫にまつわる言い伝えもいろいろある。欧米では黒猫が玄関先にいたら幸せになれるとか、猫のクシャミを聞くと縁起が良いなどと伝えられている。
【参考】
「絵で見る 江戸の妖怪図巻」善養寺ススム/江戸人文研究会 (廣済堂出版)
絵と文/影山直美