必要な「モノ」と「お金」を知る 柴犬暮らしのはじめかた


その容姿や性質に惹かれ、我が家でも柴の子犬を迎えたい!
と考える人も少なくないはず。子犬を迎えるにあたって、その準備などについて知っておこう。

Text:Hiromi Mizoguchi Photos:Minako Okuyama 撮影協力:多摩国橋荘

まずは日本犬の子犬の特徴を理解してから準備を始めよう
全身コロコロしていて、キュートな柴の子犬。いつかは我が家に迎えたい、そろそろ迎えてもいいかなと思った場合、準備しておくべきものはいろいろある。もちろんお金がかかるというのも、事前に知っておきたいもの。 だが、その前に柴犬をはじめとする日本犬の子犬の特徴を理解しておくことも大切だ。主な特徴は左ページに挙げた通りである。「もともと日本犬は狩猟を目的に改良された犬種ですから、狩猟欲求が強い犬が多いです。毎日の散歩に加えて、引っ張りっこなどで飼い主さんが一緒に遊んであげることも大事です。遊びは散歩よりも全身を使うことになるので、運動欲求や精神的欲求を満たすことにもなります。日本犬の特徴を理解し、犬の欲求を十分に満たしてあげる遊び方を知っておくことも、一緒に暮らしていくうえで欠かせません」と鹿野先生。 特徴を理解したら、子犬を迎える際に準備しておきたいものを次に紹介していこう。

日本犬の子犬3つの特徴

特徴1
洋犬に比べると精神的成長が早い
オオカミに近い遺伝子を持つ日本犬。
明確な研究結果は出ていないが、洋犬に比べて早熟で社会化期の時期が短いと言われている。
その点から、家に迎えたらできる限り早い時期から社会化教育に臨むようにしたい。

特徴2
やや大袈裟な反応を示すことあり
早い段階から警戒心を持ちやすく、同じくらいの月齢の洋犬なら抵抗なく受け入れられるようなことでも、
柴の場合は別。嫌なことに対して大きな声を出すなど、大袈裟な反応に飼い主が面食らうことも少なくない。

特徴3
噛む欲求が強い傾向がある
犬同士で遊ぶ際、お互いの体を噛み合ってじゃれることが好きな犬は多い。狩猟欲求が強い犬であればあるほど、激しい遊びが好き。
飼い主に甘噛みするのは、犬側がコミュニケーションをとりたくてやっている場合も。

子犬を迎える前にかけたいお金 その1

サークル・ケージ
クレートとトイレトレーを入れて、なおかつ多少空間がある大きさが欲しい。
トイレの習慣ができ、いたずらすることがなくなれば将来的には取り除いてOK。
部屋に合わせて拡張できるタイプなど種類はいろいろ(5000~2万円くらい)。

クレート
犬が安心できる場所として準備しておきたいのがクレート(4000~1万円くらい)。
適切なサイズは、四つ足で立った際に頭のてっぺんまでの高さ、鼻先からシッポの付け根までの奥行き、それぞれ+5~10cm余裕があると良い。

トイレトレー
トイレトレーには種類もサイズもいろいろある。
子犬だからと一番小さいレギュラーサイズにするのではなく、将来成犬となった時のことも考えて、柴犬ならワイドサイズのもの(1500~5000円くらい)を用意しておきたい。

オモチャ
引っ張りっこ遊びには長めのロープ(1000~2000円くらい)が最適。
パペット型のオモチャ(1000~2800 円くらい)で遊んであげるのも、犬の噛みたい欲求が満たせるだけでなく、手を噛まれる心配がないので用意しておくとよい。

迎える前に準備したいものにはいろいろある
さまざまな飼育本やサイトなどで「こんなもの を準備しておこう」と紹介されている中でも、特に気をつけておきたいものをピックアップしてみた。クレートはトイレトレーと同様に成犬になっ た時の大きさを想定して準備すれば愛犬が成長とともに狭くなり、使わなくなるということも避けられる。散歩で使うハーネスは、子犬の時は引っ張ることが多いため、胸の部分にリードを装着す る引っ張り防止用ハーネスを利用するのもよい。リードについてはフレキシブルタイプのものは散歩で使わず、安全で広い場所で走らせたい場合に付け替えること。散歩中さまざまなことに慣らす 際、すぐにフードをあげられるようにトリーツポーチも用意しておくと便利だ。

