野菜は、葉を食べる以外にも、茎や根、花を食べるものもあります。例えば、好きな犬が多いブロッコリーは花野菜の一つですが、花の部分と茎のどちらをあげればいいのか迷っている飼い主さんは意外と多いもの。茎&花野菜と根菜についての知識を深め、愛犬の献立に役立てましょう。
茎&花野菜は犬に良い?
野菜の栄養は根から吸収され、茎から葉に送られ濃縮されます。葉の部分では、さらに光合成によって糖質やビタミンCやβカロテンなどが生成されます。これは、植物の自己防衛機能の一つで、「抗酸化作用」と呼ばれます。
茎野菜のアスパラガスやセロリは葉が小さいことを考えると、光合成の活性力が弱いため目立った栄養素は含まれません。
花野菜であるブロッコリーやカリフラワーは、食べる部分は花蕾と茎ですが、花の役目は栄養貯蔵ではなく受粉なので、花蕾より茎に栄養があります。
根菜はでんぷんが多く含まれる以外に、ニンジンの根には光合成なしで生成できるβカロテンが、また、白いダイコンやカブには水分と消化酵素が多く含まれています。
茎野菜、花野菜、根菜の硬い皮の部分には不溶性食物繊維が多いのも特徴です。
さらに、野菜を犬の健康に生かすために知っておきたいのが「旬」です。旬とは「栄養成長の最も盛んな時期」で、栄養素が最も濃縮しているからです。しかも、野菜は自分を環境的ストレスから守るための栄養素を生成するため、旬の野菜はその季節の体調を調整してくれる栄養素の宝庫と言えます。
根菜の旬は「栄養成長が終わり、貯蔵物質を最も貯蔵した時期」です。寒さが加わると、「糖質」を貯蔵し冬支度をします。寒い季節は水分が不足しやすく、便秘になりやすかったり、ビタミンやミネラルの不足で抵抗力が落ちやすい、といった問題点が出やすいものですが、旬の野菜を上手に取り入れることで体調をサポートすることができます。
ただし、「犬はビタミンCの体内合成ができ、ビタミンCは分解するとシュウ酸になること」そして、「糖質が多く水溶性繊維も多いニンジンやダイコンなどは、犬の腸内で発酵しやすく、時として軟便や下痢を生じること」を考えると、葉野菜も含め、茎、花野菜や根菜も人のように多く摂取すると逆効果になるのだ、という点を把握しておきましょう。
茎、花野菜と根菜について知ろう!
※ここで紹介している野菜は基本的に年間を通じてスーパーなどで手に入るものです。
セロリ
旬……春 (通年)
主な栄養素(食物繊維以外)……β-カロテン、ビタミンC
食物繊維(g/100g)……1.5
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.3:1.2
ワンポイント……
主な栄養素の含有量は少ないが、疲労回復に役立つアスパラギン酸を含む
アスパラ
旬……春~初夏
主な栄養素(食物繊維以外)……β-カロテン、ビタミンC、タンパク質
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.4:1.4
ワンポイント……
主な栄養素の含有量は少ないが、疲労回復に役立つアスパラギン酸を含む
ダイコン
旬……冬
主な栄養素(食物繊維以外)……ビタミンC
食物繊維(g/100g)……1.4
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.5:0.9
ワンポイント……
消化酵素を含み、消化促進作用がある
ニンジン
旬……秋~冬
主な栄養素(食物繊維以外)……β-カロテン、カリウム、ビタミンB1
食物繊維(g/100g)……2.8
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.7:2.1
ワンポイント……
ビタミンCは葉に多いが、βカロテンは根に多い。栄養素の吸収を良くするにはすりおろして脂質と一緒に。
カブ
旬……冬~春
主な栄養素(食物繊維以外)……β-カロテン、ビタミンC、カルシウム
食物繊維(g/100g)……1.5
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.3:1.2
ワンポイント……
ビタミンやミネラルは葉に多い。根には目立った栄養素はなく、ほとんどが水分。
カリフラワー
旬……冬
主な栄養素(食物繊維以外)……ビタミンC、ビタミンB1・B2
食物繊維(g/100g)……2.9
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.4:2.5
ワンポイント……
ビタミンCは茎の部分に多い。食物繊維はブロッコリーより少ない
菜の花
旬……春
主な栄養素(食物繊維以外)……β-カロテン、ビタミンB1・B2・C、鉄、カルシウム
食物繊維(g/100g)……4.2
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.7:3.5
ワンポイント……
栄養価が高く、ビタミン、ミネラルのバランスも良い緑黄色野菜。
ブロッコリー
旬……冬
主な栄養素(食物繊維以外)……ビタミンC、β-カロテン、ビタミンB群、カルシウム、鉄
食物繊維(g/100g)……4.4
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.7:3.7
ワンポイント……
花蕾よりも茎に栄養素や食物繊維が多い。抗酸化や解毒作用のあるスルフォラファンを含む。
レンコン
旬……冬
主な栄養素(食物繊維以外)……炭水化物、ビタミンC
食物繊維(g/100g)……2
水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維の割合……0.2:1.8
ワンポイント……
でんぷんが多いため、野菜の中では高カロリー。アクが多く(タンニン)解毒作用があるが、カルシウムや亜鉛の吸収を阻害する。
茎、花野菜と根菜をあげる時の注意
茎、花野菜や根菜の中で、犬にあげてはいけないのは「玉ねぎ」です。玉ねぎに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物を代謝できないため、溶血性貧血を引き起こします。
それ以外では、レンコンやゴボウなどのアクのある野菜です。レンコンのアクはタンニン、ゴボウのアクはクロゲン酸で、どちらもポリフェノールの一種です。
ポリフェノールには毒素を吸着して排泄するなど健康に良い働きがある一方で、鉄の吸収を邪魔するなど、必要な栄養素も阻害するため、与える場合は、十分なアク抜きを行い使用しましょう。
また、茎、花野菜や根菜は、食物繊維の全体量、特に不溶性食物繊維の含有量が多いのが一般的です。排便回数が3回以上になる、便が軟らかくなった、下痢をしたなどは与えすぎの目安なので、量を減らしてあげてください。
根菜の葉、捨てるのはもったいない!
根菜は、葉で合成した栄養素を根に送り貯蔵するため葉には栄養がないと考えがちです。
しかし、光合成により合成される栄養素は葉で作り続けられているので、葉にも栄養素はいっぱい含まれています。葉も捨てずに利用しましょう。
ただし、葉の部分には農薬も多くかかっていることもあるため、根菜の葉はよく水洗いして茹でることで安全性を優先。
減農薬や無農薬の場合は、さっと加熱することで栄養素の損失を少なくした食べ方をしてください。
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Shi‐Ba vol.107『なんでもクソ真面目&マニアックに大研究シリーズ 犬が食べてはいけない部位はある? 茎&花野菜と根菜の便利手帖』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。