倦怠期を迎えたカップルのように、愛犬に対し「あ~あ。好きなんだけど、散歩とかさぁ、なんかかったるいな~」なんて思ったことはないだろうか?それって関係性がマンネリ化しているのかも!? 良好な関係になるためにも、今すぐ改善策を探ってみよう!
1.悪習慣の引き金になる悪いマンネリがある!
2.マンネリ度チェック
3.犬の散歩マンネリ
4.犬の遊びマンネリ
5.犬との関係マンネリ
6.犬のゴハンマンネリ
7.犬の環境マンネリ
8.いい習慣のマンネリ化は目指すべき目標
9.愛犬との平凡な毎日は幸せのマンネリ
悪習慣の引き金になる悪いマンネリがある!
マンネリとは英語で「マンネリズム」の略。つまり型や形式にハマりすぎて、新鮮さや独創性を欠いた状態になることを言う。多くはマンネリの状態が「つまらない」からで、一般的なカップルの場合、それが倦怠期の原因にもなりかねない。
しかし、日本犬はどちらかというとガンコで、マイペース。変化に富む生活より、マンネリの状態を好ましく思っているようだ。
個体差もあるが、日本犬は洋犬と比べると、ルールに則って行動するのが好きで、いつも同じ行動をしている方が安心する。つまり、柴犬はマンネリを好む傾向にあるのだ。特別なことをされるより、繰り返しの生活を好ましく思うようで、散歩コースやゴハンが毎日同じでも平気。マンネリ=退屈でつまらない、と感じているわけではないので、飼い主側が『退屈しているのかな……?』と、特に心配する必要はない。
だからと言ってマンネリな毎日でも問題がないというわけではない。飼い主が世話を面倒だと感じたり、世話がパターン化することで犬が要求吠えをするなど、悪いパターンが習慣化したりする場合は問題。飼い主と犬、共に悪いマンネリ化がないか確認してみよう。
そこで犬との生活の中で、悪いマンネリ化を引き起こしてしまう可能性がある項目を以下にあげてみた。今のマンネリの生活を見直してみよう!
マンネリ度チェック
飼い主側の行動や、犬の性格や態度が、マンネリ化の引き金に。以下の項目が多ければ要注意!
■散歩
□決まった時間に散歩に行くようにしている
□散歩のコースのバリエーションがない
□いつも同じ人が散歩コースに行く
□同じ速度でダラダラ歩いている
→犬の散歩マンネリへ
■遊び
□オモチャを1個しか与えていない
□遊ぶタイミングがパターン化している
□いつでも遊べるようにオモチャを放置
□何かをしている片手間に犬と遊ぶ
□遊ぶ人はいつも同じ
→犬の遊びマンネリへ
■関係性
□犬が飼い主を無視する
□犬の要求に応えてしまう
□休日はダラダラ過ごす
→犬との関係マンネリへ
■ゴハン
□時間を決めてあげている
□体調に関わらず一定量を与える
□ゴハンをあげる人はいつも同じ
→犬のゴハンマンネリへ
■生活環境
□ある場所に執着し、守る行動が見られる
□クレートに入るのが大嫌い(入られない)
□ソファーなどに陣取っている
→犬の環境マンネリへ
犬の散歩マンネリ
日課の散歩は大変で、飼い主側が飽きることも。メリハリやバリエーションをつけるのがカギ!
【NG】時間を決めて散歩へGO
日本犬を飼っている人に多いのが、規則正しい時間に散歩に出るケース。きっちり時間を決めてしまうとパターン化しやすく、犬が時間を覚えてしまうことも。散歩に行けない日でも、決まった時間になると鳴いて要求するようになる可能性も。
【NG】散歩担当者が決まっている
散歩担当者が決まっていると、犬が飼い主に依存してしまいがち。もしその人が行けなくなった場合、犬が散歩を嫌がるケースも。また1人の人が担当していると、パターンが固定化しやすく、飼い主側が飽きてしまう原因にも。
【NG】コースは1種類
散歩のコースが1種類しかないとメリハリがなく、犬はもとより飼い主が飽きてしまう原因に。さらに、坂道や草むら、土場などの変化がないようなアスファルトの平坦なコースだけだと、犬に様々な感覚を経験させてあげることができない。
■バリエーションを変え短時間でもストレス発散!