子犬を迎える前にかけたいお金 その2

知育トイ
フードを中に入れておくコングやガジィーなどの知育トイ(800~1000円くらい) は、遊びながら食べることを習慣づけられ、留守番の時などのストレス緩和に。
子犬の時は1日の給餌量を何回かに分け、これらを利用して食べさせてもOK。

首輪・鑑札
散歩の際はハーネスでも脱走時に捕まえやすくなるため、首輪(1000~5000 円くらい)は常につけておきたい。
また首輪にぶら下げた鑑札が取れるのが心配、という時は、首輪に固定できる鑑札入れ(500~2000 円くらい)の利用が◎。

給水器
犬は水を飲む際、舌を体側に巻いて水をすくう。ケージなどに取り付けるノズルタイプの給水器だと犬は飲みにくい。自然な形で飲めることを考えると、飲んだ分が受け皿に給水されるタイプ(1000~2000円くらい)のものがよい。

ブラシ
お手入れに欠かせないブラシの中でも、スリッカーは使い方が難しい。
下手に使って犬が痛がってしまうとブラッシングが苦手になってしまう可能性がある。柴犬ならピンブラシやラバーブラシ(500~2000円くらい)を揃えておけば十分。

安全で快適に過ごすためにも愛犬のことを考えしっかり準備を

愛犬に対する理解を深めつつ適正飼養を心がけておきたい

「犬を迎えようと思った時点から、犬という動物の習性をきちんと配慮したうえで適切に飼育する『適正飼養』を、もっと多くの飼い主さんに認知してもらいたいですね」と鹿野先生は言う。 犬の習性がわかれば、揃えたほうがよいもの、かけたほうがよいお金についてもわかってくる。 そして家に迎えた後は、動物病院で健康診断を行い、健康面をまずは確認する。健康であるとわかればそれほど神経質になることもなく、子犬との生活を楽しめるというもの。またさまざまなことに慣らすためにもパピークラスに通うなど、しつけに関してお金をかけることも必要なことのひとつだ。柴犬は警戒心が強いので、一旦関係がこじれてしまうと修正するのが難しいが、その予防にもなる。犬の習性などの情報は、更新され続けている。常に新しい情報を取り入れるようにしたい。「迎えた愛犬について知ろうとする努力をしてほしいです。何を望んでいるのかな、どういう対応をしてあげたらいいのかなと愛犬への理解を深めることで、お互いの愛情がさらに湧いてきて、より強い絆で結ばれることになります。子犬との生活をぜひ楽しんでほしいですね」

先住犬のフォロー
それぞれの犬と向き合う時間を持つこと

新たに子犬を迎える場合、先住犬と仲良くさせたいと多くの飼い主が思うはず。犬側にしてみれば自分のテリトリーを守りたい、飼い主からの愛情を独占したい気持ちが強い。
先住犬にとって家は自分のテリトリーなので、いきなり子犬を家に連れて入るのではなく、まず外で顔合わせを。後から来た犬は新しい環境を受け入れやすいが、先住犬はこれまでの生活リズムがどうしても崩れてしまう。習慣化したことが崩れるのは、犬にとってストレスになる。犬同士を無理に接触させる必要はない。必ず飼い主が介入して犬同士の距離感を保つようにしてあげよう。散歩は別々に行うなど、それぞれの犬と向き合う時間をきちんと持つことが大切だ。

子犬との生活は大変なこともあるけれど 楽しみながら絆を深めていこう

 

監修:鹿野正顕先生
学術博士。麻布大学介在動物学研究室 (旧 動物人間関係学研究室)にて、
人と 犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
スタディ・ドッグ・スクール代表。

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