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【尿もれ注意報、発令!】実は柴犬にめちゃくちゃ多い排尿障害の原因と対策

2018/12/21

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愛犬の尿がポタポタ、チョロチョロ、ジョ~ッともれたことはないだろうか。実は重大な病気が潜んでいることもある。尿もれの原因や対処について知っておきたい
 

排尿システムに問題が起きる4つの原因

1.神経の機能不全(まひ)
加齢、病気、外傷、ホルモンの変化などにより、排尿をコントロールする神経が機能不全になる。

 
2.筋肉の問題
膀胱から尿道へ続く出口の括約筋がゆるむなどの異常が起き、膀胱に尿を貯められない状態。尿が垂れ流しになる。

 
3.精神面のストレス
精神的なストレスが影響して、排尿がコントロールできなくなる。また、水を飲みすぎて膀胱の容量を超えてもれるケースも。

 
4.水を多く飲む
利尿作用がある薬や塩分が多い食事の影響で水を多く飲み、膀胱の容量を超えてもれる。多飲多尿は病気のサインでもある。

 

尿もれは原因になる問題が多い

愛犬の尿がポタポタと垂れていたり、チョロチョロと出ていたりする様子を見かけたことはないだろうか。「尿もれ」といわれるこれらの症状は、排尿がコントロールできていない状態だ。この症状は「柴犬にめちゃくちゃ多い症状」だ。どのような理由で尿もれが起きるのだろうか。

尿もれというと大したことはなさそうに感じるかもしれないが、何らかの原因で排尿障害が起きている状態。排尿システムはとても複雑で、性ホルモンなどもコントロールに関わっていると考えられている。問題になる原因も非常に多い。まずは膀胱に尿をためる機能に欠陥がないか、どこで問題が起きているか。これらを確認するために検査を行う。

柴犬は室内で排泄しない犬や、屋外飼育の犬もいる。飼い主が尿の問題に気づきにくい。尿もれを見かけても1回限りや少量であれば、飼い主さんも気にしないのだろう。異変に気づいたら、ちょっとくらいと思わず、動物病院で検査をしよう。

尿の問題を起こす原因の中には、慢性になりやすく治療が難しい病気や、命に関わる腫瘍などもある。尿にはさまざまな異変が現れる。早期発見ができれば、正しい診断も早くつけられ、治療や付き合い方も考えられる。

 

年代別 尿もれが起きる病気について

尿もれは、排尿システムの何らかの異常によって起きることがおい。原因は主に病気。だが泌尿器系とは限らない。

■幼齢期~5ヶ月頃

異所性尿管
尿管が膀胱に入らず、尿道につながっている状態。尿をためられず垂れ流しになる。柴犬には少なく、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに多い。

 
細菌の感染症
尿道から細菌が入って感染症を起こす。主に細菌性膀胱炎など。幼齢期に感染症を繰り返す場合、下記の「尿膜管開存症」の可能性が高い。

 
尿膜菅開存症
胎児は膀胱から臍帯に尿膜でつながり、排泄している。通常は出生後、成長に伴いなくなる。尿膜が残るとそこに尿がたまり、感染症の発症を繰り返す。

 
膀胱が定位置にない
膀胱が定位置より後方、骨盤の奥のほうにあり、十分にふくらめないことがある。

 
■若齢期 6ヶ月~1歳

細菌の感染症
幼齢期と同じく、尿道から細菌が入って感染症を起こす。先天性の問題は幼齢期に判明することが大半で、この時期の感染症は後天的な原因が多い。

 
膀胱・尿道結石
膀胱や尿道に石ができ、排尿がしづらくなる。膀胱炎を引き起こすこともある。ストルバイト(アルカリ性)とシュウ酸カルシウム(酸性)の2種類。柴犬はどちらもできる。

 
避妊手術の影響
避妊手術後は性ホルモンの変化で尿もれが起きることも。開腹するのでその影響も考えられる。また、泌尿器系の臓器を傷つけたり、無理に引っ張ったりした影響で起きるケースもある。

 
去勢手術の影響
去勢手術を行った際、睾丸を引っ張りすぎると泌尿器系に影響を及ぼす可能性がある。避妊手術よりは少ない。

 
癒着の影響
異物による腸管穿孔、腎臓炎などの強い炎症や交通事故などによる腹部打撲などで知らぬまま膀胱が周囲に癒着して、排尿が完全に行えず、慢性膀胱炎や尿もれを起こすことがある。