散歩や遊びは、犬の体力作りや気分転換になるもの。都合が悪い日は休みにしても構わないが、不足すると問題行動にもつながるので、できるだけ毎日時間を作ってあげよう。散歩や遊びは、飼い主の時間が拘束されてしまう世話だけに事務的にこなす人も多く、そのためマンネリ化することも。それを回避するためにはいくつかバリエーションを用意してほしい。
散歩コースや歩き方、遊び方は何パターンか用意しておけば、メリハリがつき短時間でも犬を満足させられる。ただし、タイミングがパターン化すると犬が学習してしまい、要求吠えするケースも。これは悪いマンネリ化につながるので注意。
■“散歩はランダムに”がマンネリ化脱却のコツ
決まった時間、人、コースにするのはラクだが、それがマンネリ化の原因に。犬が大好きな散歩は新鮮な驚きを与えよう。
脚力を鍛え、経験を積ませるためにも様々なコースを歩くのがベター。アスファルトだけでなく土、草むら、坂道など。ただダラダラ歩くよりも、安全な場所でダッシュを入れるなど、緩急つけてあげた方が犬も喜ぶし、その姿が楽しい。元来走るのが好きな日本犬は大喜びだ。
また、自由ににおい嗅ぎを楽しむクンクンタイムをとるなど、同じコースでもメリハリをつけることで変化が出る(ただし飼い主が許可を与えた場合のみ。タイミングは飼い主主導で)。
犬の遊びマンネリ
ストレス発散に欠かせない遊び。飼い主主導で盛り上げれば、飽きっぽい日本犬もノリノリ!?
【NG】遊ぶ人が決まっている
担当する人がいない時は遊ばなくなることも。オモチャ遊びは、散歩へ行けない時のストレス発散にも使えるばかりか、散歩だけでは得られない瞬発力、筋力を鍛える訓練にもなるので、上手にとり入れたい。
【NG】オモチャが出しっぱなし
いつでも遊べるようにと、オモチャを出しっぱなしにしているとオモチャへの関心が薄くなり、飼い主が誘っても反応しなくなるケースも。それがあれこれ与えてしまう悪循環に。日本犬の場合、飽きやすい傾向があるので、出しっぱなしには注意。
【NG】オモチャが1種類
オモチャは、遊んだ後見えない所に仕舞うなど管理すれば、1種類でも構わない。しかし飽きっぽい日本犬の場合、興味が薄れ、マンネリ化することも。遊び方のバリエーションを増やす意味では、何種類か用意しておいた方がベター。
【NG】片手間に遊ぶ
ソファに寝転びながら遊ぶ、ゲームをしながら遊ぶなど、片手間に犬と遊ぶ「ながら遊び」はあまり好ましくないもの。つまらなそうな態度は犬にも伝わる。気持ちが入っていないと、犬も遊びに対して関心を持てなくなるように。
【NG】遊ぶタイミングの固定化
食事が終わった後、散歩が終わった後など、オモチャで遊ぶ時間が決まっていると、そのタイミングで犬が待つようになってしまう。そして、要求が満たされないと、鳴いてせがむなどの行動に出る場合もあり、しつけの観点からも問題になる。
■遊びはサプライズ!
オモチャは、基本的に飼い主のものとし、犬に与える時は、あくまでも「貸してあげるね」というイメージで。普段は届かないところに置いておき、犬と遊びたい時に飼い主が取り出すのがベター。
体の下や家具の後ろなどにオモチャを隠し、犬に探させるのも面白い。探している最中、飼い主側も「どこかな~」と言って盛り上げ、オモチャを見つけたらほめよう。飽きる寸前で辞めるのがマンネリ化させないコツ。ひとつのオモチャでも、遊び方を変えれば犬は楽しい。モッテコイや引っ張りっこは体力を使うので、犬もストレス発散になる。ただし遊びを終える時は、飼い主がオモチャを取り上げること。
飼い主と一緒に遊ぶ時用のオモチャと、1匹でいる時に遊べるオモチャを用意しておくといい。後者はコングがベター。中に仕込んだオヤツは頭を使わないと取れないため、犬は長時間楽しめる。
犬との関係マンネリ
犬も感情がある生物。倦怠期カップルのように、ダラダラすれば気持ちも離れてしまうものだ。もし、いつまでもラブラブでいたいなら、飼い主の努力も必要になる。先ほど紹介した散歩や遊びも工夫次第で犬は楽しくなり、飼い主との仲も深まる。犬の気持ちを引きつけておくためには、最初の関係性の築き方が肝要。
飼い始めた頃に、いかに犬といい関係性を築くかで、その後の信頼度が変わってくる。人間でも信頼関係が強固に構築された恋人同士であれば、相手を信じて待つことが出来るように、飼い主と思うように会えない日や遊べない日があっても、犬との関係性が崩れることはない。飼い主を慕い、構ってあげた時に喜ぶ犬の姿はかわいくて仕方がないもの。そういったマンネリを感じさせない間柄が、最も目指すべき理想的な関係性だ。
しかし、家族の中で特定の人とだけ関係性を築いてしまうのも問題がある。
例えば母親しか散歩に行かない、ゴハンをあげないという場合は、少々問題。関係性が密になるのはいいことだが、もし母親が入院などで家にいられなくなる場合、犬の世話が立ち行かなくなることがある。万が一、飼い主以外の人の手を借りなくては世話が出来なくなった時のことを考え、1対1のマンネリの関係ではなく、飼い主さん以外の人ともつき合えるようにしておくことは、犬が生きて行くために必要なこと。
ちなみに、この記事で紹介しているゴハンマンネリ、環境マンネリは、飼い主主導でパターン化させないための工夫を紹介している。日本犬はパターン化することが好きで一度覚えてしまうと、切り替えるのにも時間がかかる犬種だ。犬を変えるのは飼い主の努力次第。愛するパートナーのために様々な状況に慣れさせよう。
犬のゴハンマンネリ
毎日同じおかずが続くと人間の場合、テンションは下がるが、柴犬の場合はそうでもないようだ。
【NG】量がいつも一緒
「ダイエットだから……」と言って毎回決まった量を与えるのではなく、その日の運動量や体調によってゴハンの量や質を考えよう。ちなみに犬は毎日同じものを食べていても飽きることはないので、その点は気にする必要はない。
【NG】与える人がいつも同じ
与える人が決まっている=「ゴハン担当」を決めてしまうと、その人以外からのゴハンを食べなくなることもある。ゴハンをあげる=その人との関係性を築く時に利用出来るので、マンネリ化を防ぐ意味でも他の家族も積極的に世話に参加したい。
【NG】あげる時間が決まっている
日本犬の飼い主さんで多いのは、決まった時間にゴハンをあげるケース。犬がおとなしく待てる場合は問題ないが、中には時間を覚えてしまい要求吠えするケースも。1日に与える回数は決めていても、あげる時間は飼い主主導にすること。
■内容のマンネリは問題なし!
