犬びより

和犬流、意志の疎通術。YESでもNOでもない、あいまい言葉で分かり合う!

2019/05/26

あいまい言葉とは「かわいい」など号令以外の言葉のこと。トレーニングの基本はYESとNOだが、あいまい言葉によるコミュニケーションは、日本犬の伝統技だとか!?和犬流の意思の疎通を極める方法を紹介しよう。
 

 

ニュアンスで分かり合うためには?

犬のしつけ

微妙なニュアンスやあいまい言葉をコミュニケーションの手段にするためには、きちんとしたルールを犬に教えることが大切。この過程を抜かしてあいまいな言葉をかけても伝わらない。何回も注意したあげくに怒りまかせに叱ることになってしまう。まずはあいまい言葉の誤った使い方と、ありがちな失敗例を2つ紹介しておこう。

【Aパターン】
1.言うことを聞かない犬を注意。
2.犬は聞こえないふり。
3.1と2を繰り返して最後に厳しく叱る。

 
【Bパターン】
1.犬がくつろいでいる時に無視。 
2.犬が気を引こうとイタズラ。 
3.注意してもやめないので叱る。

  
犬は[Aパターン=なぜか叱られた][Bパターン=かまってもらえた]と思ってしまう可能性がある。どちらも犬に注意の意味が通じていないため、完全に飼い主のひとりごと、一方通行になっている状態だ。

このようなエピソードはよく聞く。しつけ教室に通って正しい接し方を心がけている飼い主以外は、ほとんどの方が経験しているのではないだろうか。正しい行動といけない行動を教えていないのに、注意しても犬にはわからない。だからイタズラを繰り返すのだ。

お互いの意思が通じていない状態は飼い主にも犬にもストレスになる。生活のルール作りの基本でもある、しつけの三大原則を下で紹介しよう。愛犬との暮らしを見直すために役立つはずだ。

環境を整え、正しい(人に好ましい)行動を増やし、いけない(人に不都合な)行動をなくしていく。これがすべての基本。YESとNO、号令によるトレーニングを教えるのはこれらができてから。

ただし日本犬は意味を理解していても、『従おうか従うまいか』と考えることがある。例えば、イタズラを「こらこら」と注意された時にやめようか迷う、「オイデ」と呼ばれてためらう、などの行動。ここで「まぁいいか」と中途半端にしてはいけない。指示に従わない前例を作らせないように、口に出した号令には必ず従わせる。号令を繰り返す、リードで誘導するなどしてやりきること。飼い主さんも自分が出した指示に責任を持とう。最終的に犬が従った時には思いっきりほめてあげる。『最初からちゃんとやりなさい』と怒ってしまいがちだが、犬がやりたくない時にやったことこそほめてあげよう

人も忙しい時に頼んだことや難しい仕事をやってもらえた時はうれしいもの。同じ気持ちで犬にも接したい。犬だからと難しく考えずに、生活のルールも決めよう。

 

トレーニングの3大原則

犬のしつけ

1.目を離す時には環境を整備する
飼い主が犬から目を離す時は、何をされてもよい、叱らずに済む環境を整える。室内は居場所を限定する。屋外はイタズラされて困るものを置かない。

2.好ましい行動を強化していく
犬が自発的にする行動を半分に分けて、好ましい(ましな)方をほめてごほうびを与える。例えば、床の新聞紙を気にしない時はOK、噛むのはNGと決めたら、新聞紙から意識をそらした時に褒めてご褒美をあげる。

3.飼い主に不都合な行動を無視する
環境を整えていれば特に問題は起きないはず。自発的な行動の好ましくない方は徹底的に無視する。声をかけず視線も向けず、無反応で通すことが大切。

 

YESとNOを明確に教えよう

犬のしつけ

トレーニングの三大原則をもとに生活のルールづくりが終わったら、次はYESとNOを教えるトレーニングだ。ここで紹介するのは、飼い主のトレーニングでもある。ほめる機会を逃さない生活習慣を作ることが飼い主のトレーニング。禁止した時に行動を止めることが犬のトレーニング。教える時はリードをつけて行動を管理できるようにしておこう。かける言葉は家族で統一すること。よい時は「ヨシ」「GOOD」、いけない時は「ダメ」「NO」など短い単語の方が犬に伝わりやすい。下を参考に場面ごとにアレンジしよう。

■YES(肯定)の教え方

行動の瞬間をほめる
号令に従った瞬間、指示どおりの行動をはじめた瞬間と完了した瞬間を逃さずにほめる。完了の時は明るく満足げな口調でほめてあげよう。

例:「オスワリ」の号令に従った瞬間にほめて、オヤツなどのごほうびを与える。

継続した行動をほめる
よい行動を続けていたり指示に従って行動している最中にほめ続ける。動作中は励ますような口調で、静止中はゆっくりとささやくように。

例:「オイデ」で戻って来ている最中に「ヨシヨシヨシ!」と励ます。

 
■NO(禁止)の教え方

行動の開始を禁止する
いけない行動をした瞬間に「ダメ」など禁止の単語を言いながら、犬の行動を阻止する。行動が止まった=よいことなのでほめてごほうび。

犬のしつけ

例:つまみ食いをしようとした瞬間に「ダメ」と言いながらリードで止める。

進行中の行動を禁止する
禁止の言葉をかけながら、リードを引いて行動を中断する。犬がやめたらすぐにほめてごほうび。行動している最中なので「行動の開始の禁止」よりは学習効果減。