 
■熟齢期 5歳~8歳

子宮蓄膿症・膀胱や尿道の結石摘出手術などの影響
メスは熟齢期に子宮や卵巣の病気にかかりやすく、その手術の影響で尿もれが起きることもある。若齢期と同じく、避妊手術の影響によっても起きる。

 
膀胱・尿道結石
若齢期と同じく、膀胱や尿道に石ができる病気。熟齢期により発症が目立つ傾向がある。

 
糖尿病
糖分を調整する働きがあるインスリンというホルモンが、膵臓から分泌されなくなり、血糖値が高くなる。症状のひとつである多飲多尿が尿もれにつながる。

 
腎臓障害
腎臓は血液から老廃物をろ過し、尿を作る。その機能に問題が起きると排尿システムに影響する。

 
性ホルモンの影響
排尿システムに関すると考えられている性ホルモンが不足した結果、尿失禁が起きることも。犬の更年期障害は明らかになっていないが、メスに多く見られる傾向がある。

 
椎間板ヘルニア
脊椎の間でクッションの役割を果たす椎間板が変形し、神経を圧迫する病気。排尿神経の機能不全(まひ)の原因に。柴犬は少なくダックスフンドに多い。

 
■老齢期 9歳~

体内の腫瘍
膀胱、腎臓、子宮、卵巣、前立腺などに腫瘍ができ、その症状として尿もれなどの異常が起きる。腫瘍ができたところによって症状は変わる。

 
神経の腫瘍
脳や脊髄などに腫瘍ができ、飲水の量や排尿の感覚を狂わせることがある。

 
クッシング症候群
副腎から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、食欲や飲水量が増した結果、膀胱の容量を超えて尿もれが起きる。この病気は中期頃までむしろ元気に見え、その後は筋肉のゆるみや皮膚疾患が起き始める。動物病院の健康診断で発見されることが多い。

 
変形性脊椎症
脊椎が異常造成して神経を圧迫し、さまざまなところに機能障害を起こす。排尿をコントロールできなくなる。

 
馬尾症候群
脊椎は腰のあたりで枝分かれする。これが馬の尾のように見えるので馬尾症候群とよばれる。変形性脊椎症と同じく、骨の異常造成によって神経が圧迫され、機能障害を起こす。

 
前立腺の病気
去勢手術をしていない高齢のオスによく見られる前立腺肥大や前立腺炎。去勢に関係なく発症する前立腺癌。いずれの病気も排尿困難や尿もれの原因となる。

 
糖尿病・腎臓障害
熟齢期と同じ病気。特に老齢期にはさまざまな病気を併発する。

 

年齢によって尿もれの原因になる病気は違う

尿もれが起きる主な病気は、上記のとおり年齢別に分けられる。

幼齢期は、排尿システムの先天性の異常が疑われる。トイレの失敗や、我慢できずにもらしてしまった可能性もあるが、繰り返す場合は動物病院に相談し、原因によっては手術が必要。

若齢期を中心に壮齢期頃までは、膀胱の問題が目立つ。早めに適切な治療を行おう。

熟齢期になると、完治が難しい慢性疾患も増えてくる。

メスは性ホルモンの変化によって、尿失禁(おねしょ)を起こすことも。犬の更年期障害はまだ解明されていないが、人と似たような変化があるのかもしれない。老齢期も熟齢期と同じ慢性疾患や、命を危うくする病気も見られるようになる。

ちょっともれるくらい、と軽く考えがちだが、注意が必要だ。

 

原因を明らかにして治療する

尿もれは排尿システムの異常によって起きる。適切な治療を行うためには、その異常のもとを大量の原因の中から突き止める必要があるのだ。

尿もれの原因は、検査ですぐにわかることもあれば、なかなか特定できないこともある。実は診断が難しいやっかいな尿もれ。原因がわからなければ適切な治療ができず、症状が長引いてしまうことも。動物病院によっては試験紙のみの検査だが、原因を突き止めるためには、尿比重と尿沈渣も欠かせない。飼い主さんから動物病院にお願いしてもよいだろう。余裕があれば3種類の尿検査を行い、超音波検査も受けた方が安心。問診も重要な手がかりになる。気づいたことがあれば記録しておこう。

また、定期的な検査に加え、どのような時にもれるか、色や量はどうか、変わったことはないか。愛犬の様子を観察しておこう。

 