あげ方やタイミングを間違えなければ、毎日同じものでも問題ナシ。オヤツは好きな物を用意するといいカンフル剤に。冬は脂肪をつける時季で、夏は食欲のない時季。季節に合わせて量は調整を。またオヤツを食べ過ぎた日、お腹の調子が悪そうな時は減らすなど、その日の様子で与えよう。
犬の環境マンネリ
テリトリー意識が強い日本犬。犬の陣地は飼い主の陣地。一緒の空間で仲良くしよう。
【NG】クレートに入らない
成犬になってからクレートに入れさせようとしても、警戒心が強い日本犬は窮屈さから嫌がって入らないことがある。クレートは災害時などの運搬時、役に立つ物なで、いつでも中に入り寝られるように訓練しておくことが大事だ。
【NG】テリトリー意識が強い
部屋のある場所に籠もっている、ソファなどを陣取る、スリッパなどを守り家族を寄せ付けないなど固執する様子が見られたら、悪いマンネリなので、すぐにその場所をどいてもらうようにしよう。陣取る=自分のテリトリーと思い込むと厄介。
■飼い主と一緒ならいつでもどこでもOK!
家は家族全員のテリトリー。「ハウス」も嫌がらずに入り、「どいて」も素直に聞けるようにしつけよう。
ソファなど寝ている場所を固定化してしまうと、そこを陣取ってしまうことも。コマンドをかけたらどくようにしつけよう。はじめはオヤツで誘導してもOK。いつでも飼い主の命令を聞けることが理想だ。
また、クレートはオヤツで誘導し、入るといいことがあると覚えさせよう。最初は上のフタを外したままで。その後フタをかぶせる、表の扉を閉めるなど、段階を追って根気よく訓練しよう。
いい習慣のマンネリ化は目指すべき目標
マンネリ化=習慣化していることが、いい習慣か、悪い習慣かを見直してきた本特集。みなさんのお宅では、思い当たるマンネリ化はあっただろうか?犬は毎日同じでも全く問題なく、むしろいい習慣をマンネリ化させることが、家庭犬におけるしつけの目標となる。
今回の企画を総合すれば、愛犬と良好な関係を続けるには、
1.いいマンネリは継続する
2.困った行動はマンネリ化させない
3.面倒でマンネリと思われがちな犬の世話も、飼い主が工夫して楽しみを見つける
この3点に尽きるであろう。
愛犬との平凡な毎日は幸せのマンネリ
マンネリ化したカップルや仲間にしか成しえないことがある。よく言われるのが「阿吽(あうん)の呼吸」だ。これは異なる者同士が、まるで呼吸を合わせているかのように一致した行動をとる様を差す。長年連れ添った夫婦が言葉を介さず、お互いの行動を先読みし、気遣いができるようになるような理想ともいえる人間関係だ。
しかし、最初にも話したが、人間にとってマンネリ化は、あまりいい意味で捉えられない。カップルのマンネリは倦怠期を招き、それが別離に繋がることもある。
一方、「私達、このままでは同じだから別れましょう」とできるカップルとは違い、愛犬と飼い犬は、生きている限り別れるわけにはいかない。だからこそ飼い主側が変わることで打破できるような悪いマンネリは見直したい。悪い習慣も面倒と思う世話も工夫次第で改善できるし、結果、それが何倍もの愛犬の笑顔になって返ってくるのだ。
幸せなマンネリがこれからも長く続くよう「阿吽の呼吸」ができるベストカップルを目指してほしい!
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Shi‐Ba vol.81『「見直し→改善」で良好な関係が築ける!?お宅のマンネリだいしょーぶ?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。