犬びより

日本犬、コーギー、チワワ、ダックス、プードル、鼻ペチャ犬のためのwebマガジン

本当は大切なメラニン色素。色の変化で分かる柴犬の健康状態と病気

2018/02/19

facebookでシェア ツイートする LINEで送る

メラニン色素は健康のために重要な防御機能。メラニン色素による愛犬の色の変化は、実は病気が原因だったりもする。皮膚炎が起こりやすい柴犬は多い。今回は注意したい愛犬の色の変化、メラニン色素の働きについて勉強していきたい。
 

 

メラニン色の働きは犬の体を守る

犬のメラニン色素

●紫外線から体を守る
生物の細胞の核は紫外線に非常に弱く、当たると傷ついて変異し、ガンになる危険がある。紫外線は上部から当たるため、背中側のメラニン色素は、細胞の核の上半分の領域に多く含まれている。濃い色は紫外線を吸収するので、核に黒い帽子をかぶせるかのように守っている。紫外線が当たらない腹部は色が薄い生物が多く、メラニン細胞がフェオメラニンしか作らないことがわかっている。

●外的刺激から体を守る
外傷を受けた皮膚から、濃い毛が生えたり、濃い色素が沈着することがある。その部分の皮膚のメラニン細胞は濃いメラニン色素を作りやすくなる。傷を負ったり炎症が続いたりすることで、何らかのスイッチが入り、メラニン色素の供給量が増えるしくみ。紫外線に当たるとシミができる現象も色素沈着のひとつ。人や犬を含む多くの生物に見られ、体を守る反応と考えられている。

●日本犬は自然の防御が行き渡っている
メラニン色素は紫外線や外傷から体を守る防御機能の役割がある。小さな細胞を守るために帽子のように核を覆ってガードし、外的刺激があればその部分のメラニン細胞が濃いメラニン色素を作って強化している。

 

虹彩、目縁、口唇、肛門は濃い方が良い

虹彩、目縁、口唇、肛門はできるだけ濃い方が良い。この4つは毛で覆われておらず、傷つきやすいところなので、強い防御が行き渡っているべき。

また、良い犬を残すためには、その他の部位のメラニン色素も大切にしていく必要がある。肉球、口内(歯ぐき)、皮膚(鼻や爪を含む)の見えないところまで濃いメラニン色素がある犬は、体の防御機能が行き渡っており健康的だ。

これらの基準はどの年齢も共通のもの。しかし、日本犬の子犬は白毛を除いて全体的に黒っぽく、冴えて濃い被毛色に仕上がるのは2歳半以降。1歳未満で仕上がる犬は、2歳前に全体的に薄くなってしまう。

 

犬の舌に出る舌班

犬のメラニン色素

舌斑(ぜっぱん)とは、舌にある濃い色素沈着のこと。あざやほくろのようなものである。日本犬の中で甲斐犬と北海道犬は、舌斑があるのが普通。しかし、柴犬、秋田犬、紀州犬、四国犬は、舌斑がない方が望ましいとされる。これらの四犬種は舌斑がある犬が少数なので、本来はないものと考えられ、後世に残さない方が良いと定められた。ただし、四国犬は舌の奥に舌斑がある犬もいる。舌斑が現れる理由はいくつか説があるが、たまたまそこに色素沈着があったと考えられている。

 

色の変化は病気のサイン!

■色素沈着を起こす病気

犬のメラニン色素

【アレルギー性皮膚炎】

見るべきポイント:陰部・そけい部、唇、耳介、脇下

症状:皮膚が濃く硬くなる
柴犬はアレルギー性皮膚炎の犬が多い。皮膚に長期間刺激を受けることになり、その部分は濃いメラニン色素が作られて色素沈着する。また、皮膚の細胞が異常に増殖して分厚くなる苔癬化も起きる。色素沈着と苔癬化を伴う柴犬は非常に多いという。注意が必要な部位を確認しておこう。

 
【アカラス】

見るべきポイント:唇、指間

症状:免疫が弱まった時、常在菌が増え炎症を起こす
アカラスはにきびダニ症ともいわれる。にきびダニは毛穴にいる常在菌のようなものだが、免疫が弱まった時に増え、炎症や色素沈着を起こす。アレルギー性皮膚炎の治療のために長期間ステロイド投薬をしている柴犬に多く見られる。また、免疫がしっかりしていない子犬にもまれに見られる。

 
【メラノーマ】

見るべきポイント:口の中、足先

症状:悪性が強いものは色素が抜けて赤くなる
メラノーマはイボのような悪性腫瘍のひとつ。柴犬にはそれほど多くないが、確認しにくい口内や指間にできやすいので気をつけたい病気。メラノーマは人の場合、ほくろのがんといわれるが、黒くなるものではない。悪性が強くなるとメラニン色素がなくなってしまい、鮮やかな赤になる。

 
■色素脱を起こす病気

犬のメラニン色素

【リンパ腫】

見るべきポイント:鼻の頭

症状:鼻の頭が鮮やかなピンク色に変わる
鼻の色素が急に抜けて鮮やかなピンク色になったら、リンパ腫の疑いがある。この色素脱は全身に起きているが、鼻が最もわかりやすいのでチェックしておこう。ただ、レバー色の鼻を持つ柴犬はメラニン色素の濃淡によるもので、病気ではない。

 

メラニン色素は自然免疫にも影響?

犬のメラニン色素

メラニン細胞がないところは、紫外線の影響をダイレクトに受け、皮膚ガンや皮膚炎のリスクが高まる。例えば、白色人種はメラニン細胞が少ないので、細胞の核が紫外線のダメージを受けやすい。特に日差しが強いオーストラリアでは、白色人種の皮膚ガンが問題になっている。日本人のような黄色人種は、メラニン色素でガードされているので、日常生活では気にしなくてもよい。

日本犬は比較的メラニン色素が濃い犬が多い。日本人のようにガードできているのだろうか。日本犬は体を毛で覆って防御している。毛がないところは、メラニン細胞が濃いメラニン色素を作って守っている。しかし、毛が薄い耳などは紫外線の影響を受けやすく、皮膚ガンや皮膚炎が出やすい傾向がある。特に白毛の犬やメラニン色素が薄い犬は影響を受けやすい可能性があり、注意した方がよいかもしれない。

犬を含む生物は、濃いメラニン色素のユーメラニンを働かせる遺伝子を持つ場合、それが優性になる。犬の繁殖に携わる多くの方は、メラニン色素が健康に重要であると感じている。生物にとって色は濃い方が良いのだろうか。

皮膚には生まれつき備えた自然免疫であるベータ・ディフェンシングが備わっている。これは天然の抗菌物質で、皮膚にばい菌が感染しても体内に入らないようにしている。免疫にメラニン色素が関係しているから、生物のメラニン色素は黒が優性なのかもしれない。

犬は日を浴びることによって体内でビタミンDを合成する。また、日焼けによってメラニン色素が多く作られ色が濃くなる。日差しは有益だが、紫外線を長時間浴びないように注意が必要だ。散歩の時に、愛犬を守るメラニン色素のことを意識してみよう。

 
 
関連記事:本当は大切なメラニン色素。しくみから分かる柴犬の毛色の変化と周期
 
 
Shi‐Ba vol.81『しくみから分かる健康と病気 犬を守るメラニン色素』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。