犬のしつけ
例:犬がテーブルに足をかけていたら「ダメ」と言いながらリードを引く。テーブルをあきらめるまで繰り返す。

行動の意図を禁止する
犬がいけない行動をしようと考えた(筋肉や視線が動いた)瞬間に禁止の言葉をかける。犬がその行動に移さなかった場合に限り、すぐにほめてごほうびを与える。

犬のしつけ
例:テーブルの上にある食べ物を狙う素振りを見せた瞬間に「ダメ」と声かけ。

 
■NGな教え方

終わった行動を叱る
いけない行動が終わった後、号令に従わなかった時などに叱ると、犬はNO(禁止)を理解せずに「ごめんなさい」のふり(お腹を見せる、逃げるなど)だけ学習する。

しつこく叱り続ける
子どもに説教するように叱り続けるのはNG。犬は理解できず、飼い主に対して嫌な印象だけが残る。声を荒げて叱り続けると恐怖感も与えてしまう。

 

日本犬とのアバウトな意思疎通方法

洋犬に比べると日本犬はアバウトで以心伝心な関係が合っているようだ。わずかなニュアンスの違いや状況を見て、自分で判断できるのだろう。日本人と犬の関係は、昔からこのようにアバウトだったのかもしれない。リーダーシップは飼い主がとらなければいけないが、すべてをYESとNOだけで済ませるのは味気ない。あいまい言葉で意思の疎通を図る方法を紹介しよう。

■許可・解除
犬がやりたい行動を許可する。または動作が継続する号令(マテなど)を解除する。ほめ言葉が「ヨシヨシ」の家庭では、混乱を招かないように、許可の言葉は「ヨシ」以外にする。

犬のしつけ

例:「マテ」の号令をかけた場合。そのまま放置せずに「いいよ」など解除の言葉をかけながら、犬を立たせよう。言葉は家族で統一すること。日本犬は律儀にずっと号令に従っていることもある。犬が立たない場合は、飼い主が立つ、背中を優しく叩くなど、動作を取り入れて起立をうながそう。

 
■犬に間違いを気づかせる
指示やルールを破ってしまったことに犬が気づいていない時、「あれ?」など家族で統一した言葉で注意してミスを自覚させる。禁止とは別の言葉で明るい口調で言う。

例:「オスワリ」と号令をかけられてから「いいよ」という解除の合図がないのに、うっかり立ってしまった場合。注意の言葉をかけ続けて、犬が気づくまで待つ。オスワリを覚えている犬であれば、時間をかければ必ず座る。注意の言葉をかけながら、飼い主が手や足、視線を動かして自覚を促そう。

 
■わざと違反した時に警告
ルールをわざと破った時、飼い主の様子をうかがいながら違反している時に、「あー!」など家族で統一した強めのトーンで警告する。

 
■犬に尋ねてみる
犬を従わせるだけでなく、問いかけることでもコミュニケーションが図れる。アイコンタクトができる、飼い主の声に反応する犬に有効。

犬のしつけ

例:分かれ道で立ち止まり、両方向に順番に半歩ずつ踏み出しながら、犬に「こっち行く?」と尋ねる。犬の反応を観察して、行きたい方向がわかったら「行こう」と声をかけて進む。指をさしながら聞いてもよい。落ち着いた口調で好ましい気持ちを伝えよう。

 
■感情を伝える
犬に愛情を伝えたり、飼い主にとって好ましい、正しい行動をしている時に使う。統一する必要はなく、「かわいい」「おりこう」などプラスの意味を持つ行動をかけよう。

例:落ち着いた口調で好ましい気持ちを伝えよう。犬がテーブルの近くでおとなしくしている時、静かにくつろいでいる時などにも活用できる。

 

アバウトな意思の疎通を図る前に態度を明確に

犬のしつけ

生活のルール、YESとNOを犬が理解しないうちにあいまい言葉を使うと混乱を招く。まずはよい行動といけない行動、肯定と禁止をしっかり教えよう。

飼い主は、ほめることをより意識した方がいい。いつほめていいかわからない、と悩む方もいるが、ほめるチャンスはたくさんある。人に好ましい行動をした時、困った行動をしてない時、号令に従った時、いけない行動を叱った後に犬がやめた時などに、しっかりほめてあげよう。

例えば、家事をしている家族の隣りで犬がくつろいでいる時も、「継続した行動をほめる」対象になる。叱責は怒りではなく禁止を伝えることが目的なので、犬が指示に従って行動をやめた後には必ずほめること。正しい行動をほめて教えるように心がけよう。

生活を見直すだけでも改善できることは多い。犬を号令で従わせるだけでなく、自発的な考えを促し、選んだ結果を評価してあげることが大切

ひとりごとが会話になり、問いかけに答えを返してくれるようになる。そう思うとワクワクする。応用編のコミュニケーション手段であるあいまい言葉を活用して、日本犬ならではの意思の疎通を楽しもう。

 
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Shi‐Ba vol.55『和犬流、意志の疎通術 YESでもないNOでもない あいまい言葉でわかりあう!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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