犬びより

犬が西向きゃ尾は東。方角選びに隠された柴犬と自然の関連性を探れ!

2019/04/23

犬は南北を向いてウンコをする。動物の体内のコンパスを調べるために、排便時のくるくるを利用して研究した結果、明らかになったことだ。本サイトでもそれを検証してみた。
 

 

犬は踏ん張るときに南北の方角を向く!?

いきむ柴犬

犬がウンコの前にくるくると回る様子を見て、何かに似ているなぁと思ったら、コンパス! 北を探して針が動くように、ウンコの場所を探してく~るくる。それを見て、犬と方角の関係を発見した科学者がいたのだ! というのはウソです。

しかし、犬の排便時の回転と方角を観察した研究者がいたのは本当。くるくる回る原因がコンパスと同じだったことも本当だ。

驚いたことに、犬は南か北を向いてウンコをするという。これは、チェコ生命科学大学の研究により明らかになった。2年間に渡って37犬種70頭の排便1893回と排尿5582回を観察。犬は南北どちらかに頭を向けて排便する傾向が見られたという。

加えて、地域の地磁気の変化を調べたところ、安定している時は好んで南北を向くが、不安定な時はそれが見られなかった。

つまり、犬はくるくると回りながら地磁気を感知して頭を南もしくは北に向けてから踏ん張っているのだ。

犬が感知している地磁気は、地球から生じる磁場のこと。地球は北極のS極と南極のN極を軸として、内部に棒磁石が存在しているかのようなしくみになっている。コンパスはこれを感知して北を向く。

犬は南極のS極と北極のN極の軸に体を沿わせて排便。南か北を向いてウンコをする。体内のコンパスはなかなか優秀。

ただ、地磁気は地殻や太陽の活動によって変化する。南北を好む行動は、地磁気の安定時限定という結果は興味深い。

 

いろいろな動物が地磁気を感じている

犬と方角

地磁気を感知する能力を持つ生き物は多い。渡り鳥、ミツバチ、サケ、イルカなど、鳥類からほ乳類まで多種多様である。これらの生き物は体内磁石を持ち、地磁気を利用して方角や位置を判断すると考えられている。体内にコンパスが備わっているようなものだ。長距離を移動する渡り鳥やイルカ、巣から離れて活動するミツバチは、方向音痴では生き残れない。

しかし、犬は何のために? もちろん快適にウンコをするためだ。ウソです、と言いたいが言い切れない。現時点では犬が地磁気を感知して、排泄時に南北を好んで向くという研究が提出された段階だ。

個人の感覚になるけれど、南に窓があると気持ちいい、東向きに寝ると落ち着く、などの好みが関係しているとも考えられる。コンパスのように頭が北向きではなくても、体が南北の軸に沿っていればいい、または東西の軸でなければいい、というところがなんか適当だ。

長距離を移動する生物にとって方角の誤りは死の危険すらあるけれど、ウンコは別に……ねぇ?

犬と方角

しかし、地磁気を感知する能力は、犬の帰巣本能にも関係している可能性がある。家族と離ればなれになった犬が戻って来た、という感動的なエピソードは世界各地で聞かれる。

犬が飼い主とはぐれて長距離を移動する機会は極めて少ないが、地磁気の感知が役立ったのかもしれない。犬のコンパスは快便のためだけではなく、大切な理由があるのだろう。と、思いたい。

実は、犬と同じく長距離移動をしないウシにも、南北を好む行動が見られた。衛星写真でウシの食事を観察したところ、南もしくは北を向いて並ぶという。これも、地磁気が安定している時のみに見られる行動だ。草を食べてもぐもぐおえっもぐもぐおえっと反芻しながら、地磁気を感知して南北の方角を向く。想像するとシュール。その行動にいったい何の意味があるのか? 残念ながらわかっていない。
 
生物の体内のコンパスは数十種類に及ぶ生物に備わっていることが明らかになり、注目を集めている。

また、磁場が細胞や個体に影響する結果も報告され、強い磁場の中で根が異常生長を起こす植物や、磁石で肩こりがほぐれた人の話などは興味深い。地磁気に関する能力や影響は解明されていないことも多いが、さまざまな生物にとって必要なものだと考えられる。

 

排便の平和を乱す 日本の磁気事情

犬と方角

犬は体内のコンパスで地磁気を感知する。そして、南もしくは北を向いてウンコをすることが好きな、謎の生物であることがわかったと思う。

ところが、日本で暮らす犬は、自慢のコンパスの性能を発揮しにくい状況にあるようで……。

1960年代の記録によれば、長野県で地震が起きた地域の地磁気を測定した結果、変化や異常が現れている。1980年代の伊豆大島などの噴火の際にも、地磁気の変化が観測された。

日本は震度1以上の有感地震が一日に数回発生しているので、そのたびに地磁気が影響を受けて不安定になっている可能性が高い。地磁気が不安定になると、犬がウンコの時に南北を好んで向く行動が見られなくなる。

ということは、日本の犬は南北を向きたいと思いながら、地磁気が不安定なために東西を向いて踏ん張っているのだろうか。く~るくると回る犬を見るたびに、「どこでもいいから早く!」と思っていたが、不安定な磁場の中、南北をせっせと探していたのかもしれない。そう思うと申し訳ない。

さらに、現代は地磁気をゆがめるものがとても多い。コンパスに磁石を近づけると、針が北ではなく磁石の方を向くことは有名だ。実はただの鉄を近づけても同様のことが起きる。地磁気などの影響を受けて弱い磁石になるのだ。

身近に車、電車、建物などの大きい鉄のかたまりがたくさんあったら? 体内コンパスに大きな影響を及ぼすだろう。鉄の重量が大きく距離が近いほど、磁気はゆがめられてしまう。特に都心部は自然が多い地域よりも地磁気を感知しにくい環境かも?

 

場所を決める理由は地磁気だけじゃない

犬と方角

犬とウンコと方角に関係があることは明らかだろう。しかし、犬は排便の場所や方向を、地磁気で決定しているとは限らない気が。日本は地磁気が乱れているから南北を向かない可能性もあるけれど、他にも理由はありそう。

例えば、場所のニオイ。犬はマーキングの目的でウンコをすることもある。くるくる回っていろいろな犬のニオイがついているところを嗅ぎ分け、「オレ、参上!」と特大のブツをブリブリッ。日本は都市部の人口密度が高く、犬もたくさん集まっているので、マーキングのしがいがありそう。

次に、足元の感触。「落ち葉じゃなきゃダメ」といったこだわり派もいる。人のトイレの便座カバーだって好みに合わせて選ぶでしょ? その次に、周囲の状況。排便中は無防備な姿勢になるので、安全なところでこっそりしたい犬もいるだろう。くるくる回る理由は、お気に入りの場所やプライベートな空間で、落ち着いて用を足すためかもしれない。

あとは、勢いの問題。勢いよく回転しているうちに、「いつもより多く回しております」状態になって、方角がずれてしまうこともありそう。

もしくは、身体的な理由。利き手(足)の具合や体の痛みがあり、場所を妥協して決めたケース。

もう少し回って方角や場所を定めたいけど……まぁいいか。そんな気持ちでウンコをしている可能性だってある。

日本犬にとってウンコの儀式は重要だ。場所をじっくり定め、心を落ち着かせてブリブリ。加えて、地磁気も感知するために努力しているのかもしれない。快適な排便ができるようにあたたかく見守ってあげよう!
 
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Shi‐Ba vol.76『方角選びに隠された自我の神秘を追え! 犬と方角』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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