【ごほうびマスター】TPOを見極めて、愛犬に正しい報酬を与えよう!

ごほうびはオヤツだけとは限らない。犬にとって魅力的なら行動やほめ言葉もごほうびに。犬にとって大切なごほうびをまじめに考えてみよう。
 

 

ごほうびはオヤツだけじゃない

愛犬へのごほうび

基本的なことだが、犬にとってごほうびとは何だろう?

犬が必要なもの、喜ぶもの、うれしいこと、やりたいことなど、これらすべてがごほうび。オヤツだけでなく、走る、ニオイを嗅ぐ、友達犬と遊ぶ、マーキングをするなど、犬が好む行動をさせてあげることも、価値の高いごほうびなのだ。

また、犬種によって好むごほうびは変わる。犬は人に求められた仕事(獣猟犬、鳥猟犬、回収犬、牧羊犬、番犬など)に合わせて、特定の能力を発達させてきた生き物。得意分野だけでなく、好みのものや行動は犬種の差が大きい。もちろん個体差もある。

ごほうびは、犬種や性格に合わせて選んだ方がいいようだが、すべての犬に効く万能のごほうびはないのだろうか。

生存のために不可欠な食べ物と水は、すべての犬にとってごほうびになる。ごほうび=オヤツ、ではないが、飼い主さんが工夫して与えれば魅力的なものになるはず。

 

愛犬のごほうびランキングを知る

愛犬にとって魅力的なものは何かをご家庭で簡単に調べられる。ごほうびの代表格である、オヤツとオモチャのランキングを作る方法を紹介しよう。

[オモチャ]
犬の前に2つ同時に投げて、先にくわえたものから順位をつける。

[食べ物]
犬が見ている前で両手にオヤツをのせて(床に置いてもOK)マテをさせて、犬との距離を左右同じにしてからOKの指示を出せば好きな方から食べる。マテが難しければリードをつけて準備ができたら放す。

 

オヤツのごほうびランキングをあげる

愛犬へのごほうび

日本犬の中にはオヤツに釣られない犬もいる。でもオヤツを否定するわけではない。食べ物はすべての犬に有効なごほうびになり得るし、号令を教える時に便利。

ただ、日本犬のごほうびランキングは食べ物が上位とは限らないので、まずは順位を上げよう。

例えば、犬を空腹にさせ、一日のゴハンをすべてごほうびとして使う。何かを教える時に、ドッグフードを一粒ずつ与える。外で教えたいことがあるなら、ゴハンも含めて家で食べ物は与えず、外でドッグフードを一粒ずつ。

ちょっと強引だが、食べ物の価値を高められる。外に出たら食べ物を心待ちにするようになるまで続けよう。

 

オヤツの大きさに気を配ろう

犬がオヤツをもらって喜ぶのは、口に入れた瞬間だけ! 時間がかかるガムは、ごほうびをもらった理由を忘れてしまう。

うれしいと思う機会を増やすために与える回数を増やそう

ベストな大きさは5mm。最大でも1cm以下にしよう。

 

愛犬がやりたい行動を見極める

愛犬へのごほうび

■獣猟犬らしい行動を許可制にしてごほうびに

犬がやりたい行動を許可してやらせることで、行動をごほうびにできる。日本犬が好む行動は何だろう?

日本犬は獣猟犬として活躍してきた犬種なので、猟犬のような行動を好む傾向がある。走る、ニオイを嗅ぐなどの行動は、価値の高いごほうびになるだろう。

散歩の時にいつもやっているけど……という方もいるはず。行動をごほうびとして活用するためには、リードの持ち方と行動管理に工夫が必要。

犬がやりたい行動=いつもやっている行動、という飼い主さんは、常に犬まかせで散歩しているのでは? 時には自由に歩かせてもいいが、ごほうびとして活用するためには行動範囲にメリハリをつけよう。

まず犬に気づかれないようにリードを短く持って行動範囲を狭くする。犬がいうことを聞いた時や引っ張らずに歩いている時などに、ほめてからリードを長くしてあげよう。犬がやりたい行動=飼い主さんが許可してやらせてあげる行動、に変えていく。

