ハチ公や西郷どんの愛犬ツンの他にも、全国には犬の銅像が数多ある。今回は都内で楽しめる犬銅像をざっくり紹介。
1.上野の西郷どんとツン
2.中央区水天宮の親子犬像
3.中野区の犬屋敷跡の犬の群れ
4.千代田区のレストランの甲斐犬
5.台東区の蔵前神社
6.ハチ公像~渋谷区と文京区バージョン~
7.犬の銅像 まとめ
上野の西郷どんとツン
ご存知、上野の西郷隆盛像は、明治31(1898)年に建設された。西郷隆盛は高村光雲が、連れている犬は後藤貞行が制作。
リードにナスカンっぽいものがついてる? 結構おしゃれ。 高村光雲の意見で、犬は本来よりも大きいサイズに作られたという説も。
立派な玉があるのでオス。制作時は本物のツン(メス)はこの世にいなかったので、海軍中将・仁礼景範の犬をモデルにしたとか。
筋骨隆々としてたくましい感じのツン。明治時代の犬のかっこよさが伝わって来る。
ツンの像は鹿児島県薩摩川内市にもあり、そちらはメスがモデル。故郷の方の銅像では、ツンのシッポは上野よりも上がり気味だ。
中央区水天宮の親子犬像
安産祈願で有名な水天宮。その境内にあるのが親子の子宝犬像だ。多産でお産が軽い犬にあやかり、戌の日には特に多くの参拝客で賑わう。境内には子宝犬の他、迫力ある狛犬像もある。
ヒモをくわえて無邪気に遊ぶ子犬の姿が愛らしい。耳の立ち方からすると、生後30日前後ってところかな。シッポはしっかり立ってるよ。
笑っているような穏やかな表情、そして落ち着いた佇まい。母犬はスレンダーな美犬。多くの人に撫でられて、体中ピッカピカだった。
中野区の犬屋敷跡の犬の群れ
生類憐みの令で知られる徳川綱吉が作った、東京ドーム約20個分と言われる5つの大きな犬囲い(犬屋敷)には、最盛期10万匹の犬が住んでいたと言われている。それぞれの囲いに「犬小屋」「餌場」「日除け場」「子犬養育場」などが完備。専門の医者や役人もいたというから驚きだ。
目が合って思わず笑ってしまった、嬉しそうな犬の像。勝手に「ペス」と命名。「ハッ!ハッ!」と息遣いが聞こえてきそうな躍動感。
歩道に面し、気さくな感じで犬の像が並ぶ。そんなわけで、さまざまな角度から撮影が可能なのだ。
当時の歴史を伝えようと、ある団体が寄贈したものだそう。愛犬を並べて撮影してみるのも楽しそうだ。
この方もかなり楽しそう。フセているので残念ながら股間は見えないが、体の大きさからするとオス。「万吉」と命名。
この方は真面目そう。オヤツを待っているのかな? 勝手に「シロ」と命名。股間を見た限りでは、未経産のメスか?
体は小型ながらその玉の大きさに驚いた。この犬はかなり柴っぽいフォルムだった。「鉄」と命名。
母子犬はのんびりお昼寝中。子犬は生後3週間くらい? ほのぼのとして心が和む。母犬は「桃」と命名。
プレイバウのポーズをする犬もいるよ。横から見ると玉があるからオス。君の名前は「伊佐次」だな。
千代田区のレストランの甲斐犬
大通りから一歩入ったオフィス街。歩いていると突如レストランの前に甲斐犬の銅像が現れる。山梨県出身のこのビルのオーナーがビルの番犬として、また甲斐犬を知ってほしいという思いから作ったそう。
立ち姿といい、締まった体つきといい「日本犬ってきれいだな」とほれぼれするフォルム。
股間をよく見てみると、甲斐犬女子であることが判明。撮影中通行人から冷たい視線が刺さる。
特筆すべきは肛門。スレンダーな後ろ足に引き締まったお尻。素晴らしい!
ローアングルから撮ってみたよ。凛々しさが出て、また違った味わいに。こうしてみると、四肢の力強さも見事。
かわいい首飾りをつけていることが多い(この日はピンク)。顔もメスらしい優しさ、懐っこさ、品の良さがよく表現されている。
台東区の蔵前神社
「白い犬は次の世には人に生まれ変わる」という当時の俗信が元になった、「元犬」という落語の噺。蔵前神社の境内で人々にかわいがられていた野良犬のシロという犬が、願をかけて人間になるという内容だ。昔の人たちが向けた巷に暮らす犬たちへの愛情が感じられる。犬好きに今昔は関係ないのだね。
懐っこい表情がキュート! モデルは奉納者の愛犬の白いメスの北海道犬(当時4歳のナナ)だそう。
当時東京芸術大学の副学長だった北郷悟氏が制作。緑豊かな境内に佇む元犬像。都会の喧騒を忘れさせてくれる存在だ。
事前リサーチをせずに見に行ったので、相変わらず股間を入念にチェック。女の子でした!
気に入ったのが尾の巻き具合。差し尾も魅力的だけど、柴ファンにとって巻き尾はサイコー!
大相撲ゆかりの神社でもある。そんなわけで境内には「素人力持ち」の絵も奉納されている。
ハチ公像~渋谷区と文京区バージョン~
渋谷区
取材時の待ち合わせで朝6~7時にしかハチ公前なんか行かないから、こんなに混んでるとは思わなかった。巣鴨のとげ抜き地蔵のように触られまくり。
とにかく、みんなすごい撫でるの。だから、背中に比べてちょっとすり減ってる感じ?
後ろ姿のハチ公。泰然と渋谷の街を見守る感じ。背中は毛の質感が残っている。
胴輪の質感と太くしっかりとした足の表現が見事。がっちりした体型のハチ公。
文京区
上野博士とハチ公、両者の喜びが伝わってくる作品。
渋谷のハチ公像は二代目。初代は1934年安藤照作。戦時中に金属供出のため撤去。現在のものは1948年に安藤士によって制作。
一方、文京区の上野栄三郎博士とハチ公の像は、植田努作。2015年3月8日、ハチ公没後80年目の命日に建った。
渋谷のハチ公像は間近で見ると結構小柄。でも前足のたくましさなどをよく観察すれば、秋田犬らしさに納得。
東大のハチ公像は、上野博士も一緒なので大きさ的にも秋田犬だとすぐに納得。ちなみにハチ公の剥製は上野の国立科学博物館にある。
犬の銅像 まとめ
今回見てきた犬銅像の数々。「柴犬をモデルにした銅像」ってのは、実は一つもなかったんだけど、すべてに共通しているのは、銅像の作り手が、モデルになった犬のことをよく観察し、愛情を込めて制作しているってこと。
人間の像と違い、犬の毛を銅像で表現するのはかなり難しいと思うが、作品は筋肉の付き方はもちろん、毛の質感まで伝わってくる感じ。間近で見ると静かな感動が湧き上がる。
また、それ以上に、これらの犬の像を設置しようとした人たちの熱意にも頭が下がる思いだ。
自分ではなかなかオーダーできないので、やはり休日に見にいくのがオススメ。
ただし、股間や肛門を執拗に撮影していたわたくしは、上野で「ママ、あの人犬のお尻ばっかり写真撮ってるね」という見知らぬ子供の声を背に浴びましたが、んなこたぁ~気にしないのが、犬マニア道でございます。
犬の銅像のツウな鑑賞法
股間と肛門を、他人から怪しまれながらじっくりと愛でるのが、真の日本犬マニアなり!
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Shi‐Ba vol.101『こちら犬バカ編集部』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。