犬びより

【発症するとつらい!痛い!】犬の膵炎ってどんな病気?原因・症状・予防について

2018/11/02

犬の世界でもよく聞く「膵炎」という病気。人間でも発症すると、激しい痛みを伴うことで知られている。膵炎といえば、肥満犬や高齢犬がなりやすいイメージがあるけれど、実はそうでもないようだ。本当のところはどうなのだろうか。

 

犬の膵炎ってどんな病気?

何らかの原因で膵液が活性化し、膵臓本体も膵液の酵素の消化を受けて強い炎症を受ける病気

膵臓は食物を消化する消化酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)と、血糖値の調節を行うホルモン(インスリン、グルカゴン)を分泌する臓器。この膵臓で分泌される消化液の膵液は、食後に膵管から十二指腸へと出ていき、そこで腸液と混ざり合って活性化し、蛋白質、脂肪、炭水化物などの三大栄養素を分解する強い消化液となる。膵炎は何らかの理由により、膵臓内で膵液が活性化してしまい、蛋白質でできている膵臓本体がその活性化した膵液の酵素の消化を受けて強い炎症を引き起こす病気。「急性腹症※」とも言われ、重症の場合は命に関わることもある。現代の医学では、膵炎は一度発症すると二度と治ることがなく、一生厳しい食餌制限(ジャーキーなど、高脂肪、高蛋白の食べ物は一切NG)が必要になる、犬にとっても飼い主にとってもつらい病気なのだ。

【急性膵炎と慢性膵炎】
突発的に嘔吐や下痢、激しい腹痛が見られ、食事を一切食べなくなるのが、急性膵炎の大きな特徴。慢性膵炎は嘔吐や下痢などの症状が長期間にわたって繰り返されることが多い。

※急性腹症
急激に発症して激しい腹痛を伴う疾患の総称。急性腹症は痛みだけにとどまらず、血圧の低下•意識障害などのショック症状を伴うこともあり、呼吸・循環の管理を行いながら迅速な検査と緊急の治療を要する。
正常な膵臓内では、強力な消化酵素であっても特殊なカバーがかかっている状態なので、膵臓内部を傷つけることがない。しかし膵炎の場合は、何らかの理由でカバーが外れてしまっているので、強力な消化酵素が膵臓自体を消化してしまい炎症が起きてしまう。

 

なぜ、怖い病気と言われるの?

原因や診断が確定しづらく、これという治療法がないため、一生涯にわたって食餌療法を続けなくてはならないから

犬の膵炎は何が原因で発症するのか、じつはまだはっきり解明されていない。これまではシュナウザーやプードル、チワワ、テリア系の犬、中年期以降のメス、肥満であったりストレスを抱えている犬が膵炎になりやすいと言われてきた。しかし、実際には標準体型の若いオス犬でも膵炎になっているし、ドライフードしか与えていない、体重管理のしっかりされている犬が発症している例も多くある

このように発症の傾向も様々なため、これといった予防策もなく、体重管理に気をつけてさえいれば病気を防ぐことができるわけではないのが、飼い主としてはとても不安に感じるところ。

また、急性膵炎の場合は激しい腹痛を伴うので、犬がのたうち回って苦しむこともあるし、重度の場合は致死率も高くなる。また、下でも紹介するが、主な症状が「元気がない」「嘔吐や下痢」といった他の消化器系にも見られるようなものなので、胃腸炎などとの区別がつきにくく診断が難しいという特徴もある。

いつ、どんな理由で起こるか予測がつかないこと、発症時に激しい痛みを伴うこと、診断がつきにくいこと、これといった治療法がなく、食餌療法を一生涯にわたって続けなくてはならないこと、などが「膵炎は怖い病気」と言われるゆえんなのだ。話すことができない犬の痛みに、飼い主がどれだけ気づいてあげられるのか、不安は募る。

 

膵臓ってどんな臓器?

腸内で行われる食べ物の消化や栄養素の吸収を円滑に行う、小さいけれど大切な臓器

【役割】十二指腸にくっつくように付いている
十二指腸にピッタリくっつくような形で、腹部の最も奥深い所に位置している膵臓。膵臓全体の中心部には、消化酵素などを含む膵液を十二指腸に届ける「主膵管」が通っている。ちなみに、トイ・プードルの膵臓の形状は長さ約15~20cm、幅は2~2.5cm、厚みは5mmほどのペロ~ンとした形状。やや白っぽいベージュ色だそう。

【役割】膵液やホルモンも分泌する大切な役割
胃や十二指腸と同様、消化を行う重要な臓器。大別すると、消化酵素などを含む膵液を分泌する「外分泌系機能」と、血液中にホルモンを分泌する「内分泌系機能」がある。膵液はアルカリ性で胃液を中和し腸粘膜を保護。また、膵液内の分解酵素は腸内で行われる食べ物の消化や栄養素の吸収を円滑にし、膵臓から分泌されるホルモン(インスリン、グルカゴンなど)は血液中の血糖値をコントロールする働きがある。ちなみに、糖尿病はインスリンが何らかの原因で分泌されなくなって起こる病気。

 

何が原因で膵炎になるの?