抗生剤を乱雑に使用して治せなくなった病気が問題

原因を明らかにしなければ的確な治療もできない。近年は細胞の培養感受性試験を行わなかったために、慢性化した膀胱炎が急増している。

膀胱炎は細菌の感染症で起きることが多い病気。感染症の治療は、その細菌に効果を発揮する抗生剤を飲ませること。膀胱内にいる細菌に効く抗生剤でなければいけない。だからこそ尿検査で原因を突き止め、培養感受性試験で細菌の種類を明らかにすることが非常に重要だ。しかし、動物病院によっては尿検査を省き、細菌の種類がわからないまま抗生剤を処方することも

細菌は繁殖のスピードが速く、どんどん違う種類が生まれる。抗生剤を乱雑に使い続けた結果、細菌が抗生剤に耐性を持ち、治せなくなってしまうことも。

また、前立腺や脳には届く薬が決まっていて、それを選ばないと意味がない。原因に合わせた的確な治療ができれば、回復も早く医療費も安く済む

尿もれを起こすさまざまな病気を治療するために、最初の鑑別が重要だと知っておきたい。

 

病気の予防のためにできること

愛犬が長く健やかに暮らせるよう、尿もれを起こす病気をはじめ、さまざまな不調を予防してあげたい。

犬に合った食事を与え、自由に飲水できる環境を整え、十分な運動量を確保すること。いろいろな病気の予防になる。あとは、ご家庭でも簡単な排尿チェックをしておくとよい。

加えて、動物病院の健康診断も活用しよう。採取した尿の検査は血液検査より安価ででき、犬の負担も少ない。高齢なら健康診断を兼ねて3ヶ月に1回行えば、早期発見ができるだろう。

また、尿もれのように見える尿の異常にも注意が必要だ。尿ではなく膿だった、頻尿になっていた、少量ずつしか排尿できない状態だった、ということも。これらの尿に現れる問題は、命に関わる危険なサインだと知っておくこと。

まずは病気の予防。次に早期発見、早期治療。しっかりと心がけよう。

 

尿もれしやすいシチュエーション

遊びや運動の後
遊んだり運動した後に尿意をもよおしやすい。遊びながらポタポタ垂れたり、急にジャーッともらしたりする。

 
寝ている時
寝る前に排尿を済ませなかったり、特に疲れていたりした時におねしょすることもある。性ホルモンの問題の可能性もあるので検査を行う。

 
留守番の時間が長すぎた時
留守番が長時間にわたり、我慢できずにもらしてしまうケース。少量ではんはなく、一気にジョ~っと出てしまうことが多い

 
車などで移動している時
移動中にやや緊張して、少量をもらすこともある。クレートやケージに入ってドライブに行った時、キャリーバックで移動したときなど。

 
季節的な問題で量や回数が変化
夏は水をよく飲む、冬は逆に減る、といった理由で、季節によって排尿感覚が短くなったり、タイミングが変わったりするかも。

 
興奮や緊張したとき(ウレション)
うれしくてもらしているように見えるが、実は興奮や緊張で平常心ではなくなっている状態。敵意はないという意味でもらすこともある。

 
ゴハンを食べてしばらくしてから
食後は胃腸の動きが活発になり、その影響で排尿したくなることが多い。幼齢期は食後すぐにもよおすことが多い。

 
起きたばかりの時
人と同じように起きたばかりの時が排尿のタイミング。特に幼齢期はすぐにもよおすので、室内トイレに誘導したり、外に連れ出したりする。

 
環境の変化にやや緊張したとき
犬によっては、環境の変化にやや緊張した時に尿もれが起きやすい。慣れない場所に出かけた時、自宅に慣れない人や犬が訪ねてきた時など。

 

興奮タイプと繊細タイプは尿もれしやすい傾向がある

尿もれが起きたら、まずは動物病院を受診して、必要に応じた検査を行うことが大切だ。もし異常がなければ、精神的な問題でもらしている可能性もある

柴犬に限らないが、興奮しやすい犬と繊細な犬はもらしやすい。興奮と繊細は正反対のように見えるが、実は紙一重。どちらも反応性が高いタイプで、精神面のゆらぎが大きい。ちょっとのことで『ワーイ!』となったり、『怖い!』となったりして、その拍子にもらしてしまうことも。逆におっとりしているタイプは、尿もれが少ない傾向にある。反応性の高さが、心身の不安定につながっているのだろう。