犬がお気に入りのオモチャで遊ぶことも行動のごほうび。価値を高めるために、与えたままにせず、しばらくしたら回収しよう。
 

▼リードの持ち方と行動管理

1.こっそり短く持つ
犬に気づかれないように、リードを素早く短く持つ。無理に引っ張りながら短くすると、犬がリードは拘束するものだと嫌悪感を抱くのでNG。

2.張りすぎないように歩く
短く持ったリードがピンと張りすぎないように注意しながら歩く。ぐいぐい引っ張る犬は、引っ張らないことを教えてから練習した方が簡単。

3.ゆるめて行動範囲を広げる
飼い主の方を見た、引っ張らなかったなど、ほめてごほうびをあげたい時に、「いいよ」と許可を言いながらリードをゆるめて行動範囲を広くする。

 

ごほうびにならない行動

犬にとって飼い主に呼ばれることも魅力的なごほうび……だったらいいが、現実はとても残念。

日本犬の若い犬は、飼い主の近くに来ることが「仕事」になっていることがあるそう。呼ばれたから行く、という義務感。月曜日のサラリーマンみたい。

喜んできてくれるように、ごほうびを与えてオイデを教えよう

 

ほめ言葉のスペシャルセットをつくろう!

愛犬へのごほうび

■撫でる・遊ぶ・オヤツ・etc……+言葉=スペシャルセット!

犬にごほうびを与える時は、いいことをした、いうことを聞いた、という犬をほめたい時が多いのでは? 「よしよし」「いいこ」とほめ言葉をかけながら、ごほうびを与えるケースだ。人はほめられればうれしくなるけど、犬も同じ?

犬にほめ言葉を教えてあげれば、『この行動は歓迎されている』と認識できるようになる。日本犬は人の様子をよくうかがうので、『飼い主さんが認めてくれた』という喜びも、モチベーションを高めるごほうびになる

ほめ言葉の利点は、犬がいいことをした瞬間に、すぐにごほうびとして与えられること。オヤツを犬の鼻先に運ぶより、『よしよし』とほめ言葉を言う方が早い。オヤツがすぐに出せない時、ほめ言葉をかけていれば、『オヤツが出る前触れ』と理解もしてくれる。

すばらしい。ほめ言葉はぜひ教えておきたい。もう教えてるって? でも、飼い主はほめているつもりでも、犬に伝わっていないこともあるとか。愛犬のごほうびを見直すついでに、初心にかえってほめ言葉を教えてあげよう。

ほめ言葉を言った直後にごほうびを与える。ほめ言葉を教える時は行動のごほうびではなく、短時間に繰り返し与えられるオヤツを使った方がいい。ほめ言葉とごほうびを組み合わせて、ご家庭オリジナルのスペシャルセットを作ってみよう。

 
■ほめる=撫でる?

ほめる=撫でる、とは限らない。日本犬はいきなり手を伸ばして撫でられることを好まない場合が多い。飼い主はほめているつもりでも、犬は「仕方ないなぁ」と撫でさせてくれるだけということも!

撫でる時は犬の気持ちを見極めてごほうびとして活用しよう。

 
■演出力を磨こう

ほめ言葉と号令を上手に使うと、ほめるシーンを演出できる。犬の行動に号令をつけて、号令に従ったようにみせかけてほめる、という技。

簡単に言うと、犬がニオイを嗅ぎそうになったら「クンクン」とか号令をかけて、(犬が勝手にやることだけど)指示に従ったように演出して「いいこ」とほめるわけ。

ほめる機会を作れるし、変わった号令も教えられるから一石二鳥かも?

