犬びより

【いやしの科学】におい・しぐさ・表情……愛犬と一緒にいると落ち着くのはナゼ?

2019/11/14

犬と一緒にいると幸福感が増すのはナゼだろう? どうして愛犬との旅行はこんなにいやされるんだろう? そんな愛犬とのいやしの“?”を科学的に紹介してみました! これでもっと愛犬とお出かけしたくなるはず!?
 

 

肉球のにおいの正体は細菌だった!?

犬の癒し効果

「ウチの子の肉球のにおいがたまらない~!」という人はたくさんいるけれど、この香ばしいにおいの正体ってなんだか知ってる?

これはなんと、皮膚に付いている細菌が原因。犬には肉球に汗腺があり、ここから分泌される汗などと細菌が混ざり合うことでにおいを発する。

さらに散歩中に付いた土や草などのにおいが混ざって、あの香ばしいにおいとなるのだ。

でもにおいが強すぎる場合は、病気やケガの可能性もあるので、注意して愛犬を観察しよう。

 

犬自身にも人を癒すセラピー効果があった!

犬の癒し効果

愛犬と一緒にいるといやされるけれど、実はこれにも、きちんとした科学的な根拠が示されている。

ペットフードやペット用品の開発を行う「ユニ・チャーム」が、特別養護老人ホームで高齢者とセラピー犬を対象に、アニマルセラピー活動を行うと、どのような改善効果が得られるかを検証した。

その結果、高齢者の約80%で「愛情ホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが増加。また約50%の高齢者に、ストレスがあると分泌量が増えるホルモン「コルチゾール」の減少が見られた

AI解析によって笑顔の出る率を算出した結果では、自律神経がリラックス状態になるにつれ、笑顔の回数も増えていったということがわかった。犬が人に与えるいやし効果は、科学的にも大きいことが実証されたのだ。

セラピー犬自身も、オキシトシンは約70%増加、コルチゾールは約50%減少。人と同様、犬もリラックスしていることがわかった。

愛犬と過ごしていていやされると感じている時は、愛犬もまたいやされているということ。そうとわかれば、出かけないわけにはいかないでしょ!

 

犬にはケガや病気を治す効果がある!?

犬の癒し効果

犬は「セラピー犬」として活躍するほど、人をいやす能力があるが、それ以外にも様々な能力を秘めている。

そのひとつは、傷を治す能力。犬の唾液には殺菌作用があり、傷を早く治すためのタンパク質が含まれているという。ただし、犬の口内にはたくさんの細菌もいるので、人がケガをしたからといって、犬には舐めさせないように。

また優れた嗅覚を持つ犬は、ガン細胞を嗅ぎ分ける能力があると言われている。最近は「ガン探知犬」も育成され、日本でも活躍している。

さらに犬には、人の免疫力をアップさせる能力もある。人はストレスがあると免疫力が低下することが知られている。しかし犬のセラピー効果によってストレスが低減されれば、免疫力もアップするというわけだ。

 

「森林浴」は人を癒してくれる

犬の癒し効果

旅先でいやされると感じるのは、都会の繁華街ではなく、緑が豊かな環境が多いのではないだろうか? それは自然の中にいやしの素が充満しているから。

そして、その恩恵を効果的に受けられるのが「森林浴」だ。

「森林浴」とは、1982年に林野庁が発案したもので、長野県の赤沢自然休養林が発祥地。当時は科学的な根拠が示されていなかったが、今では科学的にその効果が解明されている。

いやし効果をもたらしているのは、木々から発散される「フィトンチッド」という揮発性物質だ。

樹木が病原菌や昆虫から自身を守るために出す成分だが、人には自律神経を安定させる効果を与えてくれる。このフィトンチッドの効果で、人は森林でリラックスでき、ストレスも発散できるのだ。

また、日本医科大学の李卿准教授が行った実験によると、森林浴はストレスホルモンを減少させ、免疫力を向上させるということがわかった

長野県の森林で健康な男女を対象に、2泊3日の森林浴実験を行ったところ、免疫細胞である「ナチュラルキラー(NK)細胞」の活性度が高くなり、ストレスがかかると多く分泌されるホルモン「アドレナリン」の分泌量が減少するという結果が得られたのだ。

犬の癒し効果

NK細胞は抗ガン作用があることが知られているので、森林浴はガンをはじめとするさまざまな病気の予防にもつながるということになる。

この効果は、実験後1ヶ月が経っても、実験前よりも高い数値を持続することがわかっている。また日帰り森林浴実験でも、同様の結果を得ることができた。

しかし、このような実験を都市部での一般旅行で行っても、同様の効果は得られなかったという。

フィトンチッドのあふれる森を歩くだけで、人の心をいやしてくれる「森林浴」。こんなに手軽に心と体がいやされるのだから、楽しまない手はない。

愛犬と一緒に森を歩けば、いやし効果が倍増すること間違いなしだ。

 
▽「森林浴の森日本100選」に出かけよう

森林浴に出かけてみたいと思っても、どんなところに行けばいいのかわからない。そんな時に参考にしたいのが「森林浴の森 日本100選」だ。

1986年に緑の文明学会と緑の総合研究所が、当時の環境庁や建設省、林野庁の協力によって選定した森林で、誰でも気軽に歩ける場所がリストアップされている。

ただし、犬連れでは入れない場所もあるので、出かける前にきちんと確認しておこう。

森林浴の森 日本100選を紹介する「日本の森・滝・渚 全国協会」のブログ
http://www.mori-taki-nagisa.jp/

 

「花」は見ているだけで癒される!

