うちの子は元気だから大丈夫! と油断しないで。実は元気だからこそ、危険な事故に直面する可能性もある。今回は元気なダックスにありがちな健康トラブルについてリサーチ。家の中を見渡して、危険度を徹底的にチェックして。
家の中にも危険がいっぱい
■フローリング
フローリングなど滑りやすい床は犬にとって、とても危険。滑ったことが原因で椎間板ヘルニアや骨折・脱臼を引き起こしてしまう恐れがある。また、腕神経叢麻痺になって、体が動かなくなってしまうことも。フローリングの滑り防止に滑らないワックスをかけたり、カーペットを敷くなどの対策を行って。
■段差
段差から落下すると、腰や背中を強打して骨折したり、椎間板ヘルニア発症の原因となる恐れがある。階段など高い場所だけでなく、ちょっとした段差を踏み外したり、着地を失敗するのも危険。頭を強打すれば頭蓋骨の骨折、意識障害、脳の打撲の危険があり、脚を痛めて四肢の骨折や脱臼を引き起こすことも。日頃から段差には注意して。
■カーペット
毛足が長いカーペットは足先を引っかけたり、表面がつるっと滑ることでバランスを崩して転倒し骨折したり、爪が絡んで折れたりする危険がある。爪はケアしていても引っかける可能性はあるが、長い爪よりは短い爪のほうがリスクは少ない。毎月爪切りをして、短い爪をキープしておこう。
■家具
犬が勢いよく走ったりして、家具の角などに目をぶつけると、ケガをしてしまうことがある。目を打撲した程度ではそこまで心配はいらないが、目が擦れると角膜がめくれてしまう角膜潰瘍を起こす恐れがある。これは放っておくと瞳に穴が開いて失明するリスクもあるので、早めの治療が必要だ。
■ソファ・いす
ソファは犬が転落する可能性があるだけでなく、飼い主が腰かけようとした時、ソファに犬がいることに気づかずに、うっかり踏んでしまうというリスクもある。これらの事故を防ぐためには、なるべくソファに犬を乗せないようにするのが望ましい。ソファの上がお気に入りなら、ステップを置くなど転落防止の配慮を。
食欲旺盛なダックスが多い誤食
■梅干の種や髪の毛は誤食するとかなり危ない!
ダックスは誤食が多い犬種だそう。散歩中は飼い主が目を離した隙に拾い食いをし、家の中ではゴミ箱をあさることもある。
誤食にはいろいろなパターンがあるが、多いのは胃で消化されないものを食べるケース。
特に梅干しの種を腸で詰まらせて動物病院にやって来るダックスが多い。
梅干しを食べる時は、絶対に愛犬が盗み食いしないように、きちんと種を処分しよう。また、意外と梅干しの種は外に落ちていることもあるので要注意だ。
他にも外にはさまざまなものが落ちている。散歩中は、愛犬の拾い食いに細心の注意を払いたい。
また、髪の毛も犬が飲み込みやすいもののひとつ。細くて長い髪の毛は、そのままウンチと一緒に出てくることが多いが、髪の毛が腸に引っかかってしまうと厄介。腸は蠕動運動を行っているため、髪の毛が絡まるとギュッと絞扼されて、腸が腐ってしまい、手遅れになると死に至ることも。また、開腹手術をした際に髪の毛が他のものと絡まって、胃腸の中で大きな塊となって出てくることもある。
髪の毛は床に落ちやすいため、愛犬がうっかり食べてしまうことが多い。日頃からこまめに掃除をしておこう。
■もし愛犬が誤食をしたらすぐに獣医師に相談を!
犬が誤食するのは他にも、コイン、ボタン電池、ビー玉、ピアスなど多岐にわたる。消化されない異物以外では、薬剤系の誤食をするのが危険だ。タバコにも要注意。
他にもチョコレートやネギなど犬が食べると危険な食品の誤食にも気をつけてほしい。
もし、愛犬が誤食しても、飼い主が見ていればすぐに動物病院へ行くことで適切な処置ができるが、怖いのが留守番中など、飼い主が知らない間に誤食していた場合。犬に異変があらわれて初めて気づくケースもある。
誤食の初期症状は吐くこと。あとは元気がない、食欲がない、ウンチが出てこないこともある。
誤食をした場合、処置の方法は食べたものによってさまざま。
誤食して時間が経っていなければ、催吐剤で吐かせる処置が一般的。
しかし、誤食から時間が経っていたり、竹串など先が尖っていて、吐かせる際に危険な場合は開腹手術を行うこともある。
また、小さなものであればウンチとなって出てくるケースが多いため、まずはかかりつけの獣医師に相談してみよう。
もしも、誤食したものと同じものが手元にあれば、持参すると処置がスムーズだ。
また、生活環境も犬の誤食を生み出す危険をはらんでいる。部屋が散らかっていて片付いていない状態だと、誤食のリスクが高まる。
生活環境を見直し、誤食の危険がはらんでいないかチェックしておこう。
こんな所にも危険が潜んでる!
