【飼い主の離婚・介護・高齢期】暮らしの変化は愛犬にどんな影響を与えるの?

親の介護、車の免許の返納、家族の死など、劇的に変化する環境、そして自分の体力の衰え。それらと冷静に向き合いつつ、愛犬の穏やかな暮らしを守ってあげるには何を準備しておけばよいだろう。
 

 

甘やかしすぎると様々な弊害が

飼い主の暮らしの変化

おじいちゃんやおばあちゃんが犬にどんどん食べ物をあげてしまうのは、高齢者と暮らすご家族によくあるお悩みの一つ。

犬との同居がこれから始まるなら、話し合いの場を設け、それでもなかなか言うことを聞いてくれない場合は、しつけのことや食べ物に関して、高齢者の方にもわかりやすい『ルールブック』を作り、目に見える形で犬に関する決まりを家族で共有できるようにするといい。

また、ご主人が単身赴任になって、久しぶりに帰宅した際に犬を甘やかしてしまうケースも多い。特に大型連休やお盆休み、年末年始後に『犬が言うことを聞かなくなった』という相談がしつけ教室には多いようだ。甘やかしたい気持ちはぐっと抑えるのも、飼い主としての責務だ。

逆に仕事をリタイヤした後に時間に余裕ができて、犬を長時間の散歩に連れて行ったり、夏の昼間に外出しようとする高齢者もいる。こんな時は家族が「動物病院で散歩は控えましょうって言われたよ」など、本人の気持ちを傷つけないように、さりげなくフォローするようにしたい

 

離婚の際はできるだけ冷静になって

飼い主の暮らしの変化

3組に1組の夫婦が離婚する現代。理由は様々だが、それぞれの今後の人生のために離婚を選ぶ夫婦が多いと思う。

犬を引き取るのは大抵女性のことが多い。別れた夫と、犬のお世話のことや金銭的な分担について話し合って決めておいた人もいれば、感情的に別れてしまい、犬のことすべてを自分が負担した人もいる。

後者の場合、夫からの収入が得られず、犬の養育費、医療費や保険料が家計を圧迫したり、仕事、子育て、家事、犬の世話などで精神的にも負担を感じてしまう可能性もある。

しかし、万が一自分が病気になったり、失業した時のことを考えると、やはり犬がなついていて、犬のことをよく知っているサポーター的な役割の人は必要になってくる。

なかなか難しいことだとは思うが、感情的になりそうな離婚協議の際も、「自分の万が一」のことを考えよう。そして金銭的なことも含め、犬のお世話に関することを相手と納得のいくまで話し合うことも大切だ。

 

介護などで人の出入りが増えてきた時は注意

飼い主の暮らしの変化

飼い主が50歳、60歳代になると高齢になった親を引き取って同居することも増えてくる。また引き取った親が介護サービスなどを受ける場合、ケアマネージャーや介護士さんなど自宅での人の出入りが多くなるもの。

犬によっては来客が苦手だったり、男性にだけ吠える、といったケースもある。地域にもよるかもしれないが、ケアマネージャーの人などをお願いする場合は、打ち合わせの段階で「うちには犬がいるので、犬が苦手ではない人を」とか「犬が男性に吠えてしまうので、できれば女性の方を」などの希望をあらかじめ伝えておくこともできる

また、人の出入り時に犬が脱走する可能性もあるので、その際は犬を必ずクレートなどに入れたり、他人が苦手な犬ならケア関係の人が来ている時間帯は、別の部屋で過ごさせるなどの対策も考えておこう。

家族が車いすを利用するようになった場合、犬が驚いて吠える可能性もある。可能ならまずは外で車いすに慣れる練習をしてから、室内でも徐々に慣らしていけるといいだろう。車いすを使用する際は、足元に犬がいないかを確認しながら、犬が車輪と接触して怪我をしないよう、くれぐれも気をつけたい。
 
