日本犬は他の犬と仲良くできないコミュニケーションのヘタな犬種。そんな定説があるだけに多頭飼いに不向きと思われてきたが……。
日本犬同士の多頭飼い一問一答
Q.日本犬同士の多頭飼いは他犬種より難しい?
柴犬を含め日本犬の特徴は、とにかく自我が強いということ。自分だけの世界に浸り、群れて馴れあうことを嫌う。そういった意味からすれば、多頭飼いにはあまり向かないタイプの犬種といえる。
ただ、グループ交際が苦手な日本犬だが、気が合う犬同士なら1対1の関係で仲良くなることは多々ある。
また、気の合わない犬に対しては、関心も示さず離れて無視するので、ケンカになることも少ないだろう。
だから、全くダメとか向いてないというわけでもないが……。
Q.日本犬と相性のいい犬種、また相性の悪い犬種は?
ラブラードルとかゴールデンなど、レトリーバー系の犬とは相性が悪そう。
レトリーバーは遊ぶのが大好きで、陽気なのはいいけれど、空気が読めない「KY」なタイプが多い。いくら柴犬が迷惑顔で離れても、全く意に介さず近くによってきて「遊ぼうよ!」と、しつこく挑発してくる。また、あっさりした性格の日本犬とは真逆で、かなりしつこい。日本犬の方がキレてしまう可能性は大。
個々の犬によって性格もかなり違うので、一該には言えないが、日本犬同士というのは多頭飼いには向いた組み合わせかもしれない。
お互いにつかず離れずの微妙な距離感をとり、相手にあまり干渉することなく、争いも少なく暮らせそうだ。
Q.実際に多頭飼いをするにあたって注意することは?
最初に飼った犬との関係をしっかり構築してから、2匹目の犬を飼うべき。最初の犬の性格を把握していれば、この犬が2匹目の犬を家族として受け入れるかどうかも分かる。
「1匹だけでは寂しいだろうから、もう一匹飼おう」なんて安易に考えない方がいい。
Q.2匹目を飼う場合、先住犬との年齢差は何歳がいい?
子犬の頃からずっと一緒に飼っていると、お互いに依存する気持ちが強くなりすぎる。片方が病気をしたり、死んだりすると、もう1匹もすごいストレスをうけて病気になることが多々ある。
だから、同年代の子犬を2匹飼うというやり方はあまり賛成できない。年齢差はあった方たがいいだろう。
ただし、あまり年齢差が開きすぎて先住犬が老犬になってしまってからでは、新しい子犬を受け入れるのが精神的にも体力的にも辛くなる。
先住犬との年齢差は4年くらい開けるのがベスト。
Q.これから多頭飼いする人にアドバイス
まずは、先住犬との関係をしっかりつくる。1匹目の犬についてよく知らないうちから2匹目を飼うというのは、かなり危険。
また、2匹の犬を飼うということは、お金も2倍かかるということもよく考えて。元気なうちはいいけれど、病気になると医療費もかかる。
また、多頭飼いをする前に、一度、先住犬をドッグランにでも連れて行ってから、他の犬と一緒にいる時にどんな行動をとるか、しっかりと観察しておくこともやっておいた方がいい。自分の犬が多頭飼いに向いてるかどうか、見ているうちによく分かってくるだろう。
日本犬って特殊な犬なのかも!?
携帯電話をはじめ、日本市場は世界標準とは大きくかけ離れ、独自の技術やサービスが進化した特異な世界である。最近では「日本市場のガラパゴス化」などという言葉でマスコミをにぎわしてもいる。しかし、ガラパゴス化……いまに始まった話でもない。異世界とのコミュニケーションが苦手で内に籠もる習性のある日本人は、ガラパゴス化しやすい気質を生まれもって有している。鎖国して外世界との交流を断ってもへっちゃらってな民族だけに、筋金入りって感じも。
そして柴犬気質も、飼い主の日本人によく似てガラパゴス化に陥りやすいようで。ドッグランに連れていっても、楽しく遊んでる他の犬たちから離れ、一匹でポツンと孤独に浸ってるヤツが多いような。犬ってのは群れる習性があり、太古から群れでの共同作業で獲物を仕留めて暮らしてきた。
柴犬のコミュニケーションベタぶりを見ていると、なんか、とっても疑わしくもある。しかし、他の犬たちとは遊ばないぶん、その愛着は飼い主に執着する。他の犬たちと仲良くできないもどかしさが、飼い主への偏愛的な忠誠心になってしまうのだろうか? それ故に多くの日本犬は「別に他の犬と一緒にいなくても、飼い主さえ一緒にいてくれたらいい」ということになるのだろう。
日本犬が多頭飼いを望むか望まないは、よく解らない。しかし、仲間の犬をさほど必要としない犬であることは間違いない。と、思うのだが。
関連記事:
私たち柴犬もペットが飼いたい!動物たちの異種多頭飼いを考えてみた
子犬を迎え入れると老犬は若返る?若犬との多頭飼いのメリット&デメリット
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
Shi‐Ba vol.55『犬に教わる共同作業の処世術 日本犬同士の多頭飼いの作法をしゃぶりつくす!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。