 

ごほうびを与えるシチュエーション

愛犬へのごほうび

ごほうびの種類だけでなく、与えるシチュエーションも知っておこう。犬がいうことを聞いた時だけ、ごほうびを与えがち。

でも、好ましい行動をしている時、困ったことをしていない時にも、与えるべきだ。目が合った、部屋で静かにしている、ゴミ箱に近づいたけどあさらなかった、これらはすべてごほうびを与える機会。犬の自主的な行動にも目を向けよう。

日常生活に定着している動作は、ほめ言葉をかけて認めてあげるだけでもいいだろう。

 

家族に合わせてごほうびを使い分け

犬に距離を置かれている人、懐かれていない人、接し方が上手でない子供は、ランキングが高いとっておきのオヤツを与えよう。

『魅力的なごほうびをくれる人』から『魅力的な人』になるきっかけになる。またごほうびを与えるだけでなく、散歩や遊びなどの一緒に過ごす時間をつくろう。オヤツで釣っているだけではダメ。

家族の中で犬との関係がいい人は、犬にとって注目してもらえるだけでもうれしいごほうびになる。ランキングが低いオヤツや主食のドッグフードを与えるだけでも十分だそう。

 

タイミングと使い分け方を見極めよう

愛犬へのごほうび

いろいろなごほうびを紹介してきたけど、たくさんあるから使い分けに迷うところ。与えるべき最適なごほうびはどうやって選べばいい?

動きのある動作にはテンションが上がるごほうび、動きの少ない動作にはテンションが上がりすぎないごほうびを与えることが一般的

オスワリやマテなどの動かないことを教える時は、オヤツを使った方がいい。犬は食べている時はほとんど動かないので、その姿勢を維持しやすい。愛犬の性格や教えたい動作によって、飼い主が与えるごほうびを判断しよう。

日本犬の場合、動きのある動作(ジャンプ、ボール投げ、スピンなど)には、行動のごほうび。動きの少ない動作(オスワリ、マテ、フセなど)には食べ物のごほうびがおすすめ。部屋で目が合った、家族が忙しい時におとなしくしているなどの、ささやかな行動へのごほうびは、ほめ言葉だけでもいい。

 
次はごほうびのタイミングについて。愛犬がいいことをした時にごほうびを与え忘れたとしよう。

ごほうびのタイミングは、行動が終わった瞬間。犬によって違うが、経験を積むことで愛犬のタイミングがつかめるだろう。ただし、どんな犬でも5秒を超えてはごほうびとして認識しない

行動が終わった瞬間を逃さないことが大切。遅すぎてもダメだけど、早すぎるフライングもNG

行動が終わっていない時にオヤツなどを見せると、気を取られて中断してしまう。犬がオスワリしようとしている時にオヤツをあげてみよう。おそらく中腰で止まる犬が多い。

ごほうびを与えるタイミングは、コンマ0秒を争う過酷な世界なのだ。まずは愛犬にごほうびを与えまくって、飼い主の感覚を磨くために特訓をしよう。タイミングをつかめばきっと上達も早いはず

 

飼い主のために働く犬を正当に評価しよう

愛犬へのごほうび

硬派な日本犬を愛する方、「ごほうびに釣られるとは忠犬にあるまじきこと!」な~んて怒らないでね!

日本犬の飼い主は、他の犬種の方に比べてごほうびに否定的な方が多い。忠犬のイメージがあるせいか、犬を無償で従わせようとする。『シッポを振ってごほうびをもらうなんてみっともない』と、ごほうびに対してマイナスの印象があるのかもしれない。

でも、会社に例えて考えてみて。社長に『無給で働いてくれ』と言われたらどうするだろうか? 退職するだろう。日本犬だって人の指示に従うことで働いている。人が食べるために働くように、犬も食べるために働いていいのでは?

休日出勤当たり前。残業代カット。 いっそのこと無給。そんな恐ろしいブラック会社に勤めたくない。愛犬だって働かせたくない。そこのあなた、ブラック飼い主になっていないだろうか?

給料として毎日食事を与えている、という方もいるが、犬は決まった時間に決まった量の食べ物を与えてもごほうびとは認識しない。食事は生存のために必要なものだから、ごほうびは報奨金として与えよう。 働きを評価してもらえることでモチベーションも上がるだろう。

ごほうびがなくてもいうことを聞く犬もいるが、ワンマン社長に仕方なく従っているサラリーマンのような状態だとか。かの忠犬ハチ公も、渋谷駅に行くついでに焼き鳥をもらっていたし、忠義とごほうびは両立するはずだ。

 
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Shi‐Ba vol.63『TPOを見極めて、正しい報酬を与えよう! ごほうびマスターになる!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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