犬びより

状況別に見る興奮行動と予防策。柴犬パニックで飼い主パニック!

2018/12/07

犬が散歩中に狂ったように吠えたり、ふとしたきっかけで噛みついたりする、いわゆるパニックの状態になれば、飼い主さんや周囲にトラブルが及び、犬の心身にも負担がかかることは必至! 原因を知り、予防しよう!
 

室内でのパニック

住み慣れた環境でも、外からの音や振動、来客、家族の普段とは違った様子など、犬のパニックとなる原因は意外と多い。

■花火の音でパニック!

・犬のパニック行動や理由
花火は音だけでなく、振動も伝わってくるので犬はストレスを感じやすい。吠えたり、かたまったり、あるいは部屋から脱走してしまうような犬もいる。花火大会の会場など近い場所でだけパニックになる犬もいれば、遠く離れた家の中でもパニックになってしまう犬もいる。

・飼い主がしてあげられること
花火大会の近くでパニックになるなら行かないことで予防。遠くの花火にもパニックになるなら、日常的に花火を録音した音を小さな音量から聞かせ、平気ならフードをあげる。徐々に音量を大きくしながらこれを続けて慣らす。振動には、普段からクレートに入れて車に乗せることである程度慣らせる。

 
■地震でパニック

・犬のパニック行動や理由
普段はあまり体験しないような振動に加え、スマホやテレビからの警報音、棚から物が落ちる衝撃などから強いストレスを感じる犬は多い。東日本大震災の際には風呂場にとじこもってしまったり、警報音に恐怖を感じて吠え続け、それ以来スマホの着信音などに対して吠えるようになった犬も。

・飼い主がしてあげられること
花火のところでも紹介したように、振動には、普段からクレートに入れて車に乗せていることで、ある程度慣らすことができる。また花火の音と同様に、警報音を小さな音量から聞かせて慣らしていく方法がある。また棚を補強するなどして、物の落下を防いでおくことも大切だ。

 
■普段と違うお父さんでパニック

・犬のパニック行動や理由
例えばお父さんが大きなゴルフバックをかついで帰って来た時など、家族が普段と違う服装をしていたり、見慣れない物を身につけていることに対してストレスを感じる犬は少なくない。また玄関に宅配便のダンボールが置いてあるなど、家の中に見たことのない物があることにパニックになる犬も。

・飼い主がしてあげられること
犬は特定の人や場所に慣れても、条件が変わるとストレスを感じる。あらかじめさまざまな条件で慣らしておく。例えばお父さんがゴルフバックを持った状態でフードをあげながら慣らす。玄関にダンボールを置いた状態で、まず離れた距離でフードをあげ、平気でいられたら徐々に距離を縮めて慣らす。


 
■外の不審音でパニック

・犬のパニック行動や理由
木々がこすれる音、宅配便の車の音や祭り太鼓の音、運動会の鉄砲の音など、外から聞こえる音は、犬が吠え続けるうちに聞こえなくなるという特徴が。このため犬は「ある程度吠えれば不審者はいなくなる」という成功体験を自然と積み重ねてしまい、音が聞こえると吠えることを繰り返すようになる。

・飼い主がしてあげられること
犬が苦手とする音を録音しておき、小さなボリュームから聞かせて、平気でいられたらフードをあげることを、徐々に音量を大きくしながら繰り返すことで慣らす。またクレートで行動範囲を区切ることで落ち着ける犬は多いので、クレートトレーニングをしておき、音が鳴ったらクレートに入れてもok。

 
■飼い主のパニックにパニック

・犬のパニック行動や理由
慣れ親しんだ家族でも、例えば虫を見つけて大声をあげたり、地震の時に慌てたりなど、普段と違った様子になるのを見てパニックになる犬もいる。また犬はその場の調和が崩れるとストレスを感じるので、例えば和やかに話していた来客が急に立ち上がったりすると、犬も取り乱すことがある。

・飼い主がしてあげられること
不用意に大声をあげないこと。地震などのトラブルの際に興奮してしまうのは仕方がないが、犬は地震自体は平気でも、取り乱した飼い主のせいでパニックになることがあると覚えておこう。あらかじめクレートトレーニングをしておき、地震の時はまず犬をクレートに入れることもおすすめ。

 

外でのパニック

他人や犬、車など犬のパニックの原因となるものがいっぱい。回避できるものは避けつつ、パニックを繰り返さないよう慣らしていくことも大切。

■不振な人にパニック

・犬のパニック行動や理由
人間にとっては普通の人でも、普段犬が見慣れない人、例えば動きが遅い老人や、松葉杖をついた人、あるいは急に動き出す子供などを見てパニックになる犬もいる。これらの人を遠くで見ている分には平気でも、距離が近づくと激しく吠えたりかたまるというケースは少なくない。

・飼い主がしてあげられること
犬が吠えたりとびつこうとしたら、リードで引き離して距離をとる。同時にこれらの人に慣らしていくことも必要。まずは犬が平気でいられるところまで距離をあけて飼い主がフードをあげる。徐々に距離を短くしていきながらフードをあげることを繰り返して慣らす。

 
■苦手な犬にパニック

・犬のパニック行動や理由
苦手な犬を見るとパニックになる犬も。ストレスが少なければ吠えて追い払うだけだが、本当に相手を怖いと思った時の選択肢は、逃げるか、戦うかの二択となる。逃げるほうがリスクは少ないが、リードをしていると逃げることが不可能。必然的に相手に攻撃をすることに。

