歴史ある街に似合う秋田犬は人懐こくて甘えん坊│さとくガーデン

さとくガーデン
秋田県仙北市角館町東勝楽丁26
年中無休
営業時間9:00~17:00
(変更もありますので店舗へご確認ください)
☎ 0187-53-2230
http://www.satoku-garden.com/

気持ちよさそうに寝転んでのんびり行き交う人を観察

数多くの武家屋敷が建ち並ぶ、みちのくの小京都「角館」。城下町だったこの地は、武家屋敷がカフェやお土産屋に役目を変えて立ち並び、当時の趣を残している。そんな東北が誇る名所にある、さとくガーデンは職人の高い技術で作られた地域の伝統工芸品を中心に、かわいい雑貨や桜染も販売しているお店だ。

看板犬は武家丸(オス・8歳)という勇ましい名の秋田犬。店舗横の駐車場の奥で、リラックスして座り、のんびり行き交う人を観察する姿は、この地域の新しい名物となっている。

「お客様がいらっしゃると、お行儀よく座ります。写真撮影のポーズをとるなど、おもてなしが上手な犬です」というのはスタッフの鈴木さん。

鈴木さんは武家丸を迎えた時のことをはっきりと覚えている。生後3ヶ月の子犬。あまりのかわいさに衝撃が走り、母性本能をくすぐられた。それからすくすくと育ち、あっという間に大きな体になった武家丸は、威風堂々とした成犬になった。

お店の前で。特に仲が良い鈴木さんやジョンさんと一緒にいると、かなりリラックスした表情になる。取材班にもフレンドリーだったが、やはりお店の方への信頼感は強い。さすが秋田犬。

「くるんとしたシッポ、ピンと立つ耳、美しい立ち姿。賢く、従順なところ。魅力をあげれば、きりがないですね。うちの会社は、社長夫妻含め、みんなが家族のように仲が良いです。武家丸も、同じようにみんなから、かわいがられています」

そんな環境で育ったからだろうか、武家丸の性格は、当初持っていた秋田犬のイメージとは大きく違うという。

「秋田犬は、ちょっと怖いイメージがありますよね。でも、武家丸は甘えん坊で、誰にでも懐きます」

とはいえ、他犬種と比べても繊細なのは実感している。できるだけストレスを溜めないように、気遣いを忘れない。

「毎日、健康状態を欠かさず観察しています。お腹を下していないか、目の周りがただれていないかなど、皮膚や毛並みの状態を見て、異変があったら動物病院へ連れていくこともあります。人と接しすぎると、疲れてしまうので、触れ合ってもらう時間など、制限をかけています」

看板犬なのだが、家族の一員という前提がある。

家族が健康で元気に過ごせるように気遣うのは、当然だ。こういった配慮からも、武家丸への愛情が伝わってくる。

「武家丸の調子が少しでも悪いと、スタッフみんなが心配するんです。元気になってもらうためにどうしたらいいか、話し合ったりもします。武家丸への思いやりで、スタッフの気持ちがひとつになるんです」

近所の散歩コースで、ジョンさんに遊んでもらう武家丸。この地域は、自然もたくさんあり、景色も雄大なのだ。

 

秋田犬の存在が、地域の活性化につながってほしい

角館の魅力は、街並みだけではない。紅葉シーズンにはモミジの葉が赤く色づき、春には桧木内川堤のソメイヨシノや武家屋敷通りの枝垂桜が咲き誇る。

「この地域に遊びに来て、秋田犬がいたら、忘れられない思い出になると思うんですよね。さとくガーデンのためだけじゃなく、地域活性化にもつなげたいというオーナーの思いもあり、動物飼育管理士の資格を取得して武家丸を迎えました」

確かに江戸時代にタイムスリップしたようなこのエリアに、秋田犬がいる風景を見るだけでも、忘れられない思い出になるだろう。

人力車のお兄さんたちと。「お客様を乗せて回る観光コースにも、さとくガーデンと武家丸は入ってい ます」と言う。しっかり地域の役に立っている武 家丸なのだ。

近所で飴などのお菓子を販売する女性と。この地域で商売をする人たちは、みんな仲が良い印象を受けた。

それは散歩中にも感じられた。鈴木さん以外で、特に懐いているのが、オーナーとの縁で2年前からグループ会社で働いている、ウズベキスタン出身のジョンさん。

武家丸の愛くるしさに惹かれ、毎日のように散歩をしに会いに来てくれる。たくさんの愛情を注いでくれるジョンさんを武家丸は心から信頼している様子。途中で出会う近所で店を営む人たちから「武家丸、おはよう」と、気軽に声をかけられ、ジョンさんも挨拶をする。

人力車のお兄さんたちや、お土産屋さんの女性などとも交流。みんな気さくで、この地域の人の絆を感じさせる。

また、観光客の団体にも話しかかえられた。

「昔、秋田犬飼ってたんや。まさか、また会えるとは」という男性は、愛媛県から角館を訪れたという。予期せぬ出会いが、旅の価値を高めていく。

たった30分ほどの散歩だったが、武家丸は街の景色に溶け込み、地域全体に愛され、活気づけていることがよくわかった。

「これからも角館の役に立つ存在でいてほしいです。武家丸がお客様と交流して、喜んでいる姿を見ると、私たちも幸せな気持ちになるんですよ。武家丸にも、お客様にも、感謝の気持ちを持ち、日々過ごすことができています。とにかく、長生きしてもらえるように、私たちも一生懸命、武家丸と向き合います」

優しいスタッフと、地域の人々に囲まれて、武家丸は幸せに過ごしている。

秋田犬は、趣と人情が残る城下町の一員。

ジョンさんとの散歩で楽しそうに歩く武家丸。

さとくガーデンが商品化した武家丸グッズ。当初は、武家丸を使って商売をすることに、抵抗もあったというが「地域活性化につながれば」という想いから踏み切った。デザインなどは、スタッフみんなで話し合い、決めている。

 

特に人気があるのが武家丸のぬいぐるみ。「武家丸グッズは、角館のオリジナルグッズと捉えてほしいです。お客様の笑顔を想像しながら、開発しています」と鈴木さん。

 

Shi-Ba vol.126「秋田県と秋田犬」より

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