犬の癒し効果

森の木々だけでなく、花にもまた、ストレスを緩和したり、気持ちをリラックスさせたりする効果がある。

千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎良文教授が、生花の視覚刺激がもたらす効果について行った検証によると、花のある部屋にいる人は、花のない部屋にいる人に比べて、交感神経活動(ストレスを感じている状態)が25%低下し、副交感神経活動(リラックスしている状態)が29%上昇することが確認できた。花には緊張を緩和して、リラックスさせる効果があることがわかったのだ。

また、生花がもたらす心理的効果を測定したところ、花のある部屋にいた人は「活気」の気分プロフィールが大幅に増加し、「混乱」「疲労」「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」が低下することがわかった。

花の季節に愛犬と一緒に出かければ、花を見るだけでもいやされるはず。さらに、花摘み施設で花摘みを楽しんでから部屋に飾れば日常的にもリラックス効果が得られるはずだ。

ただし、観賞用の花の中には毒性の高いものもあるので、愛犬が舐めたり、花瓶の水を飲むようなことがないよう、飾る場所には気を付けたい。

 

いやしの効果は出かけるだけでも得られる!?

犬の癒し効果

人がいやされるスポットは、森の中だけではない。自然界には、至る所にたくさんのいやしがあふれている。そのいやしの元となるのが「1/fゆらぎ」だ。

「1/fゆらぎ」とは、規則的なリズムの中に不規則なゆらぎが含まれているリズムのこと。「小川のせせらぎ」「木々の揺れる音」「雨音」などの“音”が代表的だ。しかし音だけでなく「打ち寄せる波」「揺れる炎」「木目」といった動きや形状などでも「1/fゆらぎ」リズムを見ることができる。

そんな「1/fゆらぎ」が、なぜ人にいやしを与えるのだろう? それは生体のリズムも同じ「1/fゆらぎ」だから。生体の神経細胞は、生体信号として電気信号を発射しているのだが、その発射間隔を調べたところ、 間隔が「1/fゆらぎ」であることが発見されている。これらが互いに共鳴することで、自律神経が整えられてリラックスするというわけだ。

また「1/fゆらぎ」は、快適性と関係があることもわかっている。こうしたことから、人は自然界から「1/fゆらぎ」を感知するとそれが刺激となって自律神経の働きが整えられ、心地よさを感じることができるのだ。

犬の癒し効果

しかし、そんな場所を探すのは大変という人は、日常の喧騒から離れて、自然の豊かな環境に出かけるだけでもOKだ。いつもと違った環境に身を置くだけでもいやしの効果が得られる。これを「転地効果」といって、普段とは違う環境に出かけることによって五感が刺激され、ホルモンバランスや自律神経の働きを整えてくれるのだ。

自宅から100㎞以上離れた場所へ出かけると、転地効果がより効率よく得られるので、愛犬と一緒にいやしを求めて、遠くまでドライブへ出かけてみよう。ストレスから解放されてリフレッシュした飼い主さんと一緒に過ごせれば、愛犬もきっと同じようにいやされるはずだ。

 
※「天地効果」とは?

日常と違った環境に移動することで、気温や気圧、天候などが変化。それが刺激となって体が反応し、治癒力を促進させるのが「転地効果」だ。昔から空気がきれいな海岸や高山に療養所が作られたのも、この転地効果を利用したものだ。

この転地効果を最大限に得るためには、滞在期間を1週間前後とることが理想的とされている。ただし、3週間以上の長期間にわたってその場所に滞在し続けると体が慣れてしまい、効果が得られなくなるといわれている。

また効果をきちんと得るのであれば、自宅から100km以上離れることが望ましいとされている。東京から考えた場合、富士五湖周辺や沼津、宇都宮、水戸あたりがおおよそ100km圏内。

そんな100km以上離れた観光地で4~5日過ごせば、転地効果が最大限に得られそうだ。ただし、愛犬が車に慣れていない場合は、無理せず近場で楽しもう。

 
参考文献:日本医科大学大学院医学研究科 衛生学公衆衛生学分野「研究業績(研究成果の紹介)」/みずほ情報総研「千葉大学環境健康フィールド科学センター(自然セラピープロジェクト)による『花きに対する正しい知識の検証・普及事業』の調査結果について」/温泉ソムリエ協会「温泉ソムリエが教える!幸せになる入浴法」/千葉県農林総合研究センター研究報告「療法的活用を目的とした身近な森づくりに関する研究」
 
関連記事:犬を思わず連れ出したくなる!体にも心にもいい飼い主サイドの散歩の効果
 
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
 
Shi‐Ba vol.105『におい・しぐさ・表情 愛犬と一緒にいると落ち着くのはナゼ? 柴犬さんのいやしの科学』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。
 

facebookでシェア ツイートする LINEで送る
pick up!