排泄目的の外出から抜け出そう!柴犬の散歩リニューアル

理想は日々違う楽しみのある「メリハリ散歩」ですが、排泄のみの「マンネリ散歩」になっているケースが多いようです。今の散歩を見直し、愛犬と一緒に楽しく健康になりましょう!
 

 

成長と飼い主の変化で散歩がマンネリ化

犬の散歩
『食って寝てばかりで牛になっちゃいました』

メリハリからマンネリに変わる大きな理由は、犬の成長と飼い主さんの変化です。

最初の1年目、好奇心いっぱいの無邪気な子犬と、しつけに力を入れる飼い主さんは、毎日が充実していたことでしょう。柴犬は成長に伴って自立心が高まり、おとなへの階段を登っていく犬種です。やがて飼い主さんの指示より、自分がやりたいことを優先するようになります。

実は飼い主さんが犬との暮らしに慣れ、熱意が薄れるのもちょうど同じ頃。それぞれの変化が重なり、2年目からは散歩がかつてのワクワクした時間ではなくなっていきます。このような状態では、一緒に歩いていても気持ちはバラバラ。並んで歩きスマホをしているようなものでしょう。

散歩は飼い主さんの工夫でもっと充実させることができます。マンネリを防ぐために大切なのは、散歩の目的を知ること、メニューに変化をつけること、問題への対処を行うこと。そして、飼い主さんのやる気をUPさせる工夫もしましょう。

人は成果が見えるとやる気がわくので、例えば歩数やエネルギー量を数値化できる、活動量計を使うのもよい方法です。最初の1年目の熱意を思い出して、「散歩が楽しい」という一体感を得られる時間にしましょう。

 

散歩の目的

犬の散歩

■社会化を行う
犬が暮らしていく社会に慣れるためには、「社会化」が大切です。さまざまな物事に触れることで、経験を積むことができます。社会性を身につければ、何かあった時に興奮や恐怖といった過剰な反応をせず、落ち着いて対処できるように。積み重ねた経験は貯金のように減っていくので、生涯にわたって続けましょう。

 
■本能を満たす
犬の祖先のオオカミは、獲物を探したりテリトリーをパトロールしたり、日々精力的に活動していました。原始的な犬種である柴犬は、その本能を強く受け継いでいます。散歩を利用して意欲を満たし、能力を発揮させてあげましょう。変化に富む外界での活動は適度な刺激になり、生きる喜びにもつながります。

 
■運動する
柴犬のルーツは猟犬です。猟師と共に野山で獲物を追っていましたが、今は家庭犬として暮らす犬が大半。体力を発散する時間を十分に作ってあげましょう。散歩が苦手な犬は、体を動かす喜びを知らないのかも。運動に興味がなかった人がウオーキングに目覚めるように、犬も散歩の楽しさがわかれば夢中になります。

 
■コミュニケーションを図る
犬は社会生活を営む動物なので、家族とのコミュニケーションを必要とします。その一方、柴犬は自立心が高い犬種なので、自分がやりたいことを優先しがち。飼い主さんの存在を意識させるために、遊びやトレーニングで声をかけたりごほうびを与えたりしましょう。やがて自然に意識を向けるようになります。

 

問題行動への対処

犬の散歩

■におい嗅ぎで進まない
嗅覚を使った探索は、犬の本能的な行動です。【7つの散歩メニュー】の「共同作業」を参考に対処しましょう。除草剤を散布した草むらや、ものが落ちている場所でにおい嗅ぎをしようとしたら、リードを短く持ってすぐに立ち去りましょう。
 
■他の犬に吠えてしまう
警戒心が強い犬は、身を守るために攻撃的な行動をとってしまうことがあります。【散歩の目的】の「社会化を行う」を参考に、少しずつ慣らしていきましょう。とっさの対処としては、他の犬と反対方向へ走って離れる方法があります。
 
■リードを引っ張って歩く
まずは飼い主さんに注目する機会を増やすために、ほめられてごほうびがもらえる習慣をしっかりつけましょう。繰り返せば、飼い主さんに注目する機会が増え、歩調が合うようになります。飼い主さんの呼びかけを無視しがちな犬にも有効です。
 
■拾い食いをする
柴犬はにおいに敏感です。ものが落ちていない場所を散歩コースに選びましょう。犬がくわえたものを取り出せるように、犬の口まわりを触る練習をしておくことも重要です。緊急措置としては、ごほうびやオモチャと交換する方法があります。
 

7つの散歩メニュー

■歩く
散歩の基本は、歩調を合わせたウオーキング。まずは犬に飼い主さんの存在を意識させます。犬が引っ張らず隣を上手に歩いている時に、ほめてごほうびを与えます。
 
■走る
広いスペースがあれば、ジョギングを楽しみましょう。ロングリードや伸縮リードは使い方を練習する必要があります。通常のリードで並走したほうが安心です。
 
■共同作業
犬の本能的な行動(嗅ぐ、探す、追う、掘る、など)を、飼い主さんとの共同作業にする方法もあります。犬が行動に移す前に予測してリードを短く持ち、「OK」などの許可の合図でリードを伸ばして自由にします。犬は「飼い主さんの合図で自由になれた」と覚え、共同作業として意識するようになります。
 
■休憩&水分補給
飼い主さんや犬の体調、その日の気候に応じて、休憩と水分補給を忘れないようにしましょう。
 
■自由時間
拾い食いの危険がなく、車道から離れた安全な場所であれば、犬が自由に行動する時間を作ってもよいでしょう。連れ立って歩きながら、思い思いに楽しむひとときです。
 
■トレーニング
首輪やハーネスがはずれた時などに備えて、「オスワリ」や「オイデ」を教えておきましょう。犬は状況が変わると、指示されたことができなくなる場合があります。近所や公園など、いろいろな場所で練習することが大切です。
 
■遊ぶ
オモチャが登場すれば、犬は驚いて大喜びします。遠くに投げて遊ぶボールは体力発散に、手もとで引っ張りっこができるロープトイはコミュニケーションに役立ちます。
 

一緒に楽しみ健康になろう

犬の散歩

犬にとって散歩が大切な理由と、互いに楽しむためのアイデアを紹介してきました。

実はウオーキングは、飼い主さんの心身の健康にもたくさんの効果があります。歩行は全身の筋肉や神経を総動員する有酸素運動なので、体脂肪を効率よく消費します。認知症、骨粗鬆症、動脈硬化などの予防にも効果が見られています。

柴犬の一日の散歩の目安は5~6㎞ほど。長く感じるかもしれませんが、歩数にすれば約8000歩。さまざまな散歩メニューを取り入れれば、達成できるはず。活動量計の数値で成果が見え、犬との関係や体調の改善も実感できれば、いっそうやる気がわくはずです。

目標はマンネリ散歩からメリハリ散歩へのリニューアル。犬と一緒に楽しみ、一緒に健康になりましょう。

 
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Shi‐Ba vol.94『排泄目的の外出から抜け出そう 散歩リニューアル春!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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