・飼い主がしてあげられること
犬が相手の犬に吠えたりとびつこうとしたら、まずリードで引き離し距離をとる。同時に相手の犬に慣らしていくことも必要。まず犬が平気でいられるところまで相手の犬と距離をあけて、フードをあげる。徐々に距離を短くしていきながらフードをあげることを繰り返して慣らす。

 
■抱っこされてパニック

・犬のパニック行動や理由
他の犬とけんか中に、仲裁に入った飼い主を噛んでくる犬も多い。これは「止めないでくれ」と訴えているのではない。転嫁行動といって、相手の犬に対する行動を飼い主に転嫁して噛んでいるもの。けんか中に相手とは別の犬をいきなり噛んだりするのも同じ理由によるものだ。

・飼い主がしてあげられること
けんか中は毛布をかぶせて暗くする、シッポを持って引き離すなどの方法も知られているが、それよりけんかの予防が大切。相手が同居犬やよく会う犬の場合は、最初はパニックにならない距離をとりながらフードをあげ、徐々に距離を縮めていきながら繰り返し慣らす。


 
■バイクや車にパニック

・犬のパニック行動や理由
単に動くものに対して狩猟本能が働いて吠えたり、追ったりするケースも多いが、一方で乗り物の音や動き、ニオイなどなんらかの刺激に対して強いストレスを感じる犬もいる。乗り物に対して突進するなどの行動に出れば、事故や怪我につながることも考えられる。

・飼い主がしてあげられること
犬が吠えたりとびつこうとしたら、リードで引き離し距離をとる。同時に車やバイクの存在に慣らしていくことも必要。最初は犬が平気でいられるところまで距離をあけてフードをあげる。徐々に距離を短くしていきながらフードをあげることを繰り返すことで、次第に慣れていく。

 
■水たまりにパニック

・犬のパニック行動や理由
深い水たまりのみ怖がる犬もいるが、浅い小さな水たまりに足をつけただけでパニックになってしまう犬もいる。慣れない感触に強いストレスを感じているのが理由。水たまりだけでなく、砂利道やマンホール、側溝のフタ、芝生など慣れない地面の感触にストレスを感じる犬は多い。

・飼い主がしてあげられること
水たまりを見つけたら足がつかないように避けるか、慣らしておく。慣らす場合は、まず浅い水たまりを、フードをあげながら通過していくとよい。水たまりに限らず、あらかじめダンボール、人工芝、タイルなどいろいろな地面に慣らしておくのがおすすめ。

 
■開いた傘にパニック

・犬のパニック行動や理由
雨の降り始めや日差しが強い時などに、人が急に傘を開くことでパニックになり、吠えたり逃げようとする犬もいる。傘が開く時には、急に大きく広がる視覚的な刺激に加え、風が伝わる触覚的な刺激、音が聞こえる聴覚的な刺激も加わるため、強いストレスを感じやすくなる。

・飼い主がしてあげられること
一度傘に恐怖を感じてしまうと、傘自体が苦手に。まずは刺激の少ない状態から傘に慣らし、傘=怖くないものだと教える。傘を閉じた状態でフードをあげ、平気でいられたら途中まで開き、と少しずつ開いて慣らす。傘を開くことで生じる音や風にも、少ない刺激から慣らそう。

 

リラックスマッサージで一時的に解決できる場合も

犬がパニックになったら、その場では対処のしようがない。飼い主がよくやりがちなのが『怖くないよ、大丈夫だよ~』などと犬をなだめようとすること。しかし犬には通じないので意味がない。

だが、ストレスサインが出た時点で、リラックスマッサージをしてあげることは、場合によっては有効

具体的には、まず二枚貝のような形になるよう手を合わせ、その形のまま片手で犬の胸や背中を、円を1回転半描くようにマッサージ。皮膚への刺激で全身の神経をよみがえらせ、犬を落ち着かせることができる。飼い主がピリピリしていると犬に伝わってしまうので、深呼吸してから行うとよい。

ただしこれらの方法で一時的に犬が落ち着いても、一度パニックになった犬は、次も同じ刺激に対してパニックになる。したがって日頃から予防をこころがけておくことが大切だ。

これまでに紹介したパニックの例の他にも、シャンプー後のドライヤーや、踏切などでパニックになる犬もいる。いずれも、それ自体を見ることでの視覚刺激、音が聞こえる聴覚刺激、風や振動を感じる触覚刺激など、さまざまな刺激が犬のストレスの原因となる

パニックを予防するには、これらの刺激を、少ないところから徐々に慣らしていく。例えばドライヤーなら、最初は遠くから当てて風の刺激を少なくした状態で平気ならフードをあげ、徐々に近づけて風の刺激を大きくしていくことで慣らすことができる。

フードを食べられるかどうかは、犬の心のバロメーター。犬のストレスの対象となる物があっても、距離を開けてフードが食べられるなら、その距離=視覚刺激が、犬が平気でいられる範囲であり、それより近づくとパニックのレッドソーンになる。距離=視覚刺激だけでなく、聴覚、触覚など別の刺激に対しても同じことがいえる。飼い主が犬のレッドゾーンを見極め、ギリギリの状態から慣らしていくことで、レッドゾーンを狭められる。

 
 
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Shi‐Ba vol.87『社会化や事前の対策でより安全な暮らしができる 柴犬パニックで飼い主パニック!!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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