小さなひと手間が愛犬との関係に影響する?
「この小さなひと手間が、出来栄えに大きく影響する」
以前、ある飴職人のおじいさんがこう言っていた。そういえば野菜炒めに日本酒を入れたり、しょうゆを少し垂らすだけで大きく味も変わる。小さなひと手間を惜しむかどうかで、結果は大きく変わるのだろう。
それは犬と飼い主にも当てはまる気がする。ひと手間かけるかで愛犬との関係性を大きく左右することがあるはずだ。飴職人からヒントをもらった本企画。簡単にいうと、飼い主が愛犬の暮らしを潤すためにどんな手間をかけているかを聞こうということだ。
まずは動物行動学の観点から、ひと手間について。気になるのは、人間のひと手間(努力)で犬の気分は良くできるのか? ということ。
犬は家畜化の過程を経て、人間とうまくやっていく必要が生じた。そこで、ヒトの動作や社会的信号を読み取る能力をもつようになった。したがって、犬は共生相手のヒト側の行動によって影響を受け、行動や感情が変動する。そういう意味で、ヒトが犬の感情を左右するといっても間違いない。
つまり、人間の行動や心遣いで犬を幸せにできることは間違いないということだ。では、どんなひと手間が、どのような効果をもたらすのだろうか?
ひと手間についてのQ&A
Q.散歩に連れて行くのは効果的なひと手間?
A.重要。運動という意味だけではない。
犬に限らず、ヒトも、自然に触れると心理的に落ち着く。昔、自然の中で生活していたからだろう。また、外の世界は刺激に満ちている。食べ物を探す欲求や、他の犬やヒトなど仲間を探す社会的な欲求もあるはずなので、それらを解消できる。積極的に連れて行ってあげよう。
Q.遊びは飼い主と犬の関係性をよくするの?
A.よくする。こういった特徴は犬ならでは。
普通に遊んでも関係性はよくなるが、遊びを始める前にオテやオスワリをかけるのも、遊びへの期待感を高め、幸せ度を上げるはず。遊びが報酬になるのも犬ならでは。遊びの質もネコがオモチャにじゃれるのとは違い、犬の場合は物体とヒトと犬の間のやりとりがあって成立する。犬にとって、遊びは飼い主との会話のようなものかも。積極的に遊んであげよう。
Q.飼い主も楽しそうに笑顔で遊ぶのはよいひと手間?
A.人の感情は、犬によく伝わるので重要。
犬は進化の過程から、ヒトの表情や動作や声質などを読み取れるようになった。実証的な証拠はないが、視覚や聴覚情報以外にも、嗅覚(におい)などによってヒトの感情などを読み取っている可能性もある。きっと、飼い主の感情は伝わるはず。飼い主も楽しんで遊んであげよう。
Q.怖い時にその感情を和らげるひと手間は?
A.飼い主が怖いと思わないことが大切。
例えば犬が爪切りをされている時、重要なのは飼い主が不安そうにしないことだろう。犬は飼い主の感情を読み取れるので、飼い主はできるだけ不安や心配を見せないようにしてあげよう。
ひと手間に注意が必要
愛犬のためにひと手間をかける、飼い主の素晴らしい努力。「あの人努力しているな」と犬が思うことはないだろう。
しかし、その努力の結果、犬がよい気分になることで、両者の関係は深まっていく。その時に注意が必要なのは、興奮させすぎないこと。
快の種類には二つある。興奮度が高いものと、興奮度が低くて落ち着いたもの。後者の満足を持続できるような関係を成立させてあげられると、関係性はよくなる。
ひと手間で喜ばせる時に、愛犬が落ち着いた状態で楽しくなることが大切。けれど、一番重要なのは、愛情を持ち相手の立場に立てているか? ということだろう。
それができていれば、ひと手間が愛犬と飼い主の双方に幸せを呼ぶのは間違いなさそうだ。
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コーギースタイル vol.40『飼い主のひと手間が関係を深める? 幸せを呼ぶひと手間』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。