何をされても、全く怒らず抵抗せず。そんな態度の柴犬が結構な数いる。この態度の裏にある彼等の心理は、はたして飼い主への忠誠なのだろうか!?
無抵抗な犬のギモン
Q.無抵抗な態度をとる犬の心境は?
A.最初に飼い主の方に知っておいて欲しいのは“無抵抗”と“我慢”は違うということ。“無抵抗”はその状態が犬にとって嫌ではない、あるいは、飼い主の行為をすべて許す気になっている状態。
本当に無抵抗な状態ならいいが、多くの場合は犬が我慢している事の方が多い。
若い犬の場合は、飼い主と自分の力関係を計れずに様子を伺っている場合が多々ある。そんな時、もし犬が自分の方が優位だと判断するようになったら危険。いきなり手痛い反撃を受けることがあるかも。
Q.無抵抗な態度にはどんな種類がある?
A.飼い主をリーダーと認めていれば「何でも命令に従います!」と、むしろ喜んで無抵抗な態度をとる。
しかし、力で抑えこんで服従させている場合は、犬は「恐怖のために逆らえない」あるいは「逆らっても無駄だから諦めて我慢する」といった感じ。
犬という生物は相手が強くて怖いからリーダーと認めるのではなく、尊敬して信頼がおける相手でなければリーダーとは認めない。真のリーダーと認めたなら、犬は恐怖や諦めではなく、喜んで飼い主に服従するはずだ。
Q.日本犬は他の犬種と比べて無抵抗な犬種が多い?
A.その逆。日本犬は「嫌なものは嫌」と、意志をハッキリと示すタイプの犬。
また、日本犬は日本人と同様に、嫌な目にあわされたことをずっと記憶して根に持つ場合が多い。
そのため、同様のことをやろうとすれば、前回よりも激しい抵抗をみせることが多々ある。テーマである無抵抗主義の犬とは、本来対極にいる犬種だと思われる。
Q.一見無抵抗でも、犬が密かに抵抗していることはある?
A.ある。例えば、抱っこされた時に、犬が飼い主から顔を背けたり、視線をそらすなどした時には、それは静かに抵抗している状態。「やめてください~」という犬からのシグナルだ。
また、抱き上げた時に体をジッと硬直させて固まった場合なども「やめてほしい」といった状態だろう。
ちなみに無抵抗に身を委ねている時は、猫のように脱力してリラックスしている。
Q.何をされても無抵抗な日本犬はいる?
A.日本犬には無抵抗なタイプよりも、激しい抵抗や反抗をする犬が多い。自我が強いので、つき合い方を間違えると大変。
また、この場合に力尽くで押さえ込んで「忠実でいい犬になりました」という飼い主もいるが……恐怖で押さえつけた関係は、犬にとっても飼い主にとっても、ハッピーな状況ではない。そんな状態では飼い主だって一緒に暮らしていて楽しくはないだろう。
犬が喜んで服従して無抵抗になる関係をつくるには、やはり、飼い主が真のリーダーと認められること。日本犬は賢いので、飼い主をじっくり観察して、無抵抗に体を委ねてよい相手かどうか、飼い主の資質を見極めている。
はたして犬たちは無抵抗でいいのか?
嫌なことされたら怒り、ムカついたら反撃する。それって生き物としては、とってもマトモで自然な反応。
猫ってのはワガママで奔放だから魅力がある。我慢が似合う動物じゃない。
ところがそれが犬となれば、話は別。“服従”とか“無抵抗”ってなキーワードが尊ばれる。日本犬の場合は特に……。日本人は誰もが抱く「日本犬=忠犬」の幻想に惑わされてるのでは?
しかし、真の忠臣ってのは、主君が間違いを犯したら、命がけの激しい行動をもってこれを諫める。戦国時代とか江戸時代の軍記物とか読んだら、そういった忠臣が数多くいる。
ここで犬たちにも考えて欲しい。ホントに飼い主のことを大事に思うのなら、あんまり調子コカせて図に乗らせちゃいけない。やりたい放題の好き勝手にさせておいては、そのうち世間に甘えた役立たずなダメ人間になっちゃうぞ。
ここは心を鬼にして、「うらぁ、いいかげんにしろ!」とやっちまってください。でも、本気噛みしないように。愛のムチは優しく手加減してね、くれぐれも。
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Shi‐Ba vol.53 『何をされても平気、でも本音はちょっと違う?無抵抗主義の犬』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。