他にも家の中には危険な場所がいっぱい。犬が届く位置に洗剤や化粧品を置かず、危ない場所に近寄らせない工夫をしよう。
■洗面所
洗面所で犬の手の届く場所に化粧品や洗剤が置いてあると、犬の誤食事故を引き起こす可能性がある。
また意外なことに、ヘアスプレーも危険。朝、飼い主がヘアスプレーを使って整髪している時に、その下に犬がいると、スプレーの中身が顔にかかったり、口に入ってしまうことがある。
身支度中はなるべく犬を近づけないようにしたい。
■お風呂場
お風呂場はシャンプー、石鹸、洗剤など犬が舐めると危険なものがいっぱい。ゴミ箱を置いておくと、あさってしまう可能性もある。
誤食事故を防ぐためにも、日頃からお風呂場は立ち入らせないように気をつけて。
夏場、お風呂場の冷たいタイルの上で寝るのが好きな犬もいるので、もしお風呂場に入る場合は危険なものを犬の手の届かない場所に置く配慮を。
■ドア
ドアは犬が挟まれる危険がある。人が出入りする時は、近くに犬がいないか必ず確認をして。強風でドアがバタンと閉まって挟まれることもあるため、ドアを開けっ放しにしないのが鉄則。
ドアにシッポが挟まれ、犬が驚いて飛び出した際に尾の付け根が抜けることもあり、腰が立たなくなったり、ウンチができなくなるケースも。
その他の危険いろいろ
生活環境以外にも危険は潜んでる。散歩中の強い引っ張りや、過度の無駄吠え、散歩などで付着する寄生虫など、生活習慣に起因する健康トラブルを解説。
■引っ張り
散歩中、愛犬が他の犬や人に飛びかかろうとして、思わず「ダメッ!」と、リードを強く引っ張ってしまう経験は多いだろう。
しかし、首輪にリードをつけた状態で人が強く引っ張ってしまうと、気管を痛めてしまったり、咳が止まらなくなる、呼吸が苦しくなるという症状を誘発するリスクがある。
散歩中にグイグイと歩く、引っ張りが強い犬の場合は気管に炎症が起こる程度で大事に至る可能性は低いが、飼い主がいきなりリードを強く引っ張る人為的なケースだと、首の頚椎の脱臼やヘルニアを引き起こす恐れもある。頚椎の骨折や脱臼に関しては程度によって内科的な処置で済む場合と、外科手術が適応になる場合がある。
もしも愛犬に飛びつき癖などがあり、よくリードを引っ張っている場合は、首輪からハーネスに変えるのがオススメ。日頃から、できる限り首に負担をかけない生活を心がけて、散歩中も愛犬の安全を第一に考えよう。
■吠え
犬が吠え続けていると、お尻に強い腹圧がかかり会陰ヘルニアを発症することも。筋肉と筋肉が薄くなって隙間ができ、吠えた瞬間にビリっと破れて、そこに腸や膀胱などの内臓が入り込んでしまうのが、会陰ヘルニアの症状。痛みが出ないため、飼い主は気がつきにくい。
発見のポイントとしては、最近ウンチが出なかったり、下痢が続く症状。ウンチが溜まりすぎると、吐くようになり、便秘が原因となって死に至ることもある。会陰ヘルニアは7歳以降のオスに発症しやすく、治療には外科手術が必要に。腸を元の状態に戻してあげることで、ウンチが出るようになる。
また、吠えが原因となる病気のひとつに、椎間板ヘルニアも挙げられる。吠えた瞬間に背骨に強い力がかかって、椎間板ヘルニアを発症する可能性がある。吠えた時にどこに負担がかかるかで症状は異なり、首に力がかかると全身が麻痺して歩けなくなることもある。特に5~6歳のダックスが発症しやすい。
■寄生虫
寄生虫は子犬の頃からずっと体内にいたケースと、散歩中に寄生するケースの2通りが考えられる。
外で寄生虫がつきやすい場所は、電信柱の近くや草むらなど犬や猫の排泄物が多い所。寄生虫がいるウンチを食べたり、踏んだりすることで、体に寄生してしまう。ドッグランなど、犬が多く集まる場所も寄生のリスクが高まる。ドッグランにある共用の犬用トイレは使わないようにしよう。
子犬の時点ですでに寄生しやすいのがジアルジア。数が増えないと無症状のため、中高年になって数が増殖すると、下痢などの症状が起こってようやく気付くこともある。ジアルジアのような寄生虫は予防薬で防ぐことができないが、ノミ・ダニ・フィラリア・回虫といった寄生中は駆虫薬を与えていることで回避できる。
ノミやフィラリアの予防は春から12月まで、ダニは一年中の予防が必要。そのため、ノミ・ダニ両方に有効な駆虫薬の場合は一年中与えていたほうが安心だ。
ダックスの健康トラブル まとめ
家の中にも外にも、いろいろな危険が潜んでいる。愛犬が好奇心旺盛で食いしん坊な性格であるほど、転倒、転落、誤食など思わぬトラブルを引き起こしてしまう可能性が高い。
これらのトラブルを防ぐためには、日頃から危険回避の対策をしておくことが大切だ。家の中ではなるべく高い場所に上らせない、床も滑らないワックスやカーペットを敷くなどの対策を心がけよう。
また、誤食を防ぐためには、犬の手が届く場所にものを置かないこと。ゴミ箱はフタを付けてガードし、危険な洗剤や化粧品類は高い場所に置くようにしよう。人の食べ物をできる限り与えないことも大切だ。
さらには、飼い主の人為的な事故にも要注意。リードを強く引っ張ったり、うっかり踏んでしまったり、抱っこした際に犬を落とすなど、気の緩みが大きな事故につながるからだ。
これらのことに気をつけていても、どうしても防ぎきれない事故はあるが、発生率を抑えることはできるはず。日頃から危険回避の意識を持ち、安全な生活を心がけよう。
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Shi‐Ba vol.30『元気で好奇心旺盛なダックスは思わぬトラブルを引き起こすことも! 元気なダックスにありがちな健康トラブルに気をつけて!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。