・免疫介在性の問題

人気犬種であるプードルは免疫介在性疾患(※1)を持っている犬も多く、中でも「無菌性結節性脂肪織炎」(※2)の好発犬種と言われている。また、プードルは「無菌性結節性脂肪織炎」「多発性関節炎(高熱が出て関節に異常が出て、痛くて足を引きずるなどの症状が見られる)」「膵炎」の3つの病気をあわせもっていることも多いそう。例えば、「無菌性結節性脂肪織炎」を発症した犬が、臨床経過や様々な検査の結果、この脂肪織炎の原因として、膵炎の関与が疑われたという症例だ。このように最近では、膵炎にも免疫の問題が絡んでいて、何かの素因を持っている犬がなりやすいのではないか、という学説も出てきている。

※1 免疫介在性疾患
免疫は体内を正常に保つために生まれながらにして備えられたシステムで、自己とは異なるものを認識して排除する。しかし、何かの原因により、異物を除去する反応が自己の細胞や自己の物質自体にまで反応してしまうことがある。正常な場合、自己の細胞や物質を攻撃しないか、または“異物”であっても過剰な反応をしないようにする機能が備わっているのだが、この調節機能が壊れると組織破壊を引き起こす炎症反応が起きる。このような免疫反応を主とした炎症性疾患のことを免疫介在性疾患と言う。

※2 無菌性結節性脂肪織炎
脂肪組織における炎症性疾患で、免疫介在性と考えられているが、今のところ原因は不明とされている。メスを用いた手術後に皮膚や皮下注射の跡に発症したり、皮膚縫合に使用した「絹糸」が脂肪組織を刺激することで起きることもある。この病気をもっていると、脂肪組織が炎症を起こし、ひどくなると死に至る場合もある。今まではプードルなどの人気犬種が好発犬種と言われてきたが、最近では柴などの他の犬種にも多くの発生が認められている。

・毒物の誤飲や特定の薬で発症することもある

現在、愛犬が病気の治療で投薬中の場合も、膵炎に関しては十分に気をつけたいもの。なんと人間では100種類の薬物と膵炎が関係していると言われているそう。例えば、皮膚炎などで使用するコルチコステロイド剤や利尿剤、抗がん剤、抗てんかん薬(臭化カリウム、フェノバルビタール)、抗生物質、免疫抑制剤、潰瘍の治療剤などの薬も膵炎の要因になることがある。

また、外傷や手術による膵臓の損傷、甲状腺機能低下症などの内分泌障害、高カルシウム血症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、上皮小体機能亢進症、胆のう・胆管疾患、感染症(ウイルス、寄生虫)が原因になることもあるので、心配な場合はかかりつけの獣医師に相談してみよう。

さらには、殺虫剤など毒物の摂取も膵炎を発症する可能性がある。春から夏は草も生い茂り、虫も出る季節。散歩中の誤飲事故には飼い主としてくれぐれも注意したいものだ。

・やはり食べ物に大きく左右される病気ではある

やせている犬が膵炎にならないわけではないし、ドッグフードだけを食べている犬が膵炎になった例もある。残念ながら膵炎を発症する可能性というのは、どんな犬にもある。免疫介在性や遺伝性、薬物性以外のはっきりとした原因はいまだにわかっていない犬の膵炎。

しかし、常に高脂肪の食事をしている犬や、盗み食いをして揚げ物など、とても脂っぽいものを食べたことがきっかけで、膵炎を発症し動物病院に運び込まれてくる犬も多いのは事実。やはり多かれ少なかれ、食べ物に大きく左右される病気ではあるのだ。犬のおねだりに弱い飼い主さんは、食いしん坊な愛犬に対して特に注意が必要かもしれない。

 

どんな症状が出るの?

食欲がない
日頃食いしん坊でガツガツ食べる犬が、急に食べなくなるとさすがに飼い主としても心配になるもの。でも、普段から食が細かったり、シニア犬で食が以前より細くなっている場合は、他の症状と照らし合わせながら特に気をつけたい。

フラフラしている
膵炎になると、歩行時のフラつきや痙攣、震えなど、神経に異常をきたすこともある。診断がつきにくい膵炎だが、このフラつきが“脳の症状”によるものでなければ、膵炎を疑って治療をすることも。

吐き続けている
膵炎でとにかく気をつけたいのが嘔吐。回数はもちろん、「吐いた内容物」「胃液の色」(黄色や緑色は要注意)、また「血が混ざっているかどうか」もチェック。食欲があっても1日に1~2回吐くなら注意が必要だ。

拝むような姿勢
腹痛がある時に見せる姿勢。相手を遊びに誘うような姿勢(=プレイバウ)にも似ているが、明らかに違う点は、シッポを下げ足の間に挟んでいたり、震えていたりすること。この姿勢の後にうずくまってつらそうにすることもある。

丸くなって寝ている
お腹が痛いので体を丸めたり、お腹を舐める行動も見られるもの。飼い主がお腹を触ろうとしても痛いので、嫌がったり怒ったりする場合もある。お腹をかばうように背中を丸めてじっと立っている時も同じである。

震えている
ガタガタと震えたり、うずくまって震えたり。寒くないのに犬が震えている場合は、激しい腹痛を我慢している可能性が高い。

 

これという予防策はないけれどやはり食べ過ぎや肥満には注意

膵炎はこれという予防ができないのは、飼い主としては歯がゆい限りだが、万が一愛犬が膵炎になってしまったら、病気をしっかりと受け止め、獣医師と相談しながら地道に治療していくしかない。

しかし、ゴミあさりで油っぽいものを食べたり、愛犬が好む脂身の多い食べ物を与えたことが原因で膵炎になったことがはっきりとわかっている場合もある。発症させにくくするには、日頃の体重管理が大切。

また、標準体型を維持していれば、肥満から起こる病気や糖尿病なども防ぐことができる。犬が若い時はしっかりと栄養のあるフードを食べさせ、5歳以降になってフードの脂肪分が気になるようなら、獣医師と相談してライトタイプに徐々に切り替えてみよう。

食生活の見直しを含め、誤食の防止など、まずは飼い主ができることをやってみることが愛犬の健康に繋がる。

関連記事:愛犬が膵炎と診断されたら食事はどうする?検査方法、治療方法を解説

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プードルスタイル vol.15『発症するとつらい!痛い!一生食餌療法を続ける、怖~い病気 膵炎の基礎知識』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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