また、尿もれが起きやすいシチュエーションを上記にまとめたので、当てはまる時に愛犬の尿もれの有無をチェックしてみよう。これらのシチュエーションは、年齢によって変わるのだろうか。

幼齢期は反応性が高いので、興奮や恐怖を感じた時にもらすことが多い。トイレに間に合わず、ジャーッともらしてしまうこともありがち。

若齢期も似たような理由。壮齢期や熟齢期は精神面で落ち着いてくることもあり、緊張や疲れを感じた時が多い印象。老齢期になるとトイレに間に合わなかったり、排尿間隔が短くなったりする。特に日本犬は屋外でしか排泄しない犬が多いので、頻繁に連れ出してあげないともらす機会が増えそう。

老齢期の尿もれは、精神面よりも体調の問題が大きいだろう。まずは適切な検査や治療を行うこと。並行して、トイレの環境を整えてあげることが大切だ。

 

室内トイレを教えておくと老齢期に役立つ

尿もれの原因が体調、精神面、排尿間隔のいずれであっても、犬が我慢することなく排尿できるように、トイレトレーニングはしておきたい。

幼齢期は排尿の回数が多いので、タイミングを注意すれば比較的スムーズに教えられる。柴犬の場合、散歩デビュー後は室内トイレの習慣がなくなりがち。若齢期以降も幼齢期の習慣をキープしたいものだ。もし習慣がなくなってしまっていても、トイレの教え直しはできる。老齢期でも認知症でなく自力で歩行可能なら、トレーニングはできる。

室内トイレは『【室内トイレへの道!】日本犬を外ションから部屋ションに導くトレーニング』を参考に教えよう。

自力で歩行が困難な犬や認知症を発症した犬は、トイレトレーニングが困難。尿漏れには工夫で対処しよう。

介護に正解はなく、ベストな方法も犬の状態や家庭によって違う。ある程度歩行ができる犬や徘徊する犬は、マナーベルトやオムツをつけた方がよい。寝たきりや横になっている時間が長ければ、オムツは蒸れてしまうかもしれないので、防水シートやトイレシートがよいかもしれない。いろいろなグッズを試してみたり、知り合いの飼い主さんに聞いて情報を集めたりしよう。最近は犬用の介護グッズもたくさん登場している。また、犬のサイズによっては、人の介護グッズが使えることも。ホームセンターやドラッグストアをチェックしてみるのもひとつの方法だ。

家庭によって労力や経済力の問題もあるだろう。無理なく続けられる方法を探すことが重要だ。また、心がまえも大きなウェイトを占める。

老犬の介護は工夫と許容が必要。老齢期の尿もれは犬にもどうしようもない。叱ったりトレーニングしたりして直るものでもない。飼い主さんが『まぁいいか』と思えるようになれば、お互いに気が楽になる。

尿もれは老齢期の問題のひとつだが、介護にはいつか終わりが来る。それまでの時間を工夫しながら楽しく乗り切りたい。

 

若い頃から介護グッズをつけて過ごす週間を

近年は医療の発達や飼い主の意識の工場などにより、犬の平均寿命が伸びた。老齢期の犬用を中心に尿もれ対策のグッズが開発されている。中には驚くような高性能のものもある。

介護グッズを上手に活用すれば、QOLが維持でき、飼い主さんも快適に過ごせる

これらの介護グッズを役立てられるように、若い頃からマナーベルトやオムツをつけていられる練習をしよう。つけたら外すのではなく、つけたまま過ごす練習も必要。柴犬は身につけるものを拘束と感じて嫌がるタイプも多いので、若い頃から習慣にしておくことがとても大切。

トイレトレーニングと合わせて、介護に備えた練習をしておきたい。

 

尿もれは仕方がないと決め付けずに治療を

互いのQOLを保つためには、適切な治療も忘れてはいけない。

尿もれは一時的なものや老化によっても起こる。ただ、年だから仕方がない、と決めつけないこと。治療が必要な病気の可能性もあるからだ。もし不可逆的な問題で完治が難しくても、維持を目指すことが元気な老後につながる。

まずは尿もれの原因を予防。そしてポタポタやチョロチョロが見られたら、検査と治療。そのうえで快適に暮らす工夫を始めよう。

 
 
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Shi‐Ba vol.89『実は柴犬にめちゃくちゃ多い!尿もれ注意報、発令!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。