日本犬との暮らしに重要な年齢・成長の特徴と付き合い方

犬は家族の一員という考え方が広まり、「飼う」から「暮らす」へと変わりつつある。愛犬と豊かな暮らしを送るために、日本犬を知ろう。

 

日本犬の年表

0週齢

新生子期:嗅覚と触覚でにおいと温度を感じられる。母犬の方へ這って近づこうとする。8日に前足、10日に後ろ足がしっかり動くようになる。12日には乳歯が生え始める。

2週齢

移行期: 10日以降に目が開くが、視覚が機能するのは3~4週齢頃。14日頃から聴覚が少しずつ発達する。複雑な動きができるようになる。まだ自力では排泄できない。

4週齢

社会化期:21日を過ぎた頃から感覚器が発達。24日頃から母犬やきょうだい犬とじゃれ合い、社会行動パターンを身につける。物事に慣れやすい社会化期が始まる。

7週齢

離乳から間もないので体調管理が重要

8週齢

活発に動き回るが、撫でる練習を継続する

恐怖期:乳幼児の人見知り期にあたる時期で、無邪気と怖がりが同居する時期。世の中の危険を学びながら、大人へと成長する。日本犬は強い恐怖を感じた物事に対して苦手意識を生涯持ち続けることもある。

楽しく経験を積ませる社会化トレーニングを行う

12週齢

犬が主張しても叱らず、嫌な印象を与えない

散歩で精神面のバランスがとれた犬に育てる

16週齢

散歩中の問題は理由に合わせて対処する

自己主張が強くなり、排他的な面が顔を出す

自立期:社会化期がゆるやかに終わる頃。ただし日本犬は洋犬より早く終わると考える。6 ヶ月頃までが人の思春期にあたる自立期。恐怖期と重なるので警戒心が強くなることも。脳が発達して複雑な学習も可能になる。

20週齢

マーキングや他犬への吠えが始まる

6ヶ月齢

反抗期: 自立心の発達に伴って自我が芽生える。早ければ社会化期の終盤から始まる。わざとイタズラしたり指示を無視したりするが、人の反抗期と同じく成長の過程。

できて当たり前と思わずに教え直そう

8ヶ月齢

性成熟期: 性ホルモンの分泌によって性成熟へ。繁殖ができるようになり成犬の体型に近づく。この頃までに経験したこと(遊びやイタズラ)は将来的にも続く場合が多い。

上下関係ではなく大人同士の付き合い方へ

1歳

所有欲やテリトリー意識が強くなる

若犬期: 人の20歳前後にあたり、体格はほぼ成犬になる。内面には子供らしさを残しているが、イタズラや甘え噛みは減る。見知らぬ人や犬とは距離を置くようになる。

2歳

トレーニングを日常生活に取り入れる

成熟期: 経験を積んで成犬らしい落ち着きや思慮深さを備え、体格にも貫禄が出るのが3歳頃。心身の成熟期と言える。判断力や記憶力など人より優れた面も見えるように。

犬の予想をくつがえしてワクワクさせる

 

日本犬は野生動物に近い

日本犬は野生動物に近いプリミティブ・ドッグに分類されている。成長して生きる力を身につければ、親から離れて自立する犬種だ。いつまでも子供のような幼さを残す愛玩犬とは違い、上記の「日本犬の年表」のとおり成長して大人になるのが日本犬。

早ければ6ヶ月頃、遅くても3歳頃には子供っぽさが影を潜める。体質・体型は数千年前から変わらず、日本の風土であれば人に頼らず野生で生きていくことも可能だ。犬は撫でてかわいがる対象、飼い主の言うことを聞く存在と思い込んでいると行き違いが生まれる。

子供に対するような接し方から、大人との付き合い方へと意識を変えることが、日本犬との暮らしの醍醐味を最大限に引き出す。家庭犬というより「家庭で飼える野生動物」あるいは「人によく慣れる野生動物」と考えた方が共同生活もうまくいく。

子犬の社会化期から家庭での暮らしに必要な習慣を「社会化トレーニング」として続けるのが理想だ。

 

監修:山下國廣先生

日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒、獣医師。犬のトレーニング、問題行動治療を行う「軽井沢ドッグビヘイビア」主宰。家庭犬のしつけ指導から作業犬の訓練まで、幅広く活動している。災害救助犬としても活躍した甲斐犬のすぐり(オス)と、15年7 ヶ月を共に過ごした。

「飼う」から「暮らす」へ!愛犬との豊かな暮らしのために日本犬を知ろう

軽井沢ドッグビヘイビア
https://www.karuizawa-dogbehavior.com

Text:Shio Kaneko

※Shi-Ba vol.125「犬と家」より

-暮らし, 柴犬