飼い主の暮らしの変化
 
ところで、飼い主自身がさらに高齢になって意外に困るのは、車の免許を返納した後の移動手段なのだそう。動物病院が歩いて5分以内にあるのならともかく、徒歩10分以上になると、真夏などは歩いて犬を連れて行くのが特に辛くなるそうだ。

また、フードやトイレシーツなどの犬グッズも、かさばるし重いので運搬が苦になることも。そうなるとタクシーを利用することになるが、そのことで予想外の費用が出ていくことにもなる。「年をとると、想像していた以上にお金が出ていって大変!」というのが、高齢者世代の本音なのだ。

将来車がなくなることを想定し、家から近かったり送迎サービスを行っている動物病院やトリミングサロンを探しておいたり、知り合いや親戚が近くに住んでいれば、いざという時に車を出してもらうことを日頃から頼んでおこう。

 
さて、人生に別れはつきもの。家族の誰かがある日亡くなった場合、全員が葬儀に出席するために、家を空けなくてはならないこともある。こんな時は犬をどこに預ければいいのかも、あらかじめ家族内で相談したり、預け先に度々犬を連れて行き、犬と顔見知りになっておいてもらうのもいいだろう。

また、大好きだった人が突然いなくなってしまうのは、犬にとって不安に感じることもあるかもしれない。可能であれば、ご自宅でご遺体と愛犬を対面させてあげた方が良い。 その後はなるべく早く以前の生活に戻してあげたいもの。そのためには、お世話係は決まった人だけが行うのではなく、ローテーションを組んだりして、誰もがまんべんなく行えるのが理想的だ

 

高齢者がメインで犬を飼うということ

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親の定年を機に子供達から犬をプレゼントしたり、子供たちが独立して寂しいので、新しく犬を迎えるシニア世代も多い。

しかし、このような場合はぜひ「飼い主に万が一のことがあったら、誰がどこで犬の世話をするのか」他の家族も交えて必ず話し合いの場を設けてほしい。いざ犬が取り残された時に、子供世代がペット不可の住宅に住んでいたり、家族がアレルギーを持っていて犬と暮らせない、犬が苦手、といったことがその時点で初めて発覚するのでは、遅すぎて犬の行き場がなくなってしまうからだ。

 
また、現在既に高齢者と犬が一緒に暮らしているのなら、実家への帰省時などに犬の散歩に同行してみよう。「ちょっと足元や手元がおぼつかないな」と感じたり、ドアや門を開けっぱなしにする場面が見られたら、犬を脱走させる危険もある。高齢者の気持ちを傷つけないように、今後の対策を具体的に考えたほうがいいだろう。

一緒に暮らし始めた時には飼い主側に体力があっても、それから15年先のことを想定した時、自分の体力、金銭的な問題などで、本当に愛犬を最後まで面倒見ることができるのか、犬と暮らしたいと思う前に必ず向き合ってほしいテーマではある。

 
また、身寄りがなく、一人暮らしで犬を飼っている高齢者の場合は、必ず地域の知り合いに「自分に何かあった時」の具体的な対応を相談したり、頼んでおこう

そして、一人暮らしの高齢者が知り合いにいるなら、可能であれば連絡先を交換したり、相手の家に時々遊びに行くなどして、犬と飼い主が元気かどうか様子を見守ってあげるのもいいだろう。

できる限りのことをして、それでも金銭的や体力的な問題で最終的に「飼うことができない」という結論に達した場合は、新しい飼い主を自分で探す、里子という選択肢も視野に入れる、老犬ホームにお願いするという方法もある。

かわいがるのは簡単にできること。しかし飼い主として本当に大切なのは、責任を持って最後までお世話をするということなのだから。

 
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プードルスタイル vol.18『どんなカタチであれ、愛犬のお世話は最後までやりきりたいから 飼い主の暮らしの変化はプードルさんにどんな深刻な影響